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地積測量図がないのはなぜ? 理由や工務店・ビルダーの対策を解説

工務店・ビルダーが土地の購入・住宅建築を行う際は、その土地の面積や境界線、所有者などを明確にするために地積測量図を確認する必要があります。

地積測量図は法務局で取得できますが、作成された年代や土地によっては地積測量図がないケースも少なくありません。

施主から地積測量図がないとの相談を受けた場合に、どのように対応すればよいか分からないという担当者の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、地積測量図とは何か、また地積測量図がない理由と、地積測量図がない場合における工務店・ビルダーの対応について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.地積測量図とは
  2. 2.地積測量図がない理由
    1. 2.1.公図と地籍図について
  3. 3.地積測量図がない場合の対策
  4. 4.まとめ

地積測量図とは

地積測量図とは、土地の測量結果を明らかにした公的図面のことです。

不動産登記法』第39条第2項において、不動産の分筆登記(1つの土地を複数に分ける登記)や表題登記などの申請の際に、法務局に提出することが義務づけられています。

第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『不動産登記法』第39条第2項

地積測量図を確認することによって、土地の面積や境界線、位置関係などの詳細な情報を確認できます。

現在の地積測量図に記載されている主な内容は、以下のとおりです。

▼地積測量図の記載事項

  • 土地の所在地
  • 地番
  • 求積表
  • 面積
  • 境界点・境界標の種類
  • 測量図
  • 基準点の凡例
  • 作成年月日
  • 作成者 など

▼地積測量図の見本

画像引用元:法務局『土地・建物の地図・図面など

工務店・ビルダーが住宅を建てる際は、地積測量図を用いて土地の面積や境界線などを確認するとともに、現地に出向いて現地調査を行うことが重要です。

ただし、すべての土地の地積測量図があるとは限らず、作成された年代によっては登記簿にないケースもあります。

(出典:e-Gov法令検索『不動産登記法』/法務局『土地・建物の地図・図面など』)

地積測量図がない理由

地積測量図がない理由として、登記申請自体がされていない、または不動産登記の際に地積測量図の作成が義務化されていなかったことが挙げられます。

地積測量図は、登記申請の際に法務局に提出するため、過去に登記申請が行われていない土地については、登記所に保管されていない可能性があります。

また、土地の分筆登記や地積更生登記、土地表題登記を行う際に、地積測量図の添付が義務化されたのは1959年以降になります。そのため、それ以前に登記申請がされた土地については、地積測量図が存在していないケースがあります。

なお、地積測量図と区別が必要な図面として、“公図”と“地籍図(登記所備付地図)”があります。


公図と地籍図について

公図は、明治時代の地租改正時に作られており、土地の位置・形状を示す情報として登記所に保管されています。しかし、当時に実施された測量は精度が低く、実際の土地の状況とは異なる点も多くありました。

これを受けて政府は、1951年から土地の面積や地番、所有者などを調べる“地籍調査”を進めており、地籍調査後に“地籍図”が登記所に保管されるようになりました。

ただし、2021年末時点で国内の約半分の地域で地籍調査が未実施となっているほか、地籍図には土地の面積や距離などは記載されていません。このような理由から、登記所に公図または地籍図だけしかないケースがあるのです。

(出典:法務省民事局『不動産登記制度における地図』/国土交通省『地籍調査とは』)

地積測量図がない場合の対策

地積測量図がない場合、建築可能な敷地面積や隣地との境界線などを正確に把握することができず、トラブルに発展するおそれがあります。施主とのトラブルを防ぐためには、土地家屋調査士(※)に依頼して地積測量を行ってもらう必要があります。

作成した地積測量図は公的な書類として扱われるため、登記所に保管することが可能です。

また、地積測量と混同しやすいものに“確定測量”があります。確定測量とは、隣地の所有者の立ち合いのもと、敷地の境界を確定させる測量のことです。確定測量によって作成されたものは“確定測量図”または“確定実測図”などと呼ばれます。

確定測量図は、登記所に保管する公的図面ではありません。しかし土地家屋調査士が図面を作成して、隣地所有者との境界確認書を締結する手順を踏むことから、境界をめぐるトラブル防止の役割を果たします。

それぞれ依頼する費用や作成期間が異なるため、事前に確認するとともに、施主に対してきちんと説明しておくことが重要です。

※土地家屋調査士とは、他人の依頼を受けて地積測量の実施や図面の作成などが行える有資格者のこと。

まとめ

この記事では、地積測量図について以下の内容を解説しました。

  • 地積測量図の概要
  • 地積測量図がないケース
  • 地積測量図がない場合の対策

地積測量図は、土地の面積や境界、所有者などを明らかにする公的書面で、不動産の登記申請の際に法務局への提出が義務づけられています。

ただし、過去に登記申請がされていない、または古くに登記申請が行われた場合には、公図や地籍図のみしかないというケースもあります。

地積測量図がない場合は、住宅設計や境界線に関してトラブルにつながるおそれがあるため、土地家屋調査士に依頼して地積測量を実施してもらうことが必要です。

また、工務店・ビルダーは、施主に対して地積測量図がない場合のリスクと、地積測量の依頼費用や作成期間などの目安について明確に伝えておくことが大切です。

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