鋼材価格高騰はいつまで続くの?アイアンショックの現状と原因
近年、輸入木材の供給不足によって建築資材の価格高騰を招いたウッドショックに並んで、アイアンショックと呼ばれる鋼材の価格高騰が生じています。
アイアンショックは、住宅を購入する消費者のみならず、建設を行う工務店やビルダーにも影響を与えている状況です。そのため、建築コストの増加によって、経営悪化につながっている工務店・ビルダーも多いのではないでしょうか。
本記事では、アイアンショックとはどのような現象か、またアイアンショックの原因と現状について解説します。
目次[非表示]
- 1.アイアンショックとは
- 2.アイアンショックの現状
- 3.アイアンショックが起こる原因
- 4.まとめ
アイアンショックとは
アイアンショックとは、鉄筋や鉄骨といった鋼材価格が高騰する現象のことです。
鉄筋・鉄骨などの鋼材は、住宅建築や商業施設、ビルなどの建築資材として広く使用されています。そのため、木材の価格高騰を指すウッドショックと相まって、住宅だけでなく大型の商業施設やマンションなどの建設にも影響を及ぼすことが懸念されています。
また、アイアンショックによって資材の調達が遅延すると、工期の遅れにつながることも考えられます。工務店・ビルダーの担当者は、ウッドショックやアイアンショックによる資材価格の動向について注目しておくことが欠かせません。
なお、ウッドショックについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
≫ 2021年はウッドショックで木材が不足? 展望と工務店・ビルダーに求められる対応
アイアンショックの現状
アイアンショックにより、2021年に入って鋼材価格が高騰したあと、2022年の現在でも価格の上昇が続いている状況です。
鋼材価格の高騰は建築コストの上昇につながるため、工務店・ビルダーにおいても、住宅商品価格の上昇や受注件数の減少などの影響を受けることが考えられます。
一般財団法人 建設物価調査会のデータによると、東京における2022年3月の建設資材物価指数(建設総合)は、前年の同月と比較して14.9%増えています。
また、全国における鉄鋼の物価指数の変動を見ると、2020年に物価指数の減少が見られましたが、2021年より急激に上昇していることが分かります。
画像引用元:一般財団法人 建設物価調査会『建設資材物価指数グラフ』
2022年4月時点でも上昇が続いており、工務店・ビルダーとしては、今後すぐに以前のような状態に戻ることは難しいと捉えて、対策を講じる必要があります。
(出典:一般財団法人 建設物価調査会『建設資材物価指数 2022年3⽉分』『建設資材物価指数グラフ』)
アイアンショックが起こる原因
アイアンショックが起こる原因の一つに、鋼材の急激な需要拡大が挙げられます。
日本は、鉄鉱石をはじめとする鉱物資源の多くを海外からの輸入に依存している状況です。新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の影響で一時は鋼材の需要が減少しました。しかし、世界の経済活動の再開によって需要が拡大したことで、世界規模で鉄鉱石の供給が不足して価格が高騰しています。
鉱物資源のほとんどを輸入に頼っている日本においても、世界的な鉄鉱石の供給不足の影響は避けられません。
また、経済産業省が四半期ごとに公表している鋼材需要の見通しを見ると、コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年を境に急激に需要が落ち込んでいることが分かります。しかし、2021年にかけて急激な上昇が見られることから、鋼材の需要が拡大したことによって、価格の高騰を招いていると考えられます。
経済産業省『鉄鋼』の公表データを基に作成
ウッドショックと並んで建築コストへの影響が大きいため、今後の価格動向についても注意が必要です。
(出典:経済産業省『金属産業の現状と課題』『鉄鋼』)
まとめ
この記事では、アイアンショックについて以下の内容を解説しました。
- アイアンショックとは
- アイアンショックの現状
- アイアンショックが起こる原因
2021年から2022年にかけて、鋼材の価格高騰が発生しています。その背景には、世界的な需要拡大が挙げられます。
鋼材の価格高騰は建築コストの増加にもつながるため、住宅価格や建築計画の見直しが必要になると考えられます。加えて、顧客を獲得していくための付加価値の創出や、受注ペースの見直しなどを図ることに関する検討も求められます。
アイアンショックの回復はいまだ目途が立っていないため、今後も建築資材の価格動向に注目していくことが重要です。
LIFULL HOME’Sでは、工務店・ビルダーに向けた住宅のトレンド情報についてまとめています。ぜひご活用ください。