マーケティング

【工務店・ベンダー向け戦略】ターゲティングの重要性とSTP分析の工程

ターゲティングとは、セグメント化した層のなかからターゲットを絞り込む工程のことです。

マーケティング戦略の一環として“STP分析”というフレームワークがありますが、ターゲティングはこのうちの“T”にあたります。ターゲティングを実施するには、前工程である“S=セグメンテーション”と後工程の“P=ポジショニング”についても理解しておくことが重要です。

本記事では工務店・ベンダーの方に向け、ターゲティングの重要性とSTP分析の工程について詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.STP分析
  2. 2.① S=セグメンテーション
    1. 2.1.POINT: 変数を使う
  3. 3.② T=ターゲティング
    1. 3.1.POINT: 6Rを使う
  4. 4.③ P=ポジショニング
    1. 4.1.POINT: ポジショニングマップを使う
      1. 4.1.1.▼住宅販売におけるKBFの項目例
  5. 5.まとめ

STP分析

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)の頭文字を取ったマーケティング戦略に用いられるフレームワークです。

STP分析
概要
セグメンテーション
市場や消費者を分類する
ターゲティング
セグメント化した層からターゲットを絞り込む
ポジショニング
ターゲットへのアプローチ方法を考える


たとえば、部屋数の多い物件を提案する際、地域・年齢・収入・家族構成などの数値的なデータからターゲットを分類します。その後、物件とニーズがマッチするターゲットを絞り込むことで、効率よく成約につなげる提案が可能になります。

STP分析は、文字どおり①S=セグメンテーション・②T=ターゲティング・③P=ポジショニングの順番で進めるのが定石です。

① S=セグメンテーション

セグメンテーションとは、日本語で“区分”を意味します。簡単にまとめると、不特定多数のターゲットを任意のグループで分類する工程です。


POINT: 変数を使う

セグメンテーションは、一般的に4つの変数を基準に指標を設定します。

  1. 地理的変数(ジオグラフィック変数)
  2. 人口動態変数(デモグラフィック変数)
  3. 心理的変数(サイコグラフィック変数)
  4. 行動変数(ビヘイビアル変数)

住宅販売にあてはめると以下のように分類できます。

変数例
概要
地理的変数
地理的な基準による分類
気候・地域(都道府県・市町村)など
人口動態変数
ターゲットの属性による分類
年齢・家族構成・世帯構成・年収など
心理的変数
ターゲットのパーソナリティーを基準とした分類
価値観・好み・ライフスタイルなど
行動変数
行動パターンを基準とした分類
購買状況・使用頻度・提案に対する反応など


自社が提供する住宅やサービスなどがどのようなユーザーに求められているか、顧客ニーズや特性から市場を洗い出し、グループに分けます。

② T=ターゲティング


POINT: 6Rを使う

ターゲティングを実施する際は、6Rというフレームワークの活用が有効です。以下の6つの指標に①で分類したセグメントをあてはめて検証します。

6R
詳細
Realistic scale(市場規模)
そのセグメントの市場規模は事業が成立する大きさか
Rank(優先順位)
優先順位が高いセグメントか
Rival(競合他社)
そのセグメントは競合他社が強い市場か
Rate of growth(成長率)
今後成長する市場か
Reach(到達可能性)
アプローチ・サービスがターゲットへ届くか
Response(測定可能性)
アプローチに対する効果測定は可能か


6Rを使用する際は、一つの指標を見るのではなく、6つすべてを総合的に見て判断することがポイントです。

たとえば、Realistic scale(市場規模)は低いけれど、Rival(競合他社)も少ないという場合、マーケットで安定したシェアを獲得できる可能性があります。大切なのは、全体を見て判断することです。

なお、6Rの代わりにRival(競合他社)とRate of growth(成長率)を除いた4Rが用いられることもあります。

③ P=ポジショニング


POINT: ポジショニングマップを使う

ポジショニングを検討する際は、ポジショニングマップを活用することが一般的です。横軸(x軸)と縦軸(y軸)で4象限に切り分けたポジショニングマップを用いることで、視覚的に情報を整理できます。

2軸の項目には、ターゲットが購入を決定するための重要指標となるKBF(Key Buying Factor:購買決定要因)を設定します。

▼住宅販売におけるKBFの項目例

  • 価格(高・低)
  • 設計(自由・規格)
  • デザイン性(高・低)

ポジショニングマップを作成する際は、価格と品質(高・低)、価格(高・低)と機能性(高・低)など、どちらか一方が高ければ比例して高くなるような相関関係にある組み合わせにならないよう注意する必要があります。

たとえば、価格の高さと品質のよさはお互いに影響を及ぼし合う相関関係にあります。そのため、この2軸で主軸をつくっても1軸しか見ていないのと同じことになってしまいます。できるだけ相関関係にある組み合わせを避けることで、正確なポジショニングを作成できます。

複数の組み合わせを試行し、ターゲットの購買決定要因に対して競合他社と自社がどのような位置づけであるかを検証しましょう。

まとめ

ターゲティングは、自社のターゲットを絞り込んで優先的にアプローチするために重要なプロセスです。

STP分析のセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングという工程で検証を行うことにより、どのような顧客に対してどのような方法でアプローチするかを明確にしてターゲティングの精度を高められます。

STP分析を行う際は感覚的な判断を避け、6Rやポジショニングマップを活用してより具体的に判断すること、かつ、自社に合った情報を導き出すことがポイントです。

お客さまに選ばれる工務店・ベンダーを目指すうえでは、ターゲットにより効果的なアプローチを打ち出していくことも重要です。ターゲットへの効果的なアプローチ方法については、以下の記事もご参照ください。

▶「効果的なターゲットリストの作り方とアプローチ方法について

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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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