コロナの影響で住宅業界が変わる? 企業に求められる対策と今後の課題
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大防止に向けて、営業自粛や営業時間短縮といった感染リスクを下げるためのさまざまな対策が実施されてきました。
住宅業界でも、感染症対策として、住宅展示場の中止や対面営業の自粛などの対応を行ったケースもあるでしょう。
住宅業界がこのコロナ禍を乗り切るためには、どのような対策が求められているのでしょうか。本記事では、住宅業界に求められている感染予防対策と、今後の課題について考えます。
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コロナで売り上げ減少へ。住宅業界への影響について
コロナの感染拡大により、建設産業や住宅産業などで受注・売り上げの減少が見られています。
国土交通省の発表によると、建設産業の約2割の事業者が前年同月比から売り上げ金額が2割以上減少(2020年6月30日時点)。「受注に影響がある」と回答した事業者は、2020年5月と6月がほぼ同様の約5割を占めました。
また、住宅産業(中小工務店)については、2020年4~6月で約4割の事業者が前年同月比の2割以上減少という結果に。大手ハウスメーカーでも、約1~2割の事業者の売り上げが3割以上減少しています。
コロナ対策に伴う工事の中止や業務停止といった事業活動への影響だけでなく、外出自粛をしている消費者が増えていることなども、売り上げ減少の要因と考えられます。
“3密”の回避や外出自粛の動きが依然として続くいま、住宅業界は適切な感染症対策を講じ、落ち込んだ利益を下支えする新たな施策を打ち出す必要があるでしょう。
(出典:国土交通省『新型コロナウイルス感染症による関係業界への影響について(令和2年6月30日時点まとめ)』)
住宅業界が実践するべきコロナ対策とは?
コロナ禍で人々が不安を感じているなか、住宅業界はどのような対策を実施すればよいのでしょうか。
各事業者の感染症対策は社会全体の感染拡大防止にもつながるため、積極的に対策を講じることが必要です。
自社の事業特性や態様を考慮して社内の職場環境を見直すほか、勤務体制や通勤体系の変更など個人への配慮も不可欠といえるでしょう。ここからは、具体的な対策例を見てみましょう。
従業員および来客などへの感染防止対策
コロナ対策では、自社の従業員だけでなく、来客者や周囲に感染を拡大させないことが重要です。事業者として取り組む必要がある基本的な対策には以下が挙げられます。
- 手洗いや消毒など、基本的な感染防止対策の周知・徹底
- 症状にかかわらずマスク着用を実施(マスクの支給も検討)
- 施設入場時の体温測定を実施
- 管理者やリーダーよる各従業員の健康状態モニタリング
- 発熱や風邪の症状がある者には自宅療養を指示
手洗いや咳エチケット、身体的距離の確保などの基本的な対策が重要です。毎日の体温測定や健康チェックとともに、出勤時・入場時のマスク着用や手洗いを徹底するよう周知しましょう。
オフィスにおける感染防止対策
オフィスでは、近距離での会話の対策や、人との身体的距離など、いかに接触頻度を減らせるかが重要です。
接触感染・飛沫感染のリスクを低減する対策には、以下が挙げられます。
- デスクの非対面配置
- ビニールカーテンやアクリル板の設置
- 混雑時の入場制限等
- ドアノブやトイレ、エレベーター等の共有物の消毒(消毒液の設置)
- ハンドドライヤーの中止
- キャッシュレス・チケットレスの実施
- 会議室の定期的・使用後の換気
- 個室の時間差使用
- 1部屋当たりの人数制限
- テレワークの実施
- ローテーション勤務、時差出勤の導入
- Webコミュニケーションツールの活用(会議や面談のオンライン化)
事業内容や職場の設備・動線などを考慮したうえで、人が集まりやすい場所や不特定多数の人が触れる共有物などを洗い出しましょう。
また、テレワークの導入や時差出勤も感染対策のひとつ。テレワークを円滑に進めるためには、遠隔地でも情報共有が容易にできるITシステムや、Webコミュニケーションツールの活用が不可欠です。
テレワーク体制が整備されていない場合は、テレワーク実施を妨げている要因やテレワークでできる業務・できない業務、増やしたほうがよいルールやツールなどを洗い出すことから始めましょう。業務が滞ることのないよう段階的に進めていくことが重要です。
建設現場における感染防止対策
建設工事は、社会の安定・維持の観点から、国民が必要最低限の生活を送るために不可欠です。ガスや電気などのインフラ関係の公共工事以外についても事業継続が求められます。
コロナの影響下で工事を継続していくためには、現場作業員の健康管理に留意するとともに、建設現場における3密の回避を徹底する必要があります。
- 朝礼時の配列間隔の確保、参加人数の縮小
- 朝礼時の体温測定・健康状態チェック
- 現場・事務所間の移動削減(テレビ通話などWebツールを活用)
- 電話やメール、Webツールを活用し、対面での打ち合わせを削減
- 休憩時間や打ち合わせの分散化
- 密室・密閉空間のブロック分けによる作業の回避、送風機等による換気
- 重機や車両等の消毒、ゴム手袋の着用
消毒液の使用や手洗いなどの基本的な対策を徹底しつつ、3密にならないよう工夫しましょう。
コロナ時代、これからの住宅業界の課題
2020年4月に発出された緊急事態宣言から、住宅業界では営業活動や住宅展示場・イベントを自粛している企業が多いです。
いまだ外出自粛の動きは続いており、イベント開催や対面接客といった“人と接触するコミュニケーション”が懸念されているのが現状といえます。
こうした状況で受注を獲得し、事業を継続していくためにはテレワークの導入や営業活動の場をオンラインへ移していくことなどを検討する必要があるでしょう。
ただし、テレワークはすべての業務に可能なわけではなく、業務・職種によっては実施できない場合もあります。元請け・下請けなどとの連携業務が必要な建設現場については、一部の業務をテレワーク化するだけでは、業務に支障が出てしまう可能性も考えられます。
また、受注数や売り上げの減少が避けられないなか、利益を最大化するためには、営業活動の効率化を図り、生産性を高めることが重要な課題です。
そのためには、対面せずに営業できるオンライン商談やインサイドセールスの導入も視野に入れる必要があります。
外出を控えている消費者には、自宅で内見ができる“バーチャルモデルハウス”をはじめ、テレビ電話を活用した商談、イベント開催などで需要の掘り起こしを図りましょう。
顧客管理や工程管理、会議や打ち合わせなどの業務については、クラウドサービスやWebコミュニケーションツールなどを最大限に活用して、業務効率化を目指すことも重要です。
また、コロナを契機にテレワーク勤務を導入した企業も多くあります。そのため、これからの住まいには、仕事と生活を両立できる住宅設計が求められるでしょう。
コロナと共生していくこれからの時代は、新しい生活様式に合わせた設計プランやコンセプトの見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、営業自粛やイベント中止もやむなく、建設業や住宅産業への売り上げにも大きな影響を及ぼしています。
コロナ禍のなかで事業を継続していくためには、感染防止に向けた基本的な対策を講じるとともに、テレワーク導入、営業のオンライン化など、働き方を見直す取り組みが求められています。
しかし、テレワークの実現にはクラウドサービスやWebコミュニケーションツールを活用して、社内のIT環境を整備する必要があります。
また、営業活動については、オンライン商談やバーチャル展示場など、対面しない営業手法を構築することが課題といえるでしょう。
コロナで売り上げ減少が見込まれるなか、生産性向上に向けた業務効率化も不可欠です。クラウドサービスやWebツールを活用して、日々の業務の効率化を目指しましょう。
これからの住宅業界は、“対面しない”“自宅でできる”といった働き方が鍵となります。オンラインでの新しい施策を打ち出したいという工務店さまやハウスメーカーさまは、こちらのサービスもぜひご活用ください。