【工務店・ビルダー向け】法務局調査では何をする? 取得する4つの書類と注意点
工務店・ビルダーは、住宅の建築・リフォームを行うにあたって、土地の所有者や境界線、敷地面積、形状などのさまざまな調査を行う必要があります。
調査で必要な情報を収集する際は、法務局に備えつけられた、土地・建物に関する公的な書類を活用することが可能です。
しかし、「法務局調査とは何をするのだろう」「法務局でどのような書類を取得できるのだろう」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、法務局調査とは何か、法務局で取得できる書類について解説します。
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法務局調査とは
法務局は、法務省の地方組織として、不動産登記・法人登記などの登記事務をはじめ、戸籍、国籍、供託、人権擁護などの業務を行っている機関です。
法務局調査とは、法務局で土地・建物に関する書面を取得して、所有権や土地の境界、形状などの公的な情報を確認する調査です。役所調査とも呼ばれるものの一つです。
土地・建物といった不動産においては、その所在や面積、所有者などが公的な帳簿に記録されています。
工務店・ビルダーが土地の購入や住宅設計を行う際は、土地の所有者や敷地面積、境界などの確認が必要です。法務局には、このような土地・建物の権利関係や地籍などに関する公的な書面が備えつけられており、一般に公開されています。
なお、不動産関係の公的書面は、法務局に出向いて取得するほかに、インターネットで取得することも可能です。
法務局調査の重要性や注意点については、こちらの記事でも解説しています。併せてご一読ください。
法務局で取得できる書類
法務局では、土地や建物に関するさまざまな書類を取得することが可能です。
①地図・公図
地図・公図とは、土地の位置関係や形状を確認できる図面のことです。
土地の地番や隣地との位置関係が示されており、その土地の大まかな情報を収集する際に活用されます。
地図
地図は、『不動産登記法』第14条第1項に規定される図面です。国が実施する地籍調査によって面積や境界の測量・境界確定を行って作成されます。
▼法第14条第1項に規定する地図の例
画像引用元:盛岡地方法務局『地図サンプル』
土地の形状・方位・縮尺・面積・距離などの正確性が高く、一定の誤差の範囲で図を基に現地で境界を復元する“現地復元”が可能です。
(出典:盛岡地方法務局『地図サンプル』)
公図
公図は、明治時代に作成され、“地図に準ずる図面”とも呼ばれる図面です。
▼公図の例
画像引用元:山形地方法務局『公図って何?~地図と公図の違い~』
地図に比べると正確性が低く、“法第14号第1項の地図に代わる図面”として備えつけられています。
現在、正確性の高い地図が使われている地域と、正確性の低い公図が使われている地域があります。国は、順次地籍調査を行い、正確性の低い公図を地図へと取り替える取組みを進めています。
(出典:山形地方法務局『公図って何?~地図と公図の違い~』)
②登記事項証明書
登記事項証明書とは、不動産の基本情報や権利関係について詳細に記載されている公的な証明書です。
登記事項証明書は、主に表題部と権利部に分かれて記載されています。それぞれの記載事項は、以下のとおりです。
▼登記事項証明書への記載内容
表題部 |
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権利部(甲区・乙区) |
①甲区
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②乙区
|
法務省『不動産登記のABC』を基に作成
▼登記事項証明書のサンプル
画像引用元:法務省『全部事項証明書 見本』
(出典:法務省『不動産登記のABC』『全部事項証明書 見本』)
③地積測量図
地積測量図とは、敷地の境界や面積を示す公的な図面です。
1筆(※)の土地で測量を実施して作成されており、図面の線の太さや縮尺にも細かな規定が設けられています。土地の登記簿にも登録されており、登記申請時に提出が必要です。
地積測量図で確認できる主な内容には以下が挙げられます。
▼地積測量図への記載内容
- 地積測量図の作成者、申請人
- 測量年月日
- 土地の地番・所在
- 測量時の基準点や引照点
- 面積の計算方法
- 測量図 など
▼地積測量図のサンプル
画像引用元: 盛岡地方法務局『地積測量図サンプル』
なお、混同されやすい測量図として以下の2つが挙げられますが、それぞれ地積測量図とは異なるため、注意が必要です。
▼現況測量図と確定測量図
現況測量図 |
|
確定測量図 |
|
※1筆とは、人為的に分けた土地の区分のこと。土地の単位として1筆ごとに登記される。
(出典:盛岡地方法務局『地積測量図サンプル』)
④建物図面
建物図面とは、建物の形状や位置などを示した図面のことです。
建物の新築や、登記内容に変更があった場合の表題登記を行う際に添付されています。
建物図面と一緒に、各階の図面を示した各階平面図がセットになっていることが一般的です。
▼建物図面への記載内容
- 建物の家屋番号・所在
- 図面の縮尺
- 図面の作成者・作成年月日
- 建物の形状・面積・寸法・方位
- 床面積の計算方法
▼建物図面・各階平面図のサンプル
画像引用元:盛岡地方法務局『建物図面サンプル』
(出典:盛岡地方法務局『建物図面サンプル』)
法務局調査の注意点
土地の購入や住宅の建築を行う際は、法務局で取得できる書面の情報が正確か、実際と相違点がないか確認することが重要です。
法務局で取得する公図や地積測量図などの書類には、作成年月日が古く、正確性に欠けていたり、正しく変更点が登記されていなかったりするケースも存在するからです。
法務局調査を実施する際は、書類の情報だけで判断せず、自治体に問合せたり、役所調査や現地調査、道路調査を行ったりして、総合的に判断することが必要です。
工務店・ビルダーが実施するそのほかの調査については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、法務局調査について、以下の内容を解説しました。
- 法務局調査の内容
- 法務局で取得できる書類
- 法務局調査の注意点
法務局調査は、土地の購入・住宅建築を行う際に、その不動産の権利関係や地籍などの公的な情報を収集することが目的です。
法務局で取得できる書面には、地図・公図や登記事項証明書、地積測量図、建物図面が挙げられます。ただし、これらの書類には、古くに作成されたものや、変更点が正しく登記されていないものもあるため注意が必要です。
工務店・ビルダーが土地・建物を調査する際は、法務局調査に加えて、役所調査や現地調査、道路調査などを行い、情報の正確性について総合的に判断することが重要です。
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