コロナ禍で広がる?工務店のテレワーク導入! 必要な準備・テレワーク助成金について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、さまざまな企業が“テレワーク”という働き方に挑戦しています。
現場業務が多い工務店では、すべての業務をテレワークで進めることは難しいものの、一部の事務作業はテレワークを活用できる部分もあります。
自宅に居ながら業務ができる環境を整えることは、外出自粛という状況下でも事業活動を停滞させないため、そして従業員の安全を守るためにも重要といえます。では、工務店がテレワークを導入するには、どのような準備が必要なのでしょうか。
本記事では、工務店のテレワーク導入に必要な準備や、テレワーク助成金について解説します。
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建設業のテレワーク導入率は18.8%! コロナ禍でさらに広がると予想
総務省が発表した『平成30年通信利用動向調査』によると、建設業におけるテレワークの導入率は18.8%。
もっとも導入率が高いのは、情報通信業の39.9%で、建設業は金融・保険業、製造業、卸売・小売業に次いで5番目に高い数値となっています。
2017年と2018年を比較しても、建設業のテレワーク導入率は12.2%から18.8%に増加しており、一年間で急速にテレワークの導入が進んでいることが分かります。
また、今後も新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、テレワーク導入の重要性がさらに高まると考えられます。
工務店は現場での業務が多い業種ですが、工程管理や顧客管理などの業務は業務改革できる可能性があります。
従業員の安全を確保しつつ事業を継続していくためにも、自宅や移動先でオフィス業務に対応できる柔軟な環境整備が求められるでしょう。
(出典:総務省『テレワークの普及状況』/『平成30年通信利用動向調査の結果』)
工務店のテレワーク導入に向けた3ステップ
工務店でテレワークを導入する3つのステップをご紹介します。
事前準備に時間・費用を要する場合もあるため、自社の業務内容や課題に合わせて準備を行いましょう。
ステップ1:ハード・ソフト面の準備
テレワーク導入の際は、ハード・ソフトの両面で準備が必要になります。
ハード面
ハード面には、自宅のWi-Fi環境・PC・Webカメラ・スマートフォンなどが挙げられます。従業員が私物のPCやスマートフォンを使用する場合は、セキュリティ対策も不可欠です。
従業員のPCにウイルス対策を義務付けたり、会社専用のPCやルーターを支給したりするなどの対応も検討するといいでしょう。
ソフト面
ソフト面には、コミュニケーションツール(メール・チャットなど)や、業務管理・勤怠管理ツールなどが挙げられます。普段の業務に使用しているツールは、テレワーク環境でも使用できるように整備するのも大切なポイントです。
また、自宅でスムーズに業務を行うために、情報共有・業務指示・進捗確認などができるツールの導入も検討しましょう。
ステップ2:データのペーパーレス化・クラウド化
自宅での業務をスムーズに進めるためには、これまで紙媒体で管理していた工程表・仕様書・カタログなどのデータ化も必要です。社内や取引先の担当者はもちろん、顧客との情報共有も容易になります。
オンラインストレージサービスの活用
オンラインストレージサービスを活用すれば、社内の情報やコンテンツなどをクラウド上で一元管理ができます。
自社サーバーを保有・管理する必要がなくなるほか、インターネットを使える場所であればどこからでもアクセスできるため、テレワークに役立ちます。
代表的なオンラインストレージサービスには、Google Driveが挙げられます。
フォルダごとに権限を設定したり、操作履歴を記録したり、業務上に必要な機能が備わっているため、業務効率化にも有効です。
必要なのはGoogleアカウントのみ。容量の制限はありますが、無料プランで利用することも可能です。
クラウド型管理ツールの活用
テレワークは従業員が働く様子を把握できないため、経営陣や上層部にとっては「きちんと業務に従事しているか」「予定どおりに業務を進捗できているか」という不安もあるでしょう。
業務の進捗管理は、工程表や受発注を管理できるクラウド型管理ツールを活用するのもひとつの方法です。必要な情報をクラウド上で一元化して管理できるため、テレワーク環境での業務をスムーズに進められます。顧客管理にも役立つでしょう。
また、情報が一ヶ所に集約することで従業員との情報共有がスムーズになり、業務効率化も期待できます。
ステップ3:インサイドセールスの導入
インサイドセールスとは、お客さまと対面せずにPCや電話を使って営業活動を行う手法です。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、対面での接客が懸念されています。しかし、長期にわたる自粛は事業の継続に影響しかねません。
コロナ禍のなかで営業活動を継続的に行うためには、対面での商談に依存しないインサイドセールスの導入も検討する必要があります。
また、訪問機会を縮小することで移動時間や交通費が削減できるほか、アポイントメントの間に発生する空き時間などを有効活用できます。
時間・コストの両面で生産性向上が期待でき、効率のよい営業活動が可能です。
顧客管理システムを導入する
インサイドセールスを導入するにあたり、必要なのは顧客情報です。顧客の基本情報や商談情報、フェーズを確認しながらコミュニケーションを取れる環境を整備する必要があります。
営業活動に必要な情報をクラウド上で一元化できる“顧客管理システム”を導入すれば、スムーズにインサイドセールスを実施できます。
また、社内だけでなく顧客とのやり取りをオンラインで行えれば、業務効率化や顧客満足度の向上が期待できるでしょう。“3密”を防ぐことができるため、安全への配慮としても検討したいポイントです。
テレワーク助成金を活用しよう
政府は、テレワークを導入する企業に対して、実施にかかった費用の一部を助成する『働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)』という制度を設けています。
新規でテレワークを進める企業が一定の要件を満たし、かつ助成対象の取組みを実施した場合に助成を受けられます。助成対象の取組みには、テレワーク用通信機器の導入・運用をはじめ、就業規則の作成・変更、労働者に対する研修・周知・啓発などが含まれています。
目標を達成した場合の補助率は4分の3、従業員一人当たりの上限額は40万円で1企業当たりの上限額は300万円です。
未達成の場合は補助率・上限額等が減少しますが補助を受けることが可能です。派遣労働者がテレワークを実施している場合も対象となるため、要件を満たすか確認しておくとよいでしょう。
(出典:厚生労働省『「働き方改革推進支援助成金(※1)」のご案内(テレワークコース)』)
まとめ
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、建設業においてもテレワークの重要性が高まっています。
自宅で円滑に業務を行うためには、自宅のインターネット環境やPCなどのハード面や、コミュニケーションツール・クラウド型の管理ツールといったソフト面の環境整備が求められます。
テレワーク化を進めるにあたり、工程管理や顧客管理、お客さまとのコミュニケーションがスムーズになるクラウドサービスの活用は不可欠です。
テレワークの環境整備にも活用できるサービスとして、工務店さまの顧客管理に役立つ『マイホームアプリ「knot」-ノット-』や、業務に必要なさまざまな情報を一元化できる『工務店クラウドEX』などがあります。
テレワーク導入にあたっての課題を考慮したうえで、どのような環境整備を行うか選定しましょう。
また、営業活動では対面で接客せずに営業を行うインサイドセールスも注目されています。
外出自粛中でも事業活動が可能となるため、新型コロナウイルス感染症の影響による経済的損失を最小限に抑えるためにも有効な手段といえるでしょう。
このように、テレワークやインサイドセールスが可能な環境を整備することは、新型コロナウイルス感染症対策に有効なほか、通勤・移動時間の削減、業務効率化も期待できます。テレワーク導入の際は、導入費用を支援してもらえる助成金制度の活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。