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建設業に欠かせない帳票とは? 保存期間と管理方法について徹底解説

建設業に欠かせない帳票とは? 保存期間と管理方法について徹底解説

建設業は、日々帳票を取り扱う機会が多いといえます。請求書や契約書などの一般的な帳票だけでなく、施工体系図や施工計画書、現場点検表などの資料もさまざまあるため、帳票を適切に管理していくことが重要です。

帳票には保存期間やどのように管理をするかといった方法も決められているため、しっかりとした事前確認が欠かせません。この記事では、帳票の基本的な捉え方や保存期間、管理方法などを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.帳票とは?
    1. 1.1.紙での保存と電子化による保存
    2. 1.2.建設業における帳票の電子化
  2. 2.帳票の種類を正しく把握しよう
    1. 2.1.帳簿
    2. 2.2.伝票
    3. 2.3.証憑
  3. 3.帳票の保存期間
    1. 3.1.法人税法上の保存期間
    2. 3.2.会社法上の保存期間
  4. 4.帳票の管理方法
  5. 5.電子帳票を導入するポイント
    1. 5.1.電子帳票を導入するメリット
    2. 5.2.電子帳票を導入することで生じるデメリット
    3. 5.3.電子帳票の導入を支援するツールの選び方

帳票とは?

帳票とは、事業を行うときに必要となる帳簿や伝票などの総称です。一般的には請求書や領収書、契約書などを指しますが、建設業においてはさらにさまざまな書類が含まれます。

具体的には施工体系図や施工計画書、現場点検表などがあり、必然的に帳票の数も多くなります。また、帳票の種類によっては法律で保存期間や保管方法などが決められているため、後から負担になってしまわないように、しっかり事前に確認しておくことが大切です。

紙での保存と電子化による保存

そもそも帳票の保存は、実際に取引などが行われていたことを後から証明することが目的です。帳票がなければ取引の実態が把握できなくなるため、取引先への請求や税務申告などを行う際に困ってしまうでしょう。

帳票は、紙または電子化して保存する方法があります。紙での保存は手軽に行えますが、帳票が多くなってくると管理が煩雑になったり、保管スペースの確保が必要になったりします。

一方、帳票を電子化して保存するのであれば、保管スペースに悩まされることはありません。また、必要なときにいつでもデータを検索・閲覧できるので、情報共有などをスムーズに行えるでしょう。

建設業における帳票の電子化

建設業においては人材不足などの影響もあり、ITツールを活用した業務フローの見直しが徐々に進められています。また、電子帳簿保存法の施行によって、電子取引における電子データの保存が義務化されたことも背景の一つです。

以前は電子データをプリントアウトして紙で保存することが認められていましたが、法改正が行われた後は電子取引のデータは電子データのまま保存することが求められています。2024年1月以降の取引については、電子データで保存しなければならないので、電子帳票の導入をいち早く進めていくことが肝心です。

帳票の種類を正しく把握しよう

一口に帳票といっても、大きく分けて「帳簿」「伝票」「証憑(しょうひょう)」の3つがあります。それぞれの違いについて見ていきましょう。

帳簿

帳簿は経営に関する資料であり、具体的には総勘定元帳や仕訳帳、固定資産台帳などが挙げられます。一定の時期にどれくらいの資金が動いたか、入出金や口座の記録、会社が保有する資産などが記されています。

帳簿に該当する主なものは、以下のとおりです。

  • 総勘定元帳
  • 仕訳帳
  • 出納帳
  • 固定資産台帳
  • 買掛帳
  • 売掛帳
  • 売上帳
  • 仕入帳 など

伝票

伝票は金銭のやりとりがあったときに作成する書類を指し、主に入出金に関するものです。入出金伝票や仕入伝票などが、よく使われます。

伝票に該当する主なものは、以下のとおりです。

  • 入出金伝票
  • 仕入伝票
  • 売上伝票
  • 振替伝票
  • 経費精算伝票 など

証憑

そして、証憑は取引が行われるたびに作成される書類であり、見積書や領収書、契約書などいくつもの種類が存在します。帳簿や伝票は実際に取引があった後に作成されますが、証憑はその都度つくられるという点に違いがあるので気をつけておきましょう。

証憑に該当する主なものは、以下のとおりです。

  • 契約書
  • 見積書
  • 注文書
  • 納品書
  • 領収書
  • 給与明細書 など

帳票の保存期間

帳票の保存期間は法律によって決められています。法人税法上の保存期間と会社法上の保存期間は異なるので注意が必要です。

法人税法上の保存期間

帳票は、法人税法上の保存期間は個人が5年間であり、法人は7年間です。また、欠損金が発生した事業年度については9年間または10年間の保存が義務付けられています。

詳しくは、国税庁のWebサイトをチェックしてみましょう。

会社法上の保存期間

会社法上の帳票の保存期間は、一律10年間と定められています。帳票の種類によっては、法人税法に当てはまるもの、会社法に当てはまるもの、法人税法・会社法のどちらにも当てはまるものといった違いがあるので、それぞれの保存期間をよく確認しておくことが大切です。

帳票の管理方法

帳票の管理は前述のとおり、紙か電子データとして管理します。ただし、すべての書類を紙で長期間保管することは、保管スペースの確保が必要なだけでなく、膨大な手間がかかります。

また、紙の場合は記載ミスに気づかないまま保管している可能性もあり、後から修正を行うのに大きな労力がいるでしょう。一方、要件を満たせば一定の書類については電子データでの保存や管理が認められているため、業務効率化を図るのであれば積極的に取り入れていくことも大切です。

電子帳簿保存法では、以下のいずれかの方法で保存した帳票は、電子データとして認められるものとなっています。

・電子帳簿等保存(帳票を電子データのまま保存)
・スキャナ保存(紙の帳票を画像データとして保存)
・電子取引(電子データとして受け取ったものをそのままデータとして保存)


建設業に限らず、電子データとして保存する動きはさまざまな業界で見られているので、必要な管理体制を早めに構築していくことが大事です。

電子帳票を導入するポイント

電子帳票の導入によりメリットが得られる一方で、気をつけておきたいデメリットもあります。ここでは、導入ツールの選び方も含めて解説します。

電子帳票を導入するメリット

電子帳票を導入すれば、これまで表計算ソフトなどで帳票を作成していた手間や、書類を印刷して郵送するといった作業にかかっていた時間を短縮化できます。特に取引先の数が多い会社ほど帳票に関する業務が増える傾向があるため、帳票の電子化によるメリットは大きいでしょう。

また、電子化することで印刷や郵送にかかるコストが削れますし、書類を保管するためのスペースも必要なくなります。加えて、紙の帳票の場合は不正に持ち出されるリスクがありますが、電子帳票であれば厳重にアクセス管理が行えるため、セキュリティの点でも安心だといえるでしょう。

電子帳票を導入することで生じるデメリット

電子帳票を導入するには、システムの構築やクラウドサービスなどの導入が必要となります。一定のコストが発生するので、これまで紙で保存や管理を行っていたときのコストと比較をして検討することが大切です。

また、帳票の電子化によって今までと業務フローが変わってしまうため、現場の部署はもちろん取引先も含めて、丁寧にコミュニケーションを取っておく必要があります。帳票をなぜ電子化しなければならないかの理由をきちんと説明して、理解を得るようにしましょう。

電子帳票の導入を支援するツールの選び方

電子帳票の導入を支援してくれるツールは数多く出ていますが、まず自社の課題を解決するために必要な機能が備わっているかをチェックすることが大切です。試用期間が設けられているツールもあるので、実際に操作をしてみて問題がないかを確認しましょう。

また、セキュリティ性に優れたツールであるかのチェックも必要です。多くの情報を取り扱うため、アクセス管理などがきちんと行えるものを選んでください。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:電子データで保存するメリットは?
A:
帳票を電子データとして保存すれば、必要なときにいつでもデータを確認でき、関係者との情報共有もスムーズに行えます。また、帳票の作成や保管にかかっていたリソースを省力化でき、コストの削減にもつなげられるでしょう。

Q:電子帳票を導入することのデメリットは?
A:
電子帳票を作成するためには、専用のツールなどを導入する必要があります。また、操作に慣れるまでに時間がかかる場合もあるので、導入時には必要な機能や操作性をよく確かめておきましょう。


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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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