住宅営業ノウハウ

“土地なし客”営業完全ガイド!注文住宅の受注率を高める条件整理とフォロー戦略

注文住宅の受注においては、「顧客がすでに土地を所有しているかどうか」という点が成果に大きな影響を与えます。注文住宅の購入者は、土地なしの状態からスタートするケースも多いため、事前に注意点を知っておくことが大切です。

今回は土地を所有していない顧客を相手に注文住宅の商談を進めるケースを想定して、具体的な傾向と対策をご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.土地なし客の傾向
    1. 1.1.土地が決まらずに商談が進まない
    2. 1.2.建売・マンションに流れてしまう
  2. 2.土地なし客が感じやすい不安と疑問
  3. 3.条件整理が商談短期化・成約のカギ
    1. 3.1.土地探しのハードルを下げる説明
    2. 3.2.土地予算とエリア相場を明確に
    3. 3.3.提案回数・検討期限を事前に設定
  4. 4.土地なし客攻略の実践ポイント
    1. 4.1.注文住宅のメリットと注意点を明確に伝える
    2. 4.2.顧客の希望条件を一緒に整理するヒアリング
  5. 5.まとめ

土地なし客の傾向

注文住宅の商談は、すでに土地を所有している顧客を相手に行う方が、当然ながらスムーズに進められます。顧客が土地を持っていない場合、「商談が失敗しやすい」「長期化しやすい」といった傾向が見られるので、十分に対策を練っておく必要があります。

ここではまず、土地なし顧客との商談における典型的な失敗のパターンを見ていきましょう。


土地が決まらずに商談が進まない

土地選びにはある程度の専門的な知見が必要であるため、実際に土地探しをスタートすると、理想やイメージとのギャップに驚いてしまう顧客は少なくありません。土地探しは人生でそう何度も経験するものではないので、「建築に関する法令を見落としていた」「近隣の開発情報を入手できていなかった」など、想定外のつまずきも多いものです。

その結果、注文住宅を検討していても希望条件を満たす土地が見つからず、商談が滞ってしまうというケースが考えられます。


建売・マンションに流れてしまう

もう1つの失敗パターンは、顧客が注文住宅から建売やマンションといったその他の購入方法に流れてしまうというものです。注文住宅は自分の理想を詰め込める自由度の高さが魅力である半面、決めなければならないことが多岐にわたるため、人によっては決断が面倒に感じられてしまう場合もあります。

特に土地探しからスタートする場合には、希望の住宅設計や現実的な予算などのバランスを意識しなければならず、顧客の負担も大きくなってしまいます。そのため、当初は注文住宅を希望していても、途中から建売・マンションへと気持ちが動いてしまうケースも多いのです。

こうした点を踏まえ、顧客が土地を所有していない場合は、できるだけ早い段階で本当に注文住宅を求めているのかを見極める必要があります。

土地なし客が感じやすい不安と疑問

土地を持たない状態で注文住宅の購入を検討する場合、顧客の心理にはどのような働きが生まれるのでしょうか。1つめは、やはり「もっと良い土地が売りに出るのではないか」という懸念です。

生活の様子を思い描きやすい住宅とは異なり、更地の状態の土地は、顧客にとって活用のイメージが湧きにくいものです。そのため、本来であれば好条件の土地であっても、「いくつか比較してみなければ良さが分かりにくい」「もっと優れた条件の土地があるかもしれない」といった心理が働き、なかなか購入が決断できないパターンは多いといえます。

そして、2つめは「そもそも注文住宅を選んだ理由が漠然としている」というものです。顧客の頭の中に、「家を建てるなら注文住宅」という漠然とした前提が存在している場合、実際にプランを考え始めてから気持ちが揺れ動いてしまうケースは少なくありません。

最終的には「予算や条件を満たすなら建売やマンションでも構わない」と、プランの変更を望むケースもあります。

条件整理が商談短期化・成約のカギ

土地なしの状態からスムーズに商談をまとめるには、何よりも「条件整理」に力点を置くことが重要です。ここでは、条件整理のポイントとして、3つの注意点を見ていきましょう。


土地探しのハードルを下げる説明

土地探しにおいては、すべての理想を満たす100点満点の物件は見つからないという前提を理解してもらう必要があります。土地には定価こそありませんが、さまざまな条件をもとにした相場は存在します。

スタート時の予算設定で、ある程度購入できる土地のグレードは決まってしまうので、驚くほどお買い得な土地はないという点をいかにして理解してもらえるかが重要です。基本的には、「60点であれば購入を検討するライン」「理想を80%満たすのであれば十分にお買い得な物件」と判断してもらえるように、顧客との意思疎通を図っておきましょう。


土地予算とエリア相場を明確に

注文住宅の場合、全体の予算から「土地購入予算」と「住宅建築費」「諸費用」を割り出し、現実的な金額を決める必要があります。スムーズに購入を進めるためにも、早い段階でトータルの予算を割り出し、土地にどれだけの金額を割けるのかを決めてもらいましょう。

そのうえで、購入を希望するエリアについては丁寧に情報提供を行い、顧客にもしっかりと相場観を養ってもらうことが大切です。顧客のなかで予算と相場が明確になってさえいれば、あれこれと迷う場面が少なくなるため、土地購入に関する意思決定がスムーズに行えるようになるでしょう。


提案回数・検討期限を事前に設定

個別の土地の商談においては、無用な長期化を避けるためにも、あらかじめスケジュールを確定させてしまうことが大切です。なぜなら、土地提案が長引けば長引くほど、顧客の温度感は低くなり、商談が流れてしまうリスクも高まるためです。

そこで、ファーストプレゼンの段階で、土地の提案回数と検討期間を設定しておくのがおすすめです。たとえば、「土地の提案は2回まで」「検討期間は3ヶ月まで」と決めておけば、必要以上に長期化するのを予防できます。

また、せっかく接点を持った顧客が競合他社に先決されるのを防ぐために、自社での契約をどの程度検討しているのかを確かめることも重要です。

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土地なし客攻略の実践ポイント

最後に、ここまでの内容も踏まえながら、土地なし客との注文住宅の商談で押さえておきたいコツを確認しておきましょう。


注文住宅のメリットと注意点を明確に伝える

まずは、できるだけ早い段階で、注文住宅に対する顧客の本気度を確かめておく必要があります。漠然としたイメージのままで商談を進めるよりも、しっかりと注文住宅のメリットと注意点の両面を伝える方が、効率的に成果へと結びつけることができます。

また、きちんと注文住宅の特徴を知ってもらうことは、何よりも顧客にとっての利益につながるでしょう。たとえば、「建売住宅との工期・スケジュールの違い」「費用の仕組みの違い」「注文住宅の種類(フルオーダー型やセミオーダー型など)」を説明することで、顧客にはきちんと納得のいく答えを見つけてもらえるようになります。

明確な方向性が決まっていれば、土地なしの状態でも比較的にスムーズな決断を促しやすくなるのです。


顧客の希望条件を一緒に整理するヒアリング

一般の顧客は土地選びに不慣れなため、自身で希望条件をまとめてもらうのは難しい面もあります。そこで、丁寧にヒアリングを行い、顧客のニーズを一緒に整理していくことも大切です。

たとえば、「駅までのアクセスが良い・生活利便性が高い」といった条件と「閑静な住宅街・広さにゆとりのある土地」といった条件は、本来相反する性質を持つため、両立させるのが難しいです。そこで、顧客がイメージする暮らしから、最適な優先順位を探していく取組みが重要となります。

また、関連する法令や接道といった顧客が見落としやすいポイントについては、専門家として、丁寧にアドバイスを行うことも大切です。

まとめ


土地なし客との注文住宅営業では「条件の明確化」と「決断しやすい提案」が受注の決め手!

早い段階から予算・エリア相場・希望条件の整理をサポートし、タイムライン・情報提供・本気度確認を丁寧に行うことで、着実な成約へと導きましょう。


●記事のおさらい

最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:土地なし客との注文住宅の商談でつまずきやすいポイントは?

A:1つめは「土地が決まらずに商談がまとまらない」という点があげられます。そして、もう1つは「建売やマンションに流れてしまう」というものです。一般的には、商談が長引くほど、こうした傾向が見られやすくなります。

Q:土地なし客との注文住宅の商談の攻略法は?

A:まずは注文住宅の特徴を丁寧に説明し、本気度を確かめることが大切です。そのうえで、土地の予算決めや相場の把握、条件整理などを一緒に行い、スムーズな意思決定が行えるようにサポートするのがポイントです。

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監修者 三輪歩己
監修者 三輪歩己
不動産鑑定士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、 相続診断士、J-REC公認不動産コンサルタント。名古屋市立大学薬学部卒。 大学在学中に不動産鑑定士2次試験合格。日本土地建物株式会社にて、 不動産鑑定や不動産証券化業務に従事。その後外資系不動産ファンド等にて 物件購入・管理・経営企画等業務に従事。約20年間の鑑定・宅地建物取引業の 経験を活かし、2020年に不動産パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。 同社では、不動産鑑定業・宅地建物取引業に加え、不動産専門の相続診断士として 活動を行う。

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