なぜ建設業にマーケティングが必要なのか? 集客アップのための分析・施策例を紹介
建設業は、元請けから1次下請け、2次下請け、さらに下位の下請け会社で構成される“重層下請け構造”という特有の構造が存在します。
重層下請け構造は、工事内容の高度化や専門化に対応するために合理的な側面があるとされています。一方で、構造の下層になるほど収益性が下がり就労環境が悪化するという課題が指摘されています。
建設業が下請けから抜け出して、さらなる利益向上を目指すためには、自社の集客力が不可欠です。
また、そこで必要になるのがマーケティングのノウハウです。
本記事では、建設業におけるマーケティングの必要性や、具体的な施策例について紹介します。
目次[非表示]
- 1.建設業におけるマーケティングの必要性
- 2.まずは“3C分析”で現状を把握しよう
- 2.1.①Customer:顧客や市場の分析
- 2.2.②Competitor:競合他社の分析
- 2.3.③Company:自社の分析
- 3.マーケティング施策の実行例
- 3.1.マーケティングの目的を整理
- 3.2.集客方法
- 3.2.1.①マス広告
- 3.2.2.②デジタル広告
- 3.2.3.③検索結果
- 3.2.4.④SNS
- 3.2.5.⑤ポータルサイト
- 3.2.6.⑥チラシ/折り込み広告
- 3.2.7.⑦フリーペーパー/住宅情報誌
- 4.まとめ
建設業におけるマーケティングの必要性
建設業の構造は特徴的です。元請けが仕事を別の請負人(下請け)に発注し、さらにその請負人が下請けさせる階層的な構造となっています。
しかし、間に介在する企業が増えることで下位下請けの対価が減少し、労務費へのしわ寄せが生じるおそれもあります。重層化によって施工体制が複雑になると、管理・情報共有が行き届かず、施工・品質面に影響を及ぼす可能性もあります。
安定した事業運営を目指すためには、下請け業務や紹介に頼るだけでなく、自社の認知度を高め、顧客を集める集客力が不可欠といえるでしょう。
集客力を向上する代表的な手段として、インターネットを活用したマーケティングが挙げられます。
最近では社会のデジタル化が進み、インターネットを利用して情報収集や商品・サービスの購入を行う人が増加しています。
消費者庁が発表した2019年度の『平成29年版消費者白書』では、「商品やサービスを選ぶときの知識・情報入手先」にインターネットサイトを使用していると答えた30代の割合は80%となっています。
これからの建設業が安定した収益を確保していくためには、多様化・複雑化する消費者の動向をつかむことが必要です。
顧客ニーズを満たすアピールポイントを考え、競合他社と差別化するためのマーケティングがますます重要になるでしょう。
(出典:消費者庁『第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状』)
まずは“3C分析”で現状を把握しよう
ここからは、基本的なマーケティングのフレームワークである3C分析について解説します。
3C分析とは、Customer(顧客)・Competitor(競合他社)・Company(自社)の頭文字を取ったフレームワーク(手法)で、マーケティング環境を把握するために使われます。
顧客・競合他社・自社に関する客観的な事実を分析することで、現状の課題や改善点を把握できます。マーケティング施策の方向性を決めるうえでも重要な要素となるため、具体的な施策を検討する前には3C分析を行ってみましょう。
それぞれ3つの項目について、分析内容を見ていきます。
①Customer:顧客や市場の分析
まずは、顧客や市場を知ることからスタートします。顧客・市場分析で把握する項目は、次のような例が挙げられます。
- 商品・サービスに対する顧客のニーズ
- 顧客の購買行動
- 業界の市場規模や成長性
顧客がどのような商品・サービスを求めているのか、価値観やニーズ、具体的な購買行動を分析します。
顧客や市場についての分析は、自社商品をどのように売り出すかを検討する重要なプロセスです。ターゲットやアピールポイントを見いだすことで、収益性を高めるための施策に役立ちます。
②Competitor:競合他社の分析
次に、競合他社について分析します。具体的な項目には以下が挙げられます。
- 競合他社のシェアや、市場の変化による推移
- 競合他社の特徴(強み・弱み・戦略など)
- 顧客層が自社と似ている競合他社の行動(製品開発・営業手法・販売ルートなど)
- 新規参入会社の脅威(代替品の脅威や価格など)
競合他社の分析では、できるだけ詳細に情報を調査する必要があります。競合他社がどのように収益を得ているのか把握することで、差別化を図るポイントや自社が強化する必要のある施策を見つけられます。
また、競合他社や新規参入企業における今後の行動や脅威を想定すれば、ブランディングや新サービスの創出といった対抗手段の考案にも役立ちます。
③Company:自社の分析
顧客・市場分析や競合分析を実施したあとは、市場や競合他社に対して自社がどのようなポジションにいるのかを分析します。
自社分析の項目には以下が挙げられます。
- 自社の理念やビジョン
- 自社の現状(売り上げやシェア、経営戦略など)
- 自社製品・ビジネスの特徴(商品のラインナップやコンセプト、強み・弱みなど)
- 自社が持つリソース(人材・資金・設備機器など)
自社の現状や経営資源を市場や競合他社と比較することで、自社の強み・弱みを把握できます。
顧客のニーズや競合他社の強み・弱みなどを踏まえたうえで、「自社商品・サービスをどう差別化するか」「どのような価値を、どう提供するか」などを設定しましょう。
マーケティング施策の実行例
マーケティング施策を始める際は、「何のために実施するのか」「どこに呼び込むのか」といった目的を明確にして、事前準備をしておくことが大切です。
ここでは、マーケティングを実施するために必要な準備、集客方法について紹介します。
マーケティングの目的を整理
何のためにマーケティングを実施するのか、目的を整理する必要があります。
マーケティングの主な目的には以下が挙げられます。
- 認知度を上げる
- リードの最適化と利益の最大化を目指す
- 新規獲得手段を開拓する
- “紹介”を生み出す
建設会社や工務店、リフォーム会社などがこれらの目的を達成するためには、まずはユーザーの呼び込み先として以下の2つを準備する必要があります。
ホームページ
顧客に自社のことを知ってもらうためには、企業ホームページを作成してインターネット上で露出を増やす必要があります。
施工事例や竣工写真などターゲットが求めるコンテンツを作成し、見込み顧客を呼び込みましょう。豊富なコンテンツが提供できれば、ユーザーが商品やサービスに対する知識を得られると同時に、購入意欲を高める効果が期待できます。
イベント
住宅相談会やセミナーなどのイベントを企画し、住宅づくりに興味を持っているユーザーを呼び込みましょう。イベントの実施は企業の認知度アップや新たな顧客獲得につながる可能性があります。
幅広いユーザーに向けて情報発信をする場合は、リアルイベントに限定せずオンラインイベントやバーチャルモデルハウスもおすすめです。
バーチャルモデルハウスについては、下記記事もご参照ください。
関連記事:住宅展示場の新しいスタイル“バーチャルモデルハウス”で営業を効率化!
集客方法
マーケティングの目的や具体的な手段を明確にしたあとは、より多くの消費者に興味・関心を持ってもらえるよう集客を図る必要があります。
代表的な集客方法には以下が挙げられます。
①マス広告
テレビ広告・ラジオ広告・テレビCM・雑誌広告など4つの主要媒体を使った広告を指します。商品やサービスの認知度アップを図るために有効な手法です。
②デジタル広告
インターネット上に掲載される広告全般を指します。代表的な手法には、リスティング広告・バナー広告・リターゲティング広告などがあります。住宅相談会やセミナーなどのランディングページへ集客するために適した方法です。
③検索結果
GoogleやYahoo!などの検索エンジンから流入を図る方法です。自社Webサイトへの誘導や、実店舗への集客にも活躍します。ユーザーが検索するキーワードを想定して、コンテンツを用意しましょう。
④SNS
FacebookやTwitterなどのSNSから流入を図る方法です。複数のチャネルでユーザーとコミュニケーションが取れるほか、SNS特有の拡散効果・販促効果が高まります。定期的に投稿して内容の充実を図りましょう。
⑤ポータルサイト
複数のWebサイトのリンクを集め、集客を目的とした情報サイトです。インターネット検索の玄関口となるため、自社のホームページでは接点がないユーザーとの接触も図れます。企業情報やイベント情報など、さまざまな種類があるため、ターゲットを絞った訴求に有効です。
⑥チラシ/折り込み広告
自宅にチラシや新聞折り込み広告を直接配布する方法で、地域を絞って消費者にアプローチできます。PCやスマートフォンを日常的に使用していないシニア層や、じっくりと情報検索ができない子育て世代などに適した方法です。
⑦フリーペーパー/住宅情報誌
フリーペーパーや住宅情報誌で自社宣伝を行う方法です。この広告手法はターゲットやエリア、特徴が明確なため、特定地域の顕在層への訴求に有効です。
まとめ
建設業界特有の重層下請け構造では、下位下請けになるほど利益率が低下するリスクがあります。また、元請けの経営悪化や競合他社との競争で受注がなくなる可能性もあります。
「自社だけでは集客力がない」「下請け業務に依存している」という状態に課題を感じる場合は、マーケティング施策に目を向けてみてはいかがでしょうか。
マーケティングを始める際は、まずは基本的なフレームワークである3C分析を行いましょう。解釈を加えず、客観的な事実を集めることで的確な判断を促します。その際は、「何のために実施するのか」「どこに呼び込むのか」などの目的を明確にします。
そして、目的に合う集客方法を選択しましょう。集客方法にはさまざまな種類がありますが、ポータルサイトは、自社の魅力を効率的にアピールしやすく認知度向上や集客効果が期待できます。
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