時代とともに“暮らし”が変わる。2020年の住宅トレンドは4つのキーワードに注目!
2020年は、人々の暮らし方や仕事への取組み方、自然や災害に対する世界的な動きなどによってさまざまな変化が起きています。
それらの変化を受けて、人々の生活と密接にかかわる“住宅”のトレンドはどのように変わっているのでしょうか。
本記事では、社会や環境などのさまざまな分野で注目されている4つのキーワードから、2020年における住宅業界のトレンドを紹介します。
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世界で意識が高まる“サステナブル”なものづくり
サステナブルとは、「持続可能な」という意味を持ち、サステナブル住宅には「地球や人に配慮した長く住み続けられる良質な住宅を提供すること」が求められています
サステナブル住宅が注目を集めるきっかけになったのは、環境問題の深刻化です。
世界中で環境問題に対する意識が高まるなか、2015年9月の国連サミットでSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)が策定され、サステナブルという考え方を経営やものづくりに取り込もうとする動きが加速度的に広まりました。
住宅業界におけるサステナビリティ(持続可能性)には、環境や自然への配慮をはじめ、次世代へ受け継ぐことのできる、可変性のある住宅づくりが追求されるでしょう。
具体的には次のような点に配慮した住宅設計が考えられます。
- 太陽熱や自然の風力など、クリーンエネルギーを生かした住宅設計
- 省エネやCO2の削減を実現する住宅設備の導入
- 環境への負荷が少ないエコ建材の活用
- 古民家などのリサイクル材活用
- 将来を見据えたメンテナンス・増改築・リフォームがしやすい住宅設計
また、人や社会、地球とのつながりを感じられるという観点もサステナブル住宅の考え方のひとつです。
たとえば、次のような住宅が挙げられます。
- 地域で育った木材を使用した住宅
- 日本の伝統的な建築技術を用いて設計・建築した住宅
- 無添加の自然資材を使用した安全・快適に暮らせる住宅
さまざまな業界がサステナブルな商品開発に取組むいま、住宅の設計・設備においても、地球環境や生活環境への配慮が求められるでしょう。
(出典:経済産業省『SDGs経営ガイド』)
テレワークの普及で“職住融合”の動きが広がる
企業が安定して経営を維持していくためにも、多様な働き方を実現することは重要な課題です。
2019年4月から順次施行されている働き方改革の一環として、政府は“雇用型テレワーク”を推進しており、実際にテレワークを導入する企業も増えています。
東京都産業労働局が2020年に発表した調査によると、東京都内の企業(従業員30人以上)におけるテレワークの導入率は、2017年の6.8%から2019年には25.1%へと増加。テレワークを導入する企業のうちの約74.0%は、在宅勤務でのテレワークを実施しています。
また、同調査では、新型コロナウイルス感染症の影響についても触れています。
テレワークの導入率は2020年3月から4月の間で大幅な増加を見せ、導入する業種も拡大しています。
2020年3月から2020年4月におけるテレワーク導入率の増幅
- 事務・営業職などが中心の業種(情報通信業や金融業など):約34ポイント増加
- 現場作業・対人サービス業務などが中心の業種(建設業や製造業など):約40ポイント増加
(出典:東京都産業労働局『多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)結果報告書/テレワーク「導入率」緊急調査結果』)
外出自粛という特殊な状況下で多くの人の意識が変化し、住まいに業務環境を整える人も増加傾向です。こうした自宅にいながら快適に仕事ができる“職住融合”の考え方は、今後も広がると予想されます。
職住融合のアイデアには、以下の例が挙げられます。
- 住宅の一部に個室のワークスペースを設ける
- リビングの横や階段の踊り場などをワークスペースとして有効活用する
- リビングの一角にPC置き場や仕事用の収納スペースを設置する
また、通勤に縛られない柔軟な働き方が可能になることで、暮らしの拠点を都心部にこだわる必要がなくなるため、郊外に移る動きも見られています。
働き方・働く場所が多様化する時代では、自宅で仕事ができる環境整備などのニーズが高まっていくでしょう。
インターネット社会で暮らすための“デジタルデトックス”
デジタルデトックスとは、PCやスマートフォンなどのデジタルデバイスから距離を置き、インターネット社会のストレス・疲労をデトックスするという考え方です。
現在、ほとんどの人がPCやスマートフォンなどのデジタルデバイスを利用しています。総務省の情報通信白書によると、2018年におけるモバイル端末の保有率は95.7%。10~50代のインターネット利用率も90%を超えています。
また、モバイル端末利用者の一日当たりの平均利用時間は平日で72.9分、休日107.7分という結果に。10~60代の全年代で継続して増加していることが分かりました。
(出典:総務省『令和元年版情報通信白書』/『平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 <概要>』)
毎日の暮らしと密接にかかわる便利なインターネットも、長時間の利用は目の疲労、肩こりなどを引き起こすほか、ストレスにつながることもあります。インターネットと上手に付き合っていくためには、意識的にデジタルデトックスできる快適な住宅が求められるでしょう。
住宅におけるデジタルデトックスには、次のような工夫が挙げられます。
- 寝室はリラックスできる壁紙の色・照明にこだわる
- 朝起きたときや寝る前にくつろげる空間をつくる(バルコニーにアウトドアチェアや植物を置くなど)
- 子どもが楽しめる遊具をリビングや庭に配置する
デジタルデトックスができる住宅設計は、インターネット社会を生きる私たちにとって重要です。現実の日常生活をより豊かにするためにも必要不可欠といえるでしょう。
多発する自然災害を受け、“災害に強い住宅”を重視する声も
近年、台風や豪雨による風水害・土砂災害が多発しており、住宅における防災への意識も高まっています。
気象庁のデータによると、1時間当たりの降水量が50mmを超えた回数は、1976年~1985年の10年間と2010年~2019年の10年間を比較すると約1.4倍に増加しています。
また、風水害・地震などの自然災害の発生件数も、1971~1975年の12件から2011~2015年には47件に増加しています。なかでも地震については、ひとたび発生すると深刻な被害を及ぼしています。
(出典:気象庁『大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化』/内閣府『水害被害(風水害・土砂災害)』/中小企業庁『我が国における自然災害の発生状況』)
このような状況のなか、自然災害から家族と住まいを守る“災害に強い住宅づくり”が求められるのは当然の流れともいえるでしょう。
国土交通省が2019年に発表した『住宅市場動向調査』でも、災害に強い住宅を求める回答が見られます。
2017年度に住み替え・建替え・リフォームを行った世帯を対象に、注文住宅の設備等の選択理由を尋ねたところ、「火災・地震・水害などへの安全性が高いから」と回答した世帯が、全回答のなかでもっとも多い51.7%を占める結果となりました。
自然災害といった予測できない状況への対応は、住宅業界において重要な課題です。
これからの住宅づくりには地震や台風などの自然災害に備えた防災技術・設備の導入が欠かせません。
具体的な取組みには以下が挙げられます。
- 耐震等級を満たす構造・耐震性能
- 地震の揺れを吸収する制震装置
- 揺れが直接建物に伝わらない、基礎部分の可動装置の設置(免震構造)
- 停電・断水時に役立つ太陽光発電システムや給湯設備
- 水害を防ぐ高床設計や防水壁の設置
被害を最小限に抑える技術・設備の導入をはじめ、ライフラインが遮断されたときにも生活を続けられる備蓄機能などへのニーズも高まるでしょう。
(出典:国土交通省『平成30年住宅市場動向調査』)
まとめ
人々のライフスタイルや考え方などの変化によって、住宅トレンドにも変化が起きています。
2020年の住宅トレンドとなるキーワードは、サステナブル・職住融合・デジタルデトックス・災害に強い住宅の4つです。
住宅づくりを考えるうえで、時代の変化や顧客のニーズを把握することは非常に重要です。満足度の高い住宅を提案できるよう、住宅のトレンドを、自社の商品・施工提案に反映させてみてはいかがでしょうか。
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