住宅トレンド

住宅会社が知っておくべき、業務に役立つ住宅補助金制度の内容とメリット

住宅の購入を検討している方に対して、国が行っているさまざまな補助金制度や税額控除をきちんと提案できると、住宅会社にとっても大きなメリットがあります。住宅会社は、基本的な仕組みを正しく理解したうえで、提案することが大切です。

この記事では、住宅会社にとって業務に役立つ住宅補助金制度の内容とメリットを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.2023年から本格始動する新しい補助金「こどもエコすまい支援事業」の概要
    1. 1.1.こどもエコすまい支援事業とは
    2. 1.2.対象条件・支給額
  2. 2.2022(令和4)年度の税制改正により変更された「住宅ローン控除(減税)」の概要
  3. 3.住宅購入者にとってのメリット
  4. 4.住宅会社にとってのメリット
  5. 5.他にもある住宅補助金制度
    1. 5.1.ZEH補助金
    2. 5.2.各自治体の補助金制度

2023年から本格始動する新しい補助金「こどもエコすまい支援事業」の概要

こどもエコすまい支援事業とは、住宅の省エネ化を進めることを目的とした国土交通省の補助金事業を指します。対象条件や支給額について解説します。


こどもエコすまい支援事業とは

こどもエコすまい支援事業は、国土交通省が行っている補助金事業の1つです。エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若年夫婦世帯に向けて、高い省エネ性能を持つ新築住宅(ZEH)の取得を促進させ、カーボンニュートラルの実現を図ることを目的としています。


対象条件・支給額

こどもエコすまい支援事業の対象者は、子育て世帯または若年夫婦世帯のどちらかとなっています。子育て世帯は2004年4月2日以降に生まれた子(2023年現在、19歳以下)を持つ世帯であり、若年夫婦世帯は1982年4月2日以降(2023年現在、41歳以下)に生まれた夫婦が対象となります。

また、こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約を結んで住宅を新築する人が対象となっており、建築主に代わって事業者が申請手続きを行います。支給額はZEH基準を満たす新築住宅に100万円が支給され、リフォームでも最大60万円の補助が受けられる仕組みです。

2022(令和4)年度の税制改正により変更された「住宅ローン控除(減税)」の概要

住宅ローン控除(減税)は、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅ローンを利用してマイホームを取得した方に対し、毎年12月末日の住宅ローン残高と住宅を取得した対価のいずれか少ない方の金額をもとにして計算を行い、一定割合が所得税から控除される仕組みとなっています。

2022(令和4)年度の税制改正によって、控除率・控除年数・借入限度額・所得要件などが変更となりました。主な変更点についてまとめると、以下のとおりです。

  • 控除率が住宅ローンの年末残高の1.0%から0.7%に引き下げられた。
  • 入居年が2022年、2023年については新築住宅取得の控除年数が13年に変更された。2024年以降の入居や中古住宅の取得、増改築は10年。
  • 借入限度額が3,000万円(2022年・2023年入居)に変更された。2024年以降の入居、中古住宅の取得、増改築については2,000万円。
  • 住宅ローン控除適用対象者の所得要件が、3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられた。

上記のように、2022年度からの変更点は多いので、1つずつ丁寧に押さえておきましょう。住宅ローン控除だけで見ると制度が縮小されているように見えますが、こどもエコすまい支援事業や後述する住宅補助金制度など、子育てや環境に配慮した住宅に関しては制度が拡充されている傾向も見られます。

住宅ローン控除以外の補助金制度と組み合わせながら、住宅購入希望者に対してより良い提案ができるように、基本的な内容を把握しておきましょう。

住宅購入者にとってのメリット

こどもエコすまい支援事業や住宅ローン控除などの住宅補助金制度や税額控除は、住宅購入者にとって大きなメリットだといえます。特に、住宅補助金制度は「返済不要」であり、審査を通過すれば資金面での助けとなります。

補助金によって浮いた資金で住宅設備のグレードを高めたり、手元資金に余裕を持たせることに活用できるでしょう。新築住宅購入のハードルが下がるため、自分に合った住まいを見つけられるきっかけとなります。

住宅会社にとってのメリット

住宅補助金を活用することで、住宅購入者の経済的な負担を軽減できるため、住宅会社にとっては住宅を販売しやすい環境を整えられます。購入予算の都合から従来であれば顧客が諦めていた部分に対しても、柔軟なアプローチを図れるため、より良い提案につなげられるでしょう。

また、補助金の申請手続きなどを含めて、顧客に対するフォローをきめ細かく行えるので、顧客満足度を高めることにつながるはずです。特に近年の住宅補助金制度は、子育て世帯にメリットとなるものが充実しており、環境に配慮した住まいへの支援制度も充実しています。

顧客一人ひとりのニーズに合わせた提案が行えることで、住宅販売にさらに積極的に取り組めるようになるでしょう。

他にもある住宅補助金制度

これまで紹介した制度以外にも、住宅補助金制度にはさまざまなものが用意されています。具体的にどのようなものがあるのかを紹介します。


ZEH補助金

ZEH(ゼッチ)補助金とは、高い省エネ性能を備えた新築住宅を取得したときに利用できる補助金をいいます。ZEH基準を満たした住宅は5つに区分されており、それぞれ適用される補助金事業や補助額が異なります。

上手に活用すれば、最大140万円の補助金を住宅購入者は受け取ることができるので、住宅購入のハードルを下げられるでしょう。申請スケジュールは二次公募の募集などを含めて、最新情報をWebサイトなどでチェックしてみてください。


各自治体の補助金制度

各自治体では、地域の活性化や子育て世帯の支援のために、独自の住宅補助金制度を設けているところもあります。年度ごとに新たな制度が新設されている場合もあるので、地域の自治体の住宅補助金制度についてこまめにチェックしておきましょう。



●記事のおさらい

最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:こどもエコすまい支援事業とは?

A: こどもエコすまい支援事業は、国土交通省が行っている補助金事業の1つであり、子育て世帯や若年夫婦世帯を対象としています。支給額はZEH基準を満たす新築住宅に100万円が支給され、リフォームでも最大60万円が支給されます。

住宅会社としては、子育てを意識している世帯や環境に配慮した住まいに関心のある世帯に向けてアプローチを強化できるでしょう。

Q:住宅ローン控除はどのように変わった?

A:住宅ローン控除は、2022(令和4)年度の税制改正によって、控除率・控除年数・借入限度額・所得要件などが変更になりました。住宅ローン控除単体で見ると、制度が縮小しているように見えますが、その他の住宅補助金制度は拡充しているため、他の制度との併用を提案するなど、住宅購入希望者にアプローチするとよいでしょう。

Q:住宅補助金制度を活用すると、どのようなメリットがある?

A:住宅補助金制度を活用することで、住宅購入者は資金面で余裕を持てるようになり、住宅設備の充実や手元資金の確保につなげられます。資金面でゆとりを得られるため、新築住宅の取得に対する心理的・経済的なハードルが下がるといえます。

また、住宅会社にとっても住宅を販売しやすい環境を整えられるでしょう。補助金の申請手続きを代行するなど、顧客に対するきめ細かなフォローアップにつながるので、顧客からの信頼獲得につなげられるはずです。

  住宅トレンド コラム一覧|LIFULL HOME’S Business 注文・分譲一戸建て|工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社向け業務支援ポータル|ライフルホームズの集客・販促・営業・人材確保 工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社向けの住宅トレンドコラム一覧|工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社向けの業務支援サービスを探せるポータルサイト。集客から成約まで様々なサービスをご紹介。是非、貴社の業務課題解決のためにLIFULL HOME’S Business 注文・分譲一戸建てをご活用ください LIFULL HOME'S Business 注文・分譲一戸建て


監修者 三輪歩己
監修者 三輪歩己
不動産鑑定士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、 相続診断士、J-REC公認不動産コンサルタント。名古屋市立大学薬学部卒。 大学在学中に不動産鑑定士2次試験合格。日本土地建物株式会社にて、 不動産鑑定や不動産証券化業務に従事。その後外資系不動産ファンド等にて 物件購入・管理・経営企画等業務に従事。約20年間の鑑定・宅地建物取引業の 経験を活かし、2020年に不動産パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。 同社では、不動産鑑定業・宅地建物取引業に加え、不動産専門の相続診断士として 活動を行う。

関連する最新コラム