単独展示場の継続集客は「量から質」の集客企画へ
「単独住宅展示場」の継続的な集客は、特殊な事情がない限り多くの会社で苦戦されていることと思います。特に中級層以上の住宅を対象とされている常設の単独展示場の集客は難しくなってきていると思います。
そもそも「単独住宅展示場」は「オープン当初は集客機能を発揮」しますが、継続使用する場合は「総合住宅展示場」との連動/連携を前提とした運用を行うのが受注効果から見ても有効な運用方法です。つまりオープン当初の期間を除いては集客機能については、「多くを期待しない」のが一般的な考え方でした。
しかし、「総合住宅展示場」の集客や、「完成住まいの現場見学会」での集客だけでは、十分な見込客が得られない場合が多くみられるようになり、従来発想とは異なる視点で「単独展示場での継続集客策」を企画する必要が出て来ました。
常設の単独住宅展示場という特性を活かして、集客組数という「量」を追うのではなく、受注につながる「質」を伴った集客策を企画することがポイントです。
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「暮らしを楽しむ」視点の集客イベントの開催
「住宅という『モノ』を観に来てください」というモノ中心の集客企画では「一度キリ」の集客効果しかなく、単独展示場の継続的な集客策としては不向きで、一般的には単独展示場オープン後、直ぐに力を失います。
それに対して「新しい住まいでこんな『コト』もでき、楽しい暮らしが実現します」というコト視点の集客策は、内容のバリエーションを準備すれば単独展示場でも継続集客が可能になります。
コト視点の集客企画の内容は、「日常の暮らしを、心豊かな楽しい暮らしに変えることができるイベント内容」とすることで、来場者が「ときめきの暮らしに気づく」魅力ある集客企画とすることが可能になります。
「ときめきの暮らしに気づく」集客企画
日常の暮らしを「ときめきの暮らしに気づく」体感体験イベントで集客するには、ときめく暮らしが具体的に見える設えを入念に準備する必要がありますので、単独展示場は、その特性から最適な集客ステージです。
ex.光と風と緑を楽しむ自分の居場所
ex.宅配ピザをおしゃれなイタリアンな食卓へ
など、「ちょっとおしゃれ」で、「小さな幸せな暮らしのシーン」という日常の「心豊かな楽しい時間」を体感体験できる「暮らし視点の集客イベント」を完全予約制で企画します。
「ときめきの暮らしに気づく」集客イベントの注意点は2つあります。
1.対象を新築の見込み客に限定しての集客とするイベント案内とします。制限を掛けないと新築計画のない方々も来場されますので「新築見込客」だけを集客するフィルターが必要になります。
・集客対象を「今、家を建てようとしているあなたへ」と明記するなどの工夫が必要です。
2.「楽しかった」で終わってしまわないようにして、確実に住宅受注へ向かうビジネスとして成功させるための接客対応のノウハウを導入する必要があります。
・「ときめきの暮らしに気づく」集客イベントでの、「暮らし触発営業」からスタートし、直接お客様の住まいづくりに入る「気づき共感営業」の一貫した営業ノウハウの導入が必要です。これによって「日常の暮らしを心豊かな暮らしへと誘う触発」から、「自身の実現したい暮らしに気づき」ご自身の新しい住まいづくりを自然な形で、ご一緒に具体化して行くような進め方が可能になります。
単なる集客策ではなく、従来営業とは異なる角度でお客様と接することができるなど、結果として受注効率の高い注文住宅営業という面も併せ持っています。
KH様の事例
「ときめきの暮らしに気づく」集客イベントと「暮らし触発営業」方式を導入し、単独展示場の継続集客策を前提に、母体会社から新たに設立されたKH様の事例です。
KH様の設立から1年1ヶ月が経過した集客と受注結果は次の通りです。
- 集客組数 189組
- 受注件数 48件(平均請負工事金額〈税別〉 4,311万円/件)
この受注実績とは別に、複数回集客イベントに参加されるお客様も多く、「建てるならKHで」と建築期日も明確で事実上、予約されているお客様も数組あります。この他に26組は育成客として囲い込まれています。
「集客イベント企画」を事前に準備し、企画を練り込むことがポイント
年間の集客企画イベント(毎月~2ヶ月に1度の開催)を事前に準備します。「ときめきの暮らしに気づく」レベルの集客企画には実績のあるイベント企画を下敷きに活用する方が、時間的にも人的にも効率が良いと思います。
自社住宅展示場のコンセプト/デザインテイスト、狙いの客層に合ったイベント企画を選択しますが、具体的な客層のセッティング、単独展示場内外の設えの作り込みを行う必要があります。本気度が高く練り込んだ集客企画が「ときめきの暮らしに気づかせる」集客企画として成功します。お客様視点で「心豊かな暮らし」「楽しい暮らし」の「コト」が伝わるように仕上げて行く自社の知恵と工夫が必要です。
集客の「量」を追うなら多角的な媒体で大量の広告宣伝費の投入、「質」を確保するなら「ノウハウ」と「自分たちの知恵と工夫」が必要です。昨今の建築資材高騰から住宅価格上昇局面では、前者の「量」を追い求める方式の効率は下がり、後者の受注につながる集客の「質」を主眼に置いた集客策の方が有効です。
集客イベントを成功させるために「暮らしへの感度を持つ社員」を社内で発掘
「ときめきの暮らしに気づく」集客企画を成功させるためには運営側の「暮らしへの感度」が重要です。従って、このイベント企画を推進する過程で「暮らしへの感度を持つ社員」を社内で発掘することも重要です。
今後の住宅営業では「モノからコトへ」の視点、「暮らし視点の住宅営業」は重要度が上がることはあっても下がることはありません。これを機に社内の埋もれている人材発掘も兼ねて、単独展示場の継続集客策である「ときめきの暮らしに気づく」集客企画を進めることをお勧めします。思わぬ才能を発見できる場合があります。
まとめ
人口減少に歯止めがかからず、空家率の上昇という「モノ的には充足した住宅市場」に於いて、本気で住宅を求める見込客の中でも、比較的資金的にもゆとりのある見込客を集客するためには、集客組数という「量」よりも受注につながる「質」の集客策へのシフトをお勧めします。特に単独展示場での継続集客を狙うのであれば、「暮らし視点の集客企画」として、お客様が新しい住まいでの「ときめきの暮らしに気づく」集客企画の導入をお勧めします。
住宅業界は他の業界に比べて「モノからコトへ」という営業活動の転換が遅れています。最も高額で、最も「暮らしのコト」を重視し、お客様の心豊かな暮らしを創造する産業に於いて、一歩でも先に「暮らし視点の集客と営業」が実現できた住宅会社/工務店は、他社に先駆けて新たな領域へ抜け出すことができると思います。
社内の暮らし感度の高い社員の発掘と併せて住宅事業推進の、新たな切り口を保有されることをお勧めします。