マーケティング

マーケティングの視点で考える、ビルダー・工務店の反響獲得戦略

マーケティングの視点で考える、ビルダー・工務店の反響獲得戦略

集客活動を考える際、たびたび話題にのぼるのが「マーケティング」という言葉です。「マーケティング=販売促進」と考えられることも多いのですが、本質的なマーケティングは企業・ブランド・商品などの戦略も含めた自社のお客様を増やすための活動全般を指すものであり、販売促進はその一端に過ぎません。

しかし一方で、マーケティング視点で自社を俯瞰し適切な販売促進活動を行うことで、自社の集客にプラスの効果をもたらすことも事実です。

目次[非表示]

  1. 1.マーケティングの代表的フレームワーク「STP」「4P」で考える
  2. 2.STP=自社が「どこで戦うのか」を明確にする
    1. 2.1.【セグメンテーション】お客様のニーズや特性などに応じて細分化する
    2. 2.2.【ターゲティング】細分化された市場の中から自社が狙うべきターゲットを選定する
    3. 2.3.【ポジショニング】業界における競合他社との位置関係を明確にする
  3. 3.4P=自社が「どのように戦うのか」を明確にする
    1. 3.1.・商品(Product)
    2. 3.2.・価格(Price)
    3. 3.3.・販売促進(Promotion)
    4. 3.4.・チャネル(Place)
  4. 4.まとめ

マーケティングの代表的フレームワーク「STP」「4P」で考える

今回は、マーケティングの代表的なフレームワークである「STP」「4P」の検討プロセスに基づき、ビルダー・工務店の反響獲得につながるマーケティング活動について考えていきましょう。

一見、集客活動とは無関係と思えるプロセスも登場しますが、すべてのプロセスを丁寧に検証・分析することで、より効果の高い販売促進活動を実現できます。

STP=自社が「どこで戦うのか」を明確にする

STPは、セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)の頭文字を取った言葉です。市場における自社の立ち位置、言い換えれば「どこで戦うのか」を明確にするためのフレームワークです。

【セグメンテーション】お客様のニーズや特性などに応じて細分化する

まず、市場のお客様をさまざまな区分で細分化します。地域・年代・世帯構成といった定量的な区分のほか、「住宅への関心が強い/弱い」「デザインを重視したい/こだわりが無い」といった趣味嗜好・ライフスタイルなどに基づく区分も可能です。

【ターゲティング】細分化された市場の中から自社が狙うべきターゲットを選定する

セグメンテーションした市場の中で、自社が注力すべきターゲットを決定します。ターゲットが広すぎるとお客様像を絞り込みきれずマーケティング戦略全般が曖昧になり、逆に狭すぎるとそもそもの市場規模が小さく、ビジネスとして成立しません。自社の方向性や市場の将来性を見極めながら、適切な規模でのターゲット設定が求められます。

【ポジショニング】業界における競合他社との位置関係を明確にする

ターゲティングした市場のお客様に自社を選んでいただくため、自社がどのような立ち位置で事業を行うのかを決定します。

セグメンテーション・ターゲティングの中でも特に重要な軸を2つ選定したうえで、自社と同業他社の立ち位置を比較し、独自性・優位性があるかを見極めるのがよいでしょう。もちろん、そのポジショニングはお客様の支持・共感を集めるものでなければなりません。

4P=自社が「どのように戦うのか」を明確にする

4Pとは、マーケティング戦略の主要4要素である商品(Product)・価格(Price)・販売促進(Promotion)・チャネル(Place)の頭文字を取った言葉です。STPで明らかになった自社の立ち位置の中で「どのように戦うのか」を明確にするためのフレームワークです。

・商品(Product)

自社の住宅商品(もしくは標準仕様)が、ターゲティング・ポジショニングに適うものである必要があります。

足元の集客活動においては、自社商品の様々な特長とSTPを比較し、ターゲットのお客様に訴求すべき優先順位を決めることが重要です。仮に自社商品とSTPの乖離が大きい場合は、STPの再設計や商品そのものの見直しなど、抜本的な改善が求められます。

・価格(Price)

ターゲットとなるお客様に納得感があり、かつ、自社の利益を最大化する価格設定が必要です。単純に安いだけではなく「価格以上の高性能を提供している」「光熱費などのランニングコストを低減する」といったコストパフォーマンスという切り口での戦略もあります。

集客活動においては、仮に自社のポジショニングに「価格」の軸がある場合、各種PR活動において効果的に織り込むことを検討すべきでしょう。

・販売促進(Promotion)

ここで、集客担当者にとって最も関心の高いキーワード「販売促進」が登場します。自社の集客数を最大化するために最も効果的なPR方法を検討しなければなりません。

実は、効果的な販売促進活動のためには、ここまでに解説した「STP」「商品」「価格」を正しく定義し、戦略に落とし込むことが欠かせません。ターゲットとなるお客様が変われば、PRで使用する言葉のトーンやデザインのテイストは変わります。また、同業他社と比較した自社の優位性が明らかであれば、訴求すべき特長の優先順位も変わります。

STPや商品戦略などを曖昧なまま販売促進戦略を練ると、「ターゲットとなるお客様に魅力が伝わらない」「同業他社との違いが分からない」といったPRにつながり、求める集客数を実現できなかったり、自社の強みに合致しないお客様を集客してしまうリスクがあります。「どのようなお客様に対して、自社のどのような特長を訴求するか」を検討するプロセスは、決して欠かさないようにしましょう。

・チャネル(Place)

最後は、自社の販売活動を行う場所を検討します。小売業では流通経路や販売チャネルの選定(直接販売/間接販売、実店舗/オンラインなど)を指しますが、住宅業界の集客活動では「どこで自社をPRするのか」の検討であると考えましょう。

注文住宅の場合、オンラインのみで販売を完結することは難しいため、モデルハウス・ショールーム・見学会など実店舗は必須です。一方で、お客様側の行動は「WEBで情報収集し、気になる会社の実店舗を訪問」というプロセスが一般的になっているため、WEBでお客様との接点を増やし、ファン化を促す戦略が極めて重要です。

そのためには、自社ホームページの充実はもちろんですが、その他にもWEB上で自社が露出するチャネルを増やすことも考える必要があるでしょう。例えば、SNSでの自社アカウント展開は、チャネルを増やす代表的な方法の1つです。LIFULL HOME’Sなど住宅ポータルサイトへの掲載も、住宅を検討するお客様への露出を効率的に増やす方法として、有力な選択肢と言えます。

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まとめ

今回は、マーケティングの代表的フレームワーク「STP」「4P」に基づいて、ビルダー・工務店の集客戦略について解説しました。

冒頭でお伝えしたように、STPからのプロセスを丁寧に検証・分析し、自社の販売活動において適切な伝え方とチャネルを考えることが、販売促進活動の効果を高める近道です。仮に、社内でこれらの定義が行われていない場合は、明確な定義付けを行うための全社的な取り組みも必要になるでしょう。

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株式会社住宅産業研究所(JSK)
株式会社住宅産業研究所(JSK)
1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

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