地域密着型で営業を行う住宅会社においては、「対象エリアを絞り込んだ集客」が重要な課題となります。そのためには、地域限定の集客と相性のよい手法を見極めて、戦略に取り入れるのが近道です。

今回は地域に根差した住宅会社の集客戦略をテーマに、具体的な手法を11種類ご紹介します。

地域に根付いた工務店の集客悩み

効果的な集客戦略を構築するためには、住宅会社が陥りやすい悩みを理解しておくことも大切です。まずは、住宅会社の集客における課題について見ていきましょう。

効果的な集客方法が見極められない

一口に集客方法といっても、具体的な手法にはさまざまなものがあります。効果や運用方法、費用などはそれぞれ異なるため、いざ手を打とうとしても、どの方法を選べばよいかという悩みを抱えやすい面があります。

自社に合った方法を見つけるためにも、ある程度の代表的な集客方法は把握しておき、メリット・デメリットを比較できるようにしておくことが大切です。

費用対効果が思わしくない

集客にはつながっているものの、費用対効果が悪く、思うような利益につながらないといったケースもよくある悩みの一つです。これについては、「集客方法の利益計算が不十分」「効果の薄い手法にコストが分散されている」「成果の分析が正しく行われていない」といった原因が考えられます。

新規顧客の開拓にあまり力を入れてこなかった

地域に根差した工務店であれば、既存顧客や知り合いからの紹介だけで、経営が成り立っている場合があるでしょう。しかし、競合他社の出現や売上の減少などの影響から、新規顧客の開拓に取り組まなければならない状況が生じることも珍しくありません。

新たに顧客を開拓しようとしても、何から手をつければよいか分からず、悩みを抱えてしまうケースがあります。

大手ハウスメーカーに太刀打ちができない

近隣のエリアに大手ハウスメーカーなどが進出してくると、価格などの面で太刀打ちができないと感じる場面があるでしょう。むやみに価格で勝負をしようとしても、資本力に勝る大手企業にはなかなか対抗できないものです。

価格以外の部分で差別化を図ろうとする場合も、どのような方法があるのか判断しづらい部分があるといえます。

認知度が向上しない

中小の住宅会社の場合は、認知度の向上が特に難しい課題となります。宣伝広告を行っても、なかなかお客さまの目に留まらず、問合せにつながらないというケースは少なくありません。

人的リソースの確保が難しい

「集客に取り組む人的リソースを確保できない」という課題も、中小の住宅会社が抱えやすい悩みの一つといえます。集客施策を継続的に実施するためには、既存の業務の効率を向上させ、人的リソースにゆとりを持たせることも重要なポイントとなります。

地域限定の集客を考えるときのポイント

住宅会社の集客戦略では、一般的に「地域限定的」で行われるのが大きな特徴です。ここでは、地域に特化した集客を行う際の基本的なポイントについて見ていきましょう。

見込み客の絞り込みを行う

集客における費用対効果を向上させるには、見込み客となりそうな層を絞り込んで、よりピンポイントでアプローチを行っていく必要があります。無理に不特定多数へ訴求しようとすれば、伝えるべきメッセージ性が薄れてしまう可能性があるためです。

しっかりと見込み客になり得る層を絞り込むことで、訴求すべきポイントが明確化されるとともに、限られたリソースを効果的に注ぎ込めるようになります。そのため、まずは事前にしっかりと市場調査を行い、自社で取り扱う注文住宅にマッチしそうな客層を見極めることが重要です。

ターゲットに合わせた集客戦略を展開する

地域や世帯年収、家族構成、ライフスタイルなどにより、情報収集の手段は異なります。たとえば、現代はWebを通じた広告も主流となっていますが、高齢世帯向けのバリアフリーリフォームなどを専門に扱うのであれば、依然として紙媒体の広告が強みを発揮するでしょう。

このように、ターゲットの特性に応じた集客手法を展開していくことが、戦略の質を高める基本となります。そのため、ターゲットとなる見込み客層が住宅情報を集めるタイミングや、興味や関心を持ちやすいテーマなどもしっかりと分析しておきましょう。

オフラインでの集客手法5選

集客方法は「オフラインによるもの」と「オンラインによるもの」の2つに大別することができます。現代の集客ではオフラインとオンラインの両方をうまく組み合わせ、状況に応じて使い分けていくことが重要とされています。

ここでは、オフラインの代表的な集客方法を5つご紹介します。

地域を限定してチラシを配布

チラシは比較的にコストを抑えて運用できる点と、地域を限定してアプローチできる点がメリットです。具体的な方法としては、新聞に挟んで配送する折り込みチラシや、各世帯のポストに直接投函するポスティングチラシなどがあります。

レイアウトなども自由に決められるのが長所ですが、「読まれずに捨てられてしまう可能性もある」「効果測定が難しい」といった点には注意が必要です。

目立つエリアに看板や交通広告を出す

建物などに広告を張り出す「看板広告」や、電車やバス・タクシー、駅などの公共交通機関に張り出す「交通広告」は、対象エリアを効率的に絞りつつ、一度に多くの顧客へ情報を届けられるのが特徴です。また、目にする機会が増えることで興味が深まる「単純接触効果」が期待できるのもメリットといえます。

特定のエリアを対象としたフリーペーパー

タウン誌などのフリーペーパーも、特定のエリアを対象にしつつ、多くの人に目にしてもらえる可能性のある集客手法です。また、子育て情報誌などのように、読み手がある程度限定されるものと組み合わせれば、自社が狙ったターゲット層へ的確に情報を届けることもできます。

地域イベントへの出展

地域イベントは、地域密着型で営業する会社にとって、お客さまと直接かかわり合える重要な機会です。住宅会社においても、自社のブランドや従業員の人柄などを知ってもらえるチャンスとなるため、有効性の高い集客手法といえます。

完成見学会や家づくり相談会の実施

住宅完成見学会や家づくり相談会などのイベントは、住宅の取得に関心のあるお客さまに限定して、よりきめ細やかなアプローチが行えるのがメリットです。自社の技術力や信頼性といった強みをしっかりとアピールすることで、成約に結びつけやすくなります。

オンラインでの集客手法6選

オンラインによる集客方法にもさまざまな種類があります。ここでは、住宅会社と相性のよい代表的な手法を6つご紹介します。

自社のWebサイトで信頼性をアピール

オンライン経由での集客を強化するためには、自社のホームページをきちんと整備しておくことが大切です。なぜなら、お客さまの多くは、気になる会社やサービスがあれば、自らインターネットを通じて情報収集を行うためです。

ホームページの質が高く、発信内容が適切であれば、お客さまに対してきちんと自社の信頼性をアピールできるでしょう。ユーザーの視点からすれば、何でも相談しやすい工務店が近くにあれば問合せなどを行いやすいはずです。

各種SNSでイベント情報などを発信

SNSの特徴は、「ユーザー自身による拡散によって情報が広がりやすい」「ユーザーと双方向のやりとりができる」といった点にあります。魅力的な施工事例などを紹介すれば、気に入ったユーザーによって拡散され、自社と直接的なつながりのないユーザーにまで情報を見てもらえる可能性があります。

また、興味を持ったユーザーから質問を受け付けることもできるので、双方向のコミュニケーションを通じて距離を縮めやすいのも利点です。地域に根付いた工務店であることをアピールするには、住宅見学会や家づくり相談会などのイベント情報を盛り込んでみるとよいでしょう。

エリアターゲティングをしたリスティング広告

リスティング広告とは、ユーザーが検索エンジンで入力したキーワードに応じて表示される広告のことです。また、SNS広告は関連性が高いと判定されたユーザーのタイムラインに表示される広告のことです。

どちらもユーザーのターゲティングをして広告を打ち出すことができるため、配信するエリアを絞り込んで効率的に自社の情報を届けられるのがメリットだといえます。

地域ならではの情報を盛り込んだメールマガジン

あらかじめ登録をしてもらったお客さまや会員に対して、企業から一斉配信するメールのことです。お役立ちコンテンツやクーポンなどを盛り込んで、興味を引きつけるのが基本的な方法です。
地域ならではの情報を盛り込むなどして、大手ハウスメーカーなどとの差別化を図ってみましょう。

YouTubeなどの動画サイトを活用

住宅会社の集客戦略では、動画サイトの活用による認知度の向上も効果的な施策となり得ます。テキスト情報よりも一度に多くの情報を伝えられるのがメリットであり、完成した住宅を対象にした「オンライン内見ツアー」や「施工事例紹介」などが一般的なコンテンツ例です。
また、動画で興味を持った方からの問合せに対応できるように体制を整えておくことも重要だといえます。地域密着型の工務店であるからこそ、すぐに相談できる部分をアピールしてみましょう。

注文住宅ポータルサイトへの掲載

オンライン集客では、知名度のある注文住宅ポータルサイトへの掲載を検討してみるのも有力な方法です。ポータルサイトは多くの利用者がいるため、自社の情報をさまざまなユーザーに見てもらえる機会がつくれます。

ポータルサイトではユーザーが、気になるエリアを絞り込んで情報収集するため、掲載する情報を定期的に見直していく必要があります。検索するユーザーのニーズをきちんと把握したうえで、情報発信を行っていくことが大切です。

「LIFULL HOME'S注文住宅」は、次のような特徴を持った注文住宅ポータルサイトです。

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集客から成約につなげるためのコツ

集客に力を入れるうえでは、そこから成約へつなげるためのプロセスにも目を向ける必要があります。成約に結びつけるためには、見込み客が抱える悩みや不安などに寄り添い、誠実に対応していかなければなりません。

そのためには、お客さまとの信頼関係を築けるように、顧客対応の質を向上させることが重要です。商談においては、お客さまがどのような点に不安を感じているのかを聞き出すために、担当者の傾聴力や発問力を磨いておく必要があります。

たとえば、あらかじめよくある質問や不安を感じやすい項目をまとめた「ヒアリングシート」を作成しておくのも一つの方法です。また、地域密着型である強みを生かして、地域の風土や気候に合った家づくりについて説明できるようにしておくことも大切です。

●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q：地域限定のオフラインの集客方法にはどんなものがある？
A：チラシやフリーペーパーといった紙媒体の広告、看板広告や交通広告といった不特定多数に向けた広告、地域イベントへの出展などが代表的な手法です。いずれも地域限定で実施できるので、効率的な集客を行いやすいのがメリットです。

Q：地域限定のオンラインの集客方法にはどんなものがある？
A：自社のWebサイトを整備するとともに、SNSやWeb広告を活用したり、メルマガを配信したりする方法が考えられます。また、注文住宅ポータルサイトに情報を掲載して、対象エリアを絞り込んでアピールするのも有力な方法です。