住宅営業ノウハウ

【敷地調査】住宅建築を行う前に確認する5つのポイント

工務店・ビルダーが住宅を建築する際、敷地調査を実施する必要があります。

敷地調査を通じて、登記簿上の面積や位置関係などに問題がないか、道路・隣地に設計上の支障となるものはないかなどを確認することで、スムーズに住宅設計を進められます。

ただし、敷地調査で確認する項目は多岐にわたるため、事前に何について調査が必要なのかを把握しておくことが重要です。

この記事では、敷地調査の際に確認する項目を5つ紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.敷地調査で確認する5つの項目
    1. 1.1.①法令上の規定・制限
    2. 1.2.②土地の高低差と道路幅
    3. 1.3.③近隣の環境
    4. 1.4.④地盤の強度
    5. 1.5.⑤隣地との境界
  2. 2.まとめ

敷地調査で確認する5つの項目

工務店・ビルダーの敷地調査で確認する項目として、以下の5つが挙げられます。


①法令上の規定・制限

住宅の建築には、建築基準法や不動産登記法などの法令によって、さまざまな規定・制限が設けられています。設計を行う前には、法令上の規定・制限を確認しておくことが重要です。

住宅建築に関わる主な規定・制限には、以下が挙げられます。

▼住宅建築に関わる主な法的規制

確認種目

内容

規定・制限にかかる
対象法令
地目
  • 土地の形質・利用状況などを示すもの
  • 宅地・田・畑など23区分されている
  • 住宅を建てられるのは“宅地”に区分された土地

『不動産登記規則』

第99条

建ぺい率・

容積率

  • 敷地面積に対する建物の大きさを定めるもの
  • 建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合
  • 容積率は敷地面積に対する延床面積の割合
  • 用途地域によって割合は異なる

『建築基準法』

第52条・53条

斜線制限

  • 採光や通風など周辺地域の環境を保つために建築物の高さについて制限を定めたもの
  • 北側斜線制限・道路斜線制限・隣地斜線制限の3種類が存在する

『建築基準法』

第56条

(出典:e-Gov法令検索『不動産登記規則』『建築基準法』)


②土地の高低差と道路幅

敷地調査では、土地の高低差と敷地に接する道路幅の確認も重要です。

道路と敷地に大きな高低差がある場合、斜面の土の崩落を防ぐ擁壁(ようへき)を造らなければならないケースがあります。

すでに擁壁が設置されている場合であっても、強度や排水の水抜き穴が設置されているかなど、状態を確認することが不可欠です。擁壁だけでなく、高低差のある部分に階段や坂の設置工事が必須である場合もあり、予算に影響するため注意が必要です。

また、『建築基準法』第43条において、都市計画区域に指定されている住宅敷地については、原則として幅員4m以上の道路に2m以上の接道義務が定められています。

なお、同法第42条第2項に定められた、幅員が4m未満の道路の場合には、道路境界線をその中心線から2mの位置に後退する“セットバック”が必要とされています。

道路調査に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。併せてご確認ください。

 ≫ 住宅建築に必要な道路調査の方法と注意するポイント

(出典:e-Gov法令検索『建築基準法』)


③近隣の環境

建築予定の敷地の方向や眺望、隣家の建ち方、周辺道路の交通状況など、近隣の環境について確認することも大事なポイントです。

快適に住み続けられるかどうか確認するために、騒音や採光、プライバシーなどの項目に焦点を当て、周囲の環境を調査します。

近隣環境で確認するポイントには、以下が挙げられます。

▼近隣環境で確認するポイント

接地道路の交通量

車の走行音や振動が気にならないか

周辺施設

商業施設やスーパー、学校などがあるか
隣家の窓
プライバシーの確保はできるか
眺望
周辺に何が見えているか
採光
周囲に通風や日光を遮る建築物はないか
越境物の有無
隣地からの越境物はないか

隣地からの越境物については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 ≫ 土地の越境物には“覚書”が重要! 記載内容を紹介


④地盤の強度

敷地調査では、住宅の重さに耐えられる土地かどうか、地盤の強度を調べる必要があります。『建築基準法施行令』第38条・93条において、建物を建てる前に地盤調査を実施することが義務づけられています。

地形によって地盤の強度を推測するだけでなく、住宅地として使用される前の地歴の調査も行います。

また、地盤調査で地耐力・地質などを調べて、地震や住宅の自重に耐えられるか確認することも重要です。地盤が軟弱な場合には、地震が発生した際に倒壊したり、自重で基礎が耐えきれずに建物が沈んだりする可能性があるため、地盤改良工事が必要になるケースもあります。

地盤調査の義務や方法については、こちらの記事をご確認ください。

 ≫ 【住宅建築前の地盤調査】法的義務と3つの調査方法を解説

(出典:e-Gov法令検索『建築基準法施行令』)


⑤隣地との境界

敷地調査で欠かせない確認ポイントとして、隣家や道路との境界が挙げられます。

民法』第234条では、隣家との距離について境界から50cm以上離すことが定められています。道路幅員を計測する際は、敷地と道路の境界を基準にして計測するため、境界を明確にしておくことが必要です。

敷地の境界は、現地の境界石で示されているほか、法務局で登記記録や地積測量図などの情報を調べることで確認できます。

現地に境界石がない、または登記上に地積測量図がない場合には、隣地の土地所有者との立会いのもと、境界を確定させる手続きが必要です。

境界確定のための測量については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 ≫ 【トラブル防止】土地の境界石がない場合の対処法

(出典:e-Gov法令検索『民法』)

まとめ

この記事では、敷地調査で確認する5つの項目として、以下の内容を解説しました。

  • 法令上の規定・制限
  • 土地の高低差と道路幅
  • 近隣の環境
  • 地盤の強度
  • 隣地との境界

敷地調査には、どのような住宅が建てられるか、法令上の制限、設計上の問題点を事前に把握するとともに、法令義務を遵守しているか、住みやすい環境かなどを幅広くチェックする目的があります。

敷地調査を実施することで、施主や近隣住民とのトラブルを防止できるほか、顧客の安心・満足度向上につながります。

スムーズに住宅建築を進めるためにも、敷地調査で確認するポイントを事前に洗い出しておくことが重要です。

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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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