リノベーション営業の流れとコツ! 住宅ストック数やリフォームとの違いも解説
近年、既存の中古住宅に新たな価値や機能を持たせる“リノベーション”が注目されています。
リノベーションによって既存住宅の流通を促進することは、社会問題となっている“空き家問題”の解消にもつながると期待されています。
また、工務店・ビルダーにとっても、中古住宅のリノベーションを引き受けることが売り上げの向上や顧客獲得につながるビジネスチャンスになるといえます。
しかし、顧客へリノベーションを提案する際、「なかなかうまく提案できない」「いまいち流れがつかめていないのでコツが知りたい」とお悩みの担当者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、既存住宅市場の現状、リノベーションとリフォームの違いを踏まえて、リノベーション営業を行うときの流れや顧客対応の際に活用できるコツについて紹介します。
目次[非表示]
- 1.既存住宅市場の現状
- 2.リノベーションとリフォームの違い
- 3.リノベーション営業の流れとコツ
- 4.まとめ
既存住宅市場の現状
現在の既存住宅市場では、住宅ストックの数が増加の一途をたどっています。
国土交通省『平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要』によると、国内の住宅ストック数は世帯数を上回っており、空き家の増加が問題となっています。
▼住宅ストック数・世帯数の推移
画像出典:国土交通省『平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要』
住宅ストック数(住宅総数)は、1998年から2018年までの20年間で1,216万戸増加しており、空き家率も11.5%から13.6%まで増加している状況です。今後も人口の減少に伴って世帯数の減少が予測されていることから、さらなる住宅ストックの増加が見込まれています。
また、住宅ストックには耐震・断熱・省エネといった品質面の問題もあります。
たとえば、耐震性がない住宅は全国で約 900 万戸と推計されています。こうした品質面の問題をリノベーションやリフォームを通じて、安心して暮らせる住宅へと改善する取組みが求められています。
出典:国土交通省『平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要』『既存住宅流通市場の活性化』
リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームは、どちらも既存住宅に対して“改修工事を行う”点では同じですが、それぞれの目的が異なります。
リフォームでは、部分的・表面的な改修によって住宅を新築の状態に近づけることが目的です。
これに対してリノベーションでは、暮らしにフォーカスした包括的な改修により、住宅の機能・価値を向上させることが目的です。
リノベーション
既存住宅に対して機能を付け加えて新たな価値を生み出す改修工事のこと。間取り・内装・配管などを住む人のライフスタイルに合わせて新たに造り上げることが可能です。
▼リノベーションの具体例
- 3DKを2LDKにしてリビングを設ける
- 独立キッチンをリビングとつながった対面キッチンに改修する
リフォーム
老朽化した内装や配管などを修復する工事のこと。古くなった住宅を改修工事によって原状回復することで、新築の状態に近づけます。
▼リフォームの具体例
- 老朽化した浴室をシステムバスに取り替える
- 傷んだフローリングや畳を改修する
リノベーション営業の流れとコツ
工務店・ビルダーがお客さまにリノベーション営業を行うときは、以下の3つの流れで進めることが一般的です。各ステップの営業方法やコツについて解説します。
①集客
1つ目のステップは集客です。リノベーションに関心がある方や検討中の方に自社を知ってもらい、問合せ・来店へとつなげる必要があります。
具体的な集客の方法には、イベントや相談会の実施、チラシの配布などが挙げられます。
インターネットから施工会社やリノベーション事例を検索する人もいるため、Webサイト・SNS・ポータルサイトでの情報発信も有効です。
また、効果的に集客につなげるには、リノベーションを検討しているお客さまが求める情報を発信する必要があります。
以下のように、リノベーションによる効果や魅力が伝わる情報を伝えることがコツです。
▼集客を目指して発信する情報の例
- リノベーション前後の施工事例
- 自社コンセプト、住宅のテーマ
- 内装材・設備機器の情報
②施工提案
2つ目のステップでは、集客したお客さまに向けてリノベーションの提案を実施します。自社のコンセプトやテーマを反映しつつ、お客さまのニーズを満たすデザイン・間取りなどを検討・提案します。
この際、お客さまの家族構成やライフスタイルをヒアリングしたうえで、実際にリノベーション後の暮らしをイメージしやすい提案をすることがコツです。リノベーション後の生活を想像しやすくなり、提案の訴求力が向上します。
▼施工提案の例
- リビングが広く、家族が自然と集まりやすい家
- お子さまと一緒にアウトドアリビングが楽しめる家
- テレワークの夫婦がプライベートな時間と仕事を切り分けて暮らせる家
③設計・施工
3つ目のステップでは、提案した施工企画を基に具体的な設計プラン、完成イメージを作成します。
設計内容や予算をお客さまと確認しながら最終調整を行います。住宅ローンを利用する際は、お客さまの家計やライフプランに応じて返済計画を立てることも重要です。
施工に進む前には外観・内装といった見た目だけではなく、安全性や費用についての詳細を説明し、品質面・費用面に対するお客さまの不安を解消することがコツです。
▼お客さまの不安を解消するために行う対応の例
- 住宅の基礎や劣化・不具合などを調査するインスペクションを実施する
- 長期優良住宅へのリノベーションを提案する
- 中古物件の購入が別途必要なお客さまの場合は、トータルコストを基にリノベーション費用を調整する
まとめ
現在、日本では増加する既存住宅を有効活用するために、リノベーションやリフォームの実施が求められています。
部分的・表面的な改修によって新築に近づけるリフォームに対して、リノベーションは住む人のライフスタイルに合わせた改修によって、住宅の機能・価値を向上する目的があります。
リノベーション営業の集客には、イベント開催やチラシの配布、Webサイト、SNSなどを活用できます。また、提案時にはお客さまの家族構成やライフスタイルをヒアリングして、施工後の暮らしをイメージしやすい提案を行うことがコツです。
お客さまが中古住宅の品質に対する不安を抱えている場合には、長期優良住宅化の提案やインスペクションの実施も検討しましょう。
工務店・ビルダーの売り上げ向上や顧客獲得に向けて、リノベーション営業にも力を入れてはいかがでしょうか。