ロジカルシンキングとは? 基本の考え方と身につけるためのコツ
営業活動において欠かせないスキルの一つにロジカルシンキングがあります。
工務店・ビルダーの営業で「顧客に伝えたいことがうまく伝わらない」「交渉力に自信がない」と悩む営業担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
顧客に自社の商品・サービスを分かりやすく伝え、魅力を理解してもらうためには、ロジカルシンキングを鍛えることが重要です。
そこで今回は、ロジカルシンキングとは何か、基本の考え方や身につけるためのコツ、営業現場でなぜ重視されているのかなどをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.ロジカルシンキングとは
- 1.1.ロジカルシンキングの練習問題①
- 1.2.ロジカルシンキングの練習問題②
- 2.営業活動でロジカルシンキングが必要な理由
- 3.ロジカルシンキングを身につけるためのフレームワーク
- 3.1.MECE(ミーシー)
- 3.2.ロジックツリー
- 3.3.ピラミッドストラクチャー
- 4.ロジカルシンキングを身につけるための3つのコツ
- 4.1.①クリティカルシンキングを意識する
- 4.2.②実務に沿ったテーマでアウトプットする
- 4.3.③フィードバックを繰り返す
- 5.まとめ
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、ひと言でいえば“論理的思考”のことです。物事を整理・分析して論理的に考えるロジカルシンキングを活用すれば、筋道を立てて物事を伝えられます。
ロジカルシンキングを言葉で説明しても理解しにくい部分もありますので、練習問題も併せて確認しておきましょう。
ロジカルシンキングの練習問題①
問)以下の2つから導き出される結論は何か
- TwitterはSNSの一つである
- AはTwitterを使っている
この例題では“演繹(えんえき)法”という思考法が用いられています。演繹法とは、いくつかの前提条件と個別の事象を組み合わせて結論を導き出すことです。
設問例の場合、①が前提条件、②が個別の事象に当たります。①の前提条件には、誰もが知っている一般論や普遍的な事実を用いることが重要です。主観が混じってしまうと正しい結論を導き出せなくなるため注意が必要です。
解答
AはSNSを使っている
ロジカルシンキングの練習問題②
問)以下の事実からどのような推論が導き出せるか
- 訪問営業で案件化しないケースが7割を超えている
- Webサイトの問合せから案件化したケースが増加している
- 情報検索にインターネットを利用する人が増加している
この例題には“帰納(きのう)法”という思考法が用いられています。帰納法は、いくつかの事実や事例に基づいて分析・推測して、結論を導き出すことです。
アンケート調査やマーケティングの分析結果を重視して、傾向を導き出したうえで結論へと結びつけます。演繹法よりも結論にある程度幅があるのが特徴です。
解答
訪問営業よりもインターネットからのアプローチが有効
営業活動でロジカルシンキングが必要な理由
ロジカルシンキングとは何かを理解したうえで、なぜ営業活動において重視されるのかを把握しておくことも大切です。ロジカルシンキングは、以下のようなことを実現できます。
- 根拠と結論のある筋の通った説明で相手を納得させられる
- 相手の考えやニーズを的確に捉え、適切な提案を行う
- 正確な意思の疎通でスムーズなコミュニケーションを行う
営業活動では、商談やプレゼンテーション、上司への報告など物事を伝える機会が多いです。
ロジカルシンキングを身につけることで、さまざまなシーンで根拠に基づいた説明ができるようになります。
ロジカルシンキングを身につけるためのフレームワーク
ロジカルシンキングをより効果的に身につけるためには、フレームワークについても理解しておきましょう。
MECE(ミーシー)
MECEとは、物事の要素を洗い出し、漏れなく・重複なく捉えるためのフレームワークです。
- Mutually(互いに)
- Exclusive(重複せず)
- Collectively(全体に)
- Exhaustive(漏れがない)
これら4つの要素を洗い出して分析することにより、それまでに気づかなかった点が浮き彫りになり、問題の原因究明・解決につながります。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、課題やテーマに沿って情報をツリー状に整理し、よりよい選択肢を探すフレームワークです。
Why(なぜ)・How(どうやって)を展開して要素を分解することで、問題の全体像を把握できるほか、物事を細分化して漏れなく掘り下げられます。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーとは、最も強い主張をピラミッドの頂点にたとえ、その根拠となる意見をその下に組み立てるフレームワークです。
なぜその結論に行き着くのかという根拠をそろえることで、ピラミッドの頂点にくる主張を説得力のあるものにできます。このフレームワークを営業活動に生かせば、お客さまの「なぜ」という疑問に説得力のある回答ができます。
ロジカルシンキングを身につけるための3つのコツ
ロジカルシンキングを効率的に身につけるためには、フレームワークを行うことと併せて、3つのコツを意識することも大切です。
①クリティカルシンキングを意識する
クリティカルシンキングとは“批判的思考”のことで、自分の考えや言葉を批判的に見るための思考法です。この思考法では、自らの思考を問い直すのがポイントです。
▼営業活動での実施例
- 抽象的な言葉を用いていないか(具体化が必要)
- 自分が伝えたいことと相手が知りたいことが混在していないか
- 結論とそれに伴う根拠が明確か
- 事実に沿った情報と自分の意見を区別できているか
情報を鵜呑みにせず、事実と根拠に基づいて物事を判断することで、精度の高い推論を導き出します。
クリティカルシンキングについての詳しい説明は、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶クリティカルシンキングとは? ロジカルシンキングとの違いと習得のコツ
②実務に沿ったテーマでアウトプットする
ロジカルシンキングを身につけるには、思考パターンを理解するだけでなく、実務に落とし込めるようにアウトプットすることも欠かせません。
アウトプットを行うと思考パターンが定着しやすくなるため、問題を整理して解決策を導き出すまでのスピードや質が向上します。
資料作成やプレゼンテーションを通してアウトプットできる場を設けることが大切です。
▼営業活動での実践例
・主張(伝えたいこと)を明確にする
「自然の無垢素材を使った住宅設計が魅力です」
・言葉を具体化させる
「当社の住宅は◯◯という木材を使用しています」
「年月がたつほど味わい深くなります」
・筋道を立てて伝える
「◯◯という無垢材を使用しており、暮らしのなかで一緒に育てていくことで、愛着のある住まいを実現できます」
③フィードバックを繰り返す
ロジカルシンキングを身につけられているかどうかを確認するためには、フィードバックを繰り返すことも重要です。
▼フィードバックでチェックする項目の例
- よかった点(説明が分かりやすかった点)
- 改善したほうがよい点(説明が分かりにくかった点)
- 改善方法(どのようにすると分かりやすくなるのか)
説明が論理的かどうかという判断は、自分自身ではなかなかできません。
客観的に捉えられる上司や管理者がアドバイスすることで、改善点が見えやすくなります。
▼営業活動での実践例
・説明不足や分かりにくい点がないかを顧客へヒアリング
「これまでの説明で何かご不明点はございますか」
「分かりにくい点はございますか」
・対応の振り返り
「〇〇の説明について質問を受けたのはなぜか」
「お客さまの不明点をできるだけ減らすためにどのような説明ができるのか」
・フィードバックの実施
「サービスの説明自体は正しかったが、そのサービスを利用することで何が得られるのか伝えられていなかった」
「お客さまから次の商談のアポイントメントをいただいたが、なぜいただけたのか、お客さまの視点でどのような理由が考えられるのか」
まとめ
営業活動では、相手に分かりやすい提案を行うことはもちろんのこと、顧客が納得・共感できるような説明をすることが必要です。
ロジカルシンキングを身につければ、相手の意見を正確に理解し、根拠とともに主張を伝えられるようになります。
ロジカルシンキングを身につけるためには、自分の思考パターンを理解するとともに、実務でアウトプットを行うことが重要です。
上司や管理者による客観的なフィードバックを得ながらアウトプットを繰り返すことで、思考パターンを徐々に定着できるようになります。
「顧客への説明がうまくいかない」「提案した内容を納得してもらえない」などとお悩みの場合は、ロジカルシンキングの強化を図ってみてはいかがでしょうか。