住宅トレンド

コロナ5類移行から半年経過。住宅業界においてコロナ禍以降で普及・定着した提案を振り返ってみる

2023年5月にコロナが5類移行してから、約半年が経過しました。コロナの脅威が去ったわけではありませんが、それでもやはり、「withコロナ」の空気は世の中に浸透してきていると言えるでしょう。

コロナ禍の3年間で、住宅営業・住宅販売の現場でも、以前とは異なるお客様ニーズが生まれました。そこで今回は改めて、コロナの影響で住宅業界に普及・定着した提案を振り返っていこうと思います。

目次[非表示]

  1. 1.プラン提案について
  2. 2.設備提案について
  3. 3.これらの提案、今後はどうなる?

プラン提案について

コロナの影響で、通勤時の感染リスクが抑えられる在宅ワークという働き方は世に急速に広まっていきました。このことは自宅で仕事に集中できる空間が欲しいという新たなニーズを生み出し、自宅にテレワーク用のスペースを設けることは一気に主流となりました。

一人で籠って作業に集中できる書斎のような空間の提案から始まり、それに続いて、自宅にいる家族と柔らかにコミュニケーションをとりつつ、自分の作業を行えるような空間の提案にも人気が出てきました。これは例えば、スキップフロアを利用して、目線の高さをずらすことで、家族の存在を感じつつも、作業の妨げにならない提案などです。今ではどちらのタイプの空間も設けて、気分によって使い分けるという提案も散見されます。

外出制限や在宅ワークの普及によって、家族の「おうち時間」は必然的に増加していきました。そのことにより、子どもの世話や部屋の片付け、家族全員分の料理など、家事を行う人の負担は増加しました。そこでニーズが高まったのが「家事ラク提案」です。この例としては、洗濯物を洗う、干す、取り込む、しまうという一連の動作を行う場所を一ヶ所にまとめたような提案が挙げられます。

外出制限によりエンタメやリフレッシュの時間や選択肢は限られ、増加した「おうち時間」を少しでもリラックスできたり、充実させたりしていこうという動きもさかんになっていきました。自宅のベランダでグランピングを行う「ベランピング」というワードはコロナ禍以降に一気に拡大。ウッドデッキや庭を活用した、アウトドアなライフスタイルもトレンドとなりました。その他、趣味空間を充実させるようなガレージ提案なども人気の傾向にあります。

設備提案について

ここからはコロナの影響により人気が拡大していった設備について紹介していきます。

コロナ禍により大きく変わったものの中の1つには、やはり人々の衛生意識があるでしょう。コロナに感染しないためには、家の中にウイルスを持ち込まないことが重要視されています。玄関にミニサイズの洗面を設けて、手洗いうがいを済ませてから主室に行くことは、今ではすっかり定番となっています。非接触タイプの水栓機器やトイレなどもコロナ禍以降、より人気となりました。

空気環境もより重視されるようになりました。全館空調システムに光触媒や紫外線照射システムを組み合わせてウイルスを除菌するものなどが、大手設備メーカーやハウスメーカーなどから出されています。

外出制限があったことに加え、ECサイトの発達などもあり、コロナ禍以降は宅配サービスの利用率がより上がっていきました。それに伴って普及していったのが宅配ボックスです。特に緊急事態宣言発令などがあった時期は、できれば荷物を受け取る際も人と対面したくないという人が多かったでしょう。宅配ボックスも今ではすっかり市民権を得ています。

プランについては上記で少し触れましたが、「家事ラク」をアシストする設備についても紹介していきます。ニーズが高いという声を特に多く聞くのが、やはり、ガス乾燥機です。洗濯機置き場に乾太くん用のスペースを設ける会社は非常に増えてきています。その他、お掃除ロボットなどもニーズが高まってきているようで、お掃除ロボット収納用のちょっとした窪みなどを提案する会社も散見されます。

これらの提案、今後はどうなる?

最後に、コロナ禍以降に普及した各提案が「withコロナ」の空気感が漂う今後も継続していくかということを考えていきたいと思います。ここまでの話を簡単にまとめると、プラン・設備提案という面でコロナ禍が住宅業界にもたらしたものは大きく2つ。

1つ目が、「(増加した)自宅での時間を快適に過ごしたい」ということ。
2つ目が、「衛生意識の高まり」がユーザーに生まれたこととなります。

前者については「新しく生まれたもの」ではなく、もともとあったニーズが、コロナの拡大により一気に顕在化したものだと考えられます。そのため、今後もそういった提案が一切響かなくなるとは考えづらいです。わかりやすく言えば、家事をラクにしたい、できるだけ快適に在宅ワークをしたいというニーズは普遍的なものだろうということです。

後者についても、一度高まった衛生意識がコロナ前ほどに下がるとは考えづらいです。実際、5類移行後も、特に日本人はマスクを着け続けている人が多いです。

つまり、ここまで紹介してきた「コロナ禍以降に普及した提案」というものは定着していくのではないでしょうか。そのことを踏まえ、ニュースタンダード住宅提案を行っていけるとよいかもしれません。

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株式会社住宅産業研究所(JSK)
株式会社住宅産業研究所(JSK)
1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

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