企業にとっての「地域に根付く」とは?
本当の意味での「地域密着」とは一体どのようなことを指すのでしょうか。
特定の地域に会社の本拠地があり、その地域を中心に住宅を建てていることだけでは、真の「地域密着」とは言えないのではないでしょうか。
このコラムでは、埼玉県ふじみ野市の近藤建設株式会社(以下近藤建設)を例とし、「地域密着」の活動についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.地域密着を謳うには、地域貢献の意義を見出すべき
- 1.1.近藤建設プロフィール
- 1.2.先見性のある事業構築
- 2.親子向けイベントやハコを提供、近藤建設ならではの仕掛け
- 2.1.40人以上の大工を輩出
- 2.2.会員制カフェの展開でファンを獲得
地域密着を謳うには、地域貢献の意義を見出すべき
昨今、全国には「地域密着」をアピールする住宅会社が見受けられます。
住宅会社の自社ホームページやロードサイドの看板などで多用されているワードですが、この意義は何かと考えさせられます。「地域密着」は地域に存続しているというだけでなく、密着しているから「地元を元気に」、「地元をもっと活気のある街に」など、いわゆる地域貢献や地域に還元する取組みを行う会社にこそふさわしいワードでしょう。
そこで今回は、 この地域貢献に積極的な埼玉県ふじみ野市の近藤建設を紹介します。
近藤建設プロフィール
近藤建設は埼玉県ふじみ野市に1961 年に創業し、創業以来、住宅やビル建設など建設業を中心に事業展開してきました。グループ会社には分譲住宅の販売や賃貸管理・不動産仲介事業を展開する近藤不動産、一戸建住宅のリフォームやビル・マンション管理をカバーする近藤リフレサービス株式会社(以下:近藤リフレサービス)、情報システムの開発を行う株式会社コミニス(コミニス)があります。
近藤グループ全体で住宅からビル建設、管理など建設に絡む多様な事業を展開し、それぞれノウハウや実績を事業間連携させながら成長してきました。
グループ年商は100億円を超えており、その内、近藤建設の売り上げが7割を占めています。
先見性のある事業構築
同社の特長は先見性のある事業構築です。
ITソフト開発を手掛けるコミニスの設立は、IT 革命以前の1987年です。そして、近藤リフレサービスの設立年はハウスメーカー含め新築主義が根強かった 1993年でした。
さらに、同社が2018 年 から参入したのがCLT建築事業です。ヨーロッパ でCLT による建築技術が発展し、2010年代から日本国内でも活用され始め、全国的に CLT工法が増えてきました。
同社でも既に埼玉県内で調剤薬局やモデルハウスをCLT工法で建設するなど、実績を蓄積しています。
同社はこれまでRC工法で医療福祉施設や商業施設など幅広く手掛けてきましたが、RC工法だけでなく、事業成長性を見いだしたCLT事業を本格化しています。
親子向けイベントやハコを提供、近藤建設ならではの仕掛け
近藤建設は事業コンセプトとして掲げる「快適生活応援企業として地域密着・親戚づきあい・迅速行動で幸せを建てる」のもと、地域貢献活動を積極的に行っています。
具体的には「KONDO春まつり」や「親子木工教室」、地域住民に活用してもらうために本社ビルの8階スペースを開放したり、2015年にオープンした「KonKonPark」では多様なイベントを開催しています。
これらに加え、定期的に駅前から現場までの美化清掃など地道な活動も行っています。
40人以上の大工を輩出
夏休み期間中に開催する親子木工教室は20年以上継続する恒例イベントです。
市の教育委員会と連携して毎年200人と多くの児童を招き入れ、イベント当日にはふじみ野市長が来訪することもあります。
現在、同社の求人に応募してくる方の中には、この木工教室の参加経験があるというケースも少なくないようです。また、この木工教室や家づくりで活躍するのは、同社の専属大工です。
同社は90年代に将来的な大工不足を見越して、94年にテクニカルセンターという独自の大工教育施設を建設し、専属大工の育成をスタートしました。
毎年、地元の高校卒業者を数名採用し、テクニカルセンターで1年間家づくりの知識を蓄えてから、先輩大工に付いてOJTが始まります。同社はこれまで40人以上の大工を輩出してきました。
会員制カフェの展開でファンを獲得
「KonKonPark」は、カフェとコミュニティスペースとショールームを備えた会員制のカフェです。
会員制といっても、簡易なアンケートに回答するだけで、誰でも会員になることができます。
立地は良好で、大型商業施設「ららぽーと富士見」から程近く、車通りの多い道路に面しています。オープンから5年目を迎えた現在、会員数は累計7,500件に上りました。会員はカフェに来るだけでポイントが貯まり、コーヒーなどに引き換えることができます。
また、この施設ではコミュニティスペースを無料で貸し出しており、多様なイベントが曜日問わず開催されています。
イベント主催者にとっては場所代が掛からない分、イベント参加費を抑えることにもつながります。
この施設に来場する全ユーザーが近藤建設で住宅を購入するということはありませんが、同社としては多くの地域住民に活用して楽しんでもらい、近藤ファンとなってもらうことがこの施設の意義だと考えています。