住宅営業ノウハウ

《後編》土地なし客の攻略方法とは!?必要な情報と提案内容、トークスクリプトを紹介!

注文住宅の受注においては、土地を持っている顧客よりも、まだ土地を取得していない顧客の方が商談は難しい傾向にあります。今回は土地なし顧客の攻略方法として、どのような情報を提供すべきか、基本的なスタンスや内容を紹介します。

また、いくつかのケースを想定して、具体的なトークスクリプト例も見ていきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.情報量と提案材料の重要さ
  2. 2.土地情報の収集と調査について
    1. 2.1.周辺地域の情報収集を行う
    2. 2.2.現地調査を行う
    3. 2.3.役所調査を行う
  3. 3.提案資料に載せるべき必須事項
  4. 4.トークスクリプト例
    1. 4.1.トークスクリプトとは
    2. 4.2.トークスクリプトの基本的な流れ
    3. 4.3.トークスクリプトの例

情報量と提案材料の重要さ

注文住宅の受注においては、顧客が土地を持っているかどうかで商談のしやすさにも違いが表れます。一般的に土地なしの顧客は、土地探しや商談に時間がかかる傾向が見られるため、どうしても敬遠してしまうという企業は少なくないのではないでしょうか。

しかし、土地がないということは、「他の会社もまだ十分にアプローチできていない」状態であるというプラスの側面も期待できます。検討の初期段階から顧客に対して親身に応対すれば、信頼獲得につながり、有利なポジションで商談を進められる可能性があるのです。

そこで重要となるのが、十分な情報量と提案材料の提供です。自社に豊富な情報量が蓄積されていれば、さまざまな考えを持つ顧客の価値観に合わせて、ニーズを整理するサポートを行い、希望条件をコントロールしつつ、優位に商談へとつなげられるようになります。

土地情報の収集と調査について

土地の情報量は、不動産事業を行ううえで土台を支える重要なポイントです。多くの不動産会社が土地を取得するための情報網を張り巡らせているので、いち早くデータを取得し、活用の準備を整えることが大切です。

ここでは、土地の情報収集や調査についておさえておくべきポイントを解説します。


周辺地域の情報収集を行う

まずは、スピード感を意識して、周辺地域の情報収集を行います。人気のエリアの土地は、一度市場に出るとそこからの展開が早いので、他社に負けないリサーチ能力がカギとなります。

周辺地域の地主などを通じて、価値の高い情報が得られるケースもあるため、日ごろからの関係づくりも重要な課題です。近隣地域と良質な信頼関係を築くことで、他社よりも一歩早く行動をスタートできるようになります。


現地調査を行う

良い情報を仕入れたら、実際に顧客に適した土地であるかどうかを見極めるために、必ず現地調査を行いましょう。土地の購入では大きな資金が動くこととなるため、コスト面はもちろん、詳細な条件にも気を配って判断しなければなりません。

一方で、優れた条件の土地は競争率が高いため、判断にもスピード感が求められます。現地調査はあまり日を置かずに行い、明確な判断基準をもとに顧客へ提案するかを検討することが大切です。

また、検討事項に漏れがないかなども欠かせないポイントとなるため、あらかじめ効率的にチェックできる仕組みを構築しておくことも重要となります。


役所調査を行う

「役所調査」とは、役所や法務局などで公的な書面・図面を入手し、土地の状態や制限、権利などについて調べるプロセスのことです。具体的には「建築基準法や都市計画法などによる制限」「道路の種類」「インフラ環境」などについて確認を行い、トラブルの可能性がないかをチェックします。

また、購入時のトラブルを避けるために、登記簿上の所有権者や抵当権の有無、隣地との境界線なども確認しておくことが大切です。正しく役所調査を行い、権利関係や法令制限などを把握することで、取引上のリスクを回避できるのです。

提案資料に載せるべき必須事項

土地の提案資料には、必要な情報を過不足なく掲載することが大切です。主な掲載事項としては、次のようなものが挙げられます。

  • 土地の面積、地形・方位等の基礎情報
  • 夜間の周辺道路の明るさ
  • 近隣の住人の層
  • 降雨時の周辺の土地や道路の排水
  • 眺望、採光
  • 夏と冬の風の通り道
  • 建築時の資材の搬入経路
  • 段差の解消の有無

土地の地形や方位といった基本的な情報はもちろん、実際に住宅を建てることをイメージして、より具体的な情報を提供する必要があります。特に建築時の資材搬入のしやすさ、排水などは一般的な購入者が見落としがちなポイントであり、専門家ならではの視点が求められます。

また、高低差のある土地では、段差解消の必要性とともに、必要な場合の施工内容や目安コストも提示できると親切です。それ以外に、地元密着型の不動産会社であれば、近隣に関する情報の密度で他社に差をつけることもできます。

近隣住民の層や治安など、地元に詳しい会社ならではの情報をそろえることで、より有益な提案資料を作成できるようになります。

トークスクリプト例

土地をはじめとする不動産の営業活動は、個人のスキルや経験にバラつきが生じやすく、属人化しやすい側面を持っています。組織全体として優れた成果を上げるためには、1人ひとりの資質や能力のみに頼るのではなく、営業トークの内容やクオリティを安定させる仕組みも重要です。

そして、そのために有効な方法としてあげられるのが、「トークスクリプト」の作成です。


トークスクリプトとは

トークスクリプトとは、顧客に対してどのような内容で話を進めるのかが記載された営業トークマニュアルのことです。主にコールセンターやコンタクトセンターなどで用いられる台本を指しますが、不動産営業においても十分に活用することができます。


トークスクリプトの基本的な流れ

トークスクリプトは、営業活動全体の流れを意識して作成することが大切です。具体的には、次のようなステップに沿って構成案を立ててみるとよいでしょう。

        

営業活動の流れ

トークスクリプトの内容



1.挨拶

挨拶と簡単な自己紹介

2.ヒアリング

顧客の課題を引き出す質問、悩みに寄り添うコメント

3.紹介、提案

紹介する土地の魅力やメリットの訴求

4.クロージング

意思決定を促す言葉


トークスクリプトの例

土地の紹介においては、主に2つのポイントを意識してトークスクリプトを考えることが大切です。1つめは「顧客が求めているものを正確に把握すること」です。

更地の土地では完成後の住宅をイメージするのが難しく、顧客自身もどのような条件で探せばよいのか迷ってしまう場面が少なくありません。自身のニーズを正確に伝えることも難しいため、専門家である営業担当者側から、積極的に深掘りしていく必要があります。

そこで、以下のような手順で、顧客の本来のニーズを確認していくとよいでしょう。

トークスクリプト例:顧客のニーズを明確化したい場合

顧客:「〇〇区で40坪程度の土地を探しているのですが、なかなか良い物件が見つからなくて…」
担当者:「ご相談くださりありがとうございます。何か40坪にこだわっている理由などはございますか」
顧客:「いいえ。インターネットで検索すると、平均坪数がそのくらいと出てきたんです」
担当者「そうだったのですね。実は、〇〇区は全国平均と比べると地価が高く、一戸建て用地の平均面積もやや狭い特徴があるのです。ライフスタイルに応じてピッタリな広さは異なりますし、もしよろしければ理想の住宅条件をお伺いして、一緒に坪数を見直してみませんか」
顧客:「そうなんですか。ではよろしくお願いします」

このように、顧客が求めるものを丁寧に把握していくなかで、納得のいく決断をしてもらいやすくなります。そして、もう1つのポイントが、「顧客の暮らしを中心にした視点で提示すること」です。

ここでは、不整形地の購入に迷っている顧客を想定して、トークスクリプトの例を紹介します。

トークスクリプト例:顧客が不整形地の購入を迷っている場合

顧客:「予算内でこのエリアだと、どうしても整形地は見つからないとのことでした。広さを確保するには不整形地しか選択肢がないので、買うべきかどうか迷っているのですが」
担当者:「ご相談くださりありがとうございます。確かに地形は悪く見えるかもしれませんが、お子さまが道路に飛び出す心配がない庭が作れるので、安心して遊ばせてあげられるなどのメリットもあります」
顧客:「そうなんですね」
担当者:「もしよろしければ、不整形地をうまく活用した一戸建ての事例なども紹介させていただけないでしょうか」
顧客:「そうですね。一度見せてもらってもよろしいですか」



●記事のおさらい

最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:土地の情報収集で重要なこととは?

A:まずは他社に負けないスピード感と、地主などの関係者との信頼関係づくりが重要となります。また、役所調査を行い、取引上のトラブルを避けることも大切です。

​​​​​​​Q:土地を売るためのトークスクリプトはどうつくるべき?

A:土地を購入してもらうためには、顧客のニーズを丁寧に深掘りできるようなトークスクリプトを考えることが大切です。そのうえで、「不整形地の購入に迷う場合」などのいくつかの具体的なケースを想定し、細かく作成していくのがポイントとなります。

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監修者 三輪歩己
監修者 三輪歩己
不動産鑑定士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、 相続診断士、J-REC公認不動産コンサルタント。名古屋市立大学薬学部卒。 大学在学中に不動産鑑定士2次試験合格。日本土地建物株式会社にて、 不動産鑑定や不動産証券化業務に従事。その後外資系不動産ファンド等にて 物件購入・管理・経営企画等業務に従事。約20年間の鑑定・宅地建物取引業の 経験を活かし、2020年に不動産パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。 同社では、不動産鑑定業・宅地建物取引業に加え、不動産専門の相続診断士として 活動を行う。

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