選ばれる工務店・ビルダーになるには?ハウスメーカーと差別化を図る5つの強み
国内における新設住宅着工戸数は長期的に見て増減を繰り返していましたが、コロナ禍の2020年前後では特に大きな減少が見られました。
2021年以降に入って、一戸建て・マンションともに緩やかに増加しましたが、2022年5月には再び減少が見られており、住宅市場の変動が激しく、低迷が続いていることが分かります。
画像引用元:経済産業省『木造住宅投資の動向をみる;新型コロナ感染症拡大以降は』
このようななかで、「知名度や豊富な実績を持つ大手のハウスメーカーとの差別化が難しく、思うように顧客を獲得できない」とお悩みの工務店・ビルダーも多いのではないでしょうか。
競合他社との競争が激しくなるなか、工務店・ビルダーは、独自の強みを活かして付加価値を創出することが重要です。
この記事では、大手ハウスメーカーとの差別化を図るための工務店・ビルダーならではの強みについて解説します。
(出典:国土交通省『令和4年度 住宅経済関連データ』/経済産業省『木造住宅投資の動向をみる;新型コロナ感染症拡大以降は』)
目次[非表示]
- 1.工務店・ビルダーが差別化を図るポイント
- 2.工務店・ビルダーの強み
- 2.1.①施主のこだわりを反映できる
- 2.2.②柔軟かつきめ細かな対応ができる
- 2.3.③地域環境の特性を生かした提案ができる
- 2.4.④施主の想いが施工者に伝わりやすい
- 2.5.⑤ニッチなコンセプトを提供できる
- 3.まとめ
工務店・ビルダーが差別化を図るポイント
大手ハウスメーカーとの差別化を図るポイントは、“顧客の視点に立ち、独自性のある価値を見いだす”ことです。
工務店・ビルダーが差別化を考える際、単に競合他社との違いを見つけたり、ある分野で優位に立ったりすることは、本質的な差別化とはいえません。
たとえば、相場より価格が低い、住宅性能が高いといった強みを打ち出しても、競合他社と同質化してしまい、結局は価格や知名度での競争につながってしまいます。
「住宅を買うなら、信頼できるこの工務店がいい」「値段にかかわらず、この住宅が欲しい」と顧客に感じさせるような、心理に響く強みを打ち出す工夫が必要です。
工務店・ビルダーの強み
工務店・ビルダーによって対応範囲は異なりますが、大手ハウスメーカーとの差別化につなげられる一般的な強みとしては、以下のようなものが挙げられます。
①施主のこだわりを反映できる
1つ目は、施主のこだわりを反映した住宅づくりができることです。
工務店・ビルダーでは、既存の建築プランではなく、一から間取りやデザインをつくり上げていくオーダーメイドの設計が可能です。
個性豊かなデザインに対応できるほか、建築資材や導入設備、造作家具なども自由に選べるため、細部に至るまで独自のデザイン・設計ができます。
このような設計の自由度は、特に住宅設計に強いこだわりを持つ方や、個性・感性を大切にしている方に対して、大きな強みとしてアピールできます。
②柔軟かつきめ細かな対応ができる
2つ目は、顧客一人ひとりに対して柔軟できめ細かな対応ができる点です。
工務店・ビルダーでは、ハウスメーカーと比べると設計・予算計画・施工など、各担当者の数が少なく、小規模なこともあります。そのぶん、担当者と施主の距離が近く、施主の要望や希望する予算、スケジュールなどに柔軟に対応しやすくなります。
また、担当者とのコミュニケーションの取りやすさ、施工者との距離の近さが施主の安心材料となる点も強みといえます。住宅という大きな買い物だからこそ、信頼感や安心感を重視して施工会社を選ぶ顧客も多いと考えられます。
③地域環境の特性を生かした提案ができる
3つ目は、地域環境の特性を生かした提案ができることです。
地域に根付いた工務店・ビルダーでは、その土地の環境特性をより深く理解しているという特徴があります。地域で長年携わってきた経験・知識を生かした提案が可能です。
▼提案例
- 気候風土・交通状況に応じた住環境をつくる
- 周辺環境と外観に統一性を持たせる
- 過去の災害を踏まえて必要な災害対策を提案する など
このように、地域特性や環境に配慮した住宅性能を提案したり、情報提供をしたりできることは、その地域を拠点としている工務店・ビルダーならではの強みといえます。
④施主の想いが施工者に伝わりやすい
4つ目は、施主の想いが施工者に伝わりやすいことです。
工務店・ビルダーの場合は、専任の担当者が打ち合わせから施工管理まで一貫して対応することで、施主の希望や想いを齟齬なく施工者に伝えられます。ハウスメーカーであれば、各工程で担当者が異なる、外注先に丸投げしているというケースも少なくありません。うまく連携がとれていないと「施主の希望が現場に伝わっていなかった」というトラブルにもつながります。
しかし、工務店・ビルダーのように一貫体制の場合は、顧客の声を的確かつ迅速に施工者に伝えられるという強みがあります。
⑤ニッチなコンセプトを提供できる
5つ目は、ニッチなコンセプトを提供できる点です。
工務店・ビルダーの多くは、“設計自由度の高さ”“自然素材”などを強みにしています。そのため、既に確立された住宅ブランドや建築プランを持つ大手ハウスメーカーにはないような独自のコンセプトを提案できます。
▼コンセプト例
- 施主の希望を叶える自由度の高いオーダーメイド住宅
- 自然素材と無垢材にこだわった住宅
- ペットと過ごしやすい住宅 など
特定のコンセプトに絞った住宅デザイン・設計のこだわりをアピールすることで、付加価値の創出やファン化につなげられます。
まとめ
この記事では、ハウスメーカーと差別化を図るための強みについて、以下の内容を解説しました。
- 工務店・ビルダーが差別化を図るポイント
- 工務店・ビルダーならではの強み
大手ハウスメーカーとの差別化を図るためには、顧客の視点に立ってニーズを考えること、独自性のある付加価値を見いだすことが重要です。
工務店・ビルダーならではの強みとしては、施主のこだわりを反映できることや、地域環境の特性を生かした提案ができること、ニッチなコンセプトを提供できることなどが挙げられます。
今回ご紹介した内容を踏まえて、自社ならではの強みを生かした差別化戦略を検討されてはいかがでしょうか。
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顧客視点に立ち、差別化を図るための自社の強みを見いだすには、顧客ニーズを把握することも欠かせません。顧客ニーズの変化については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
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