第4回【工務店DX】クラウドツールとは?選び方のポイントと注意点をIT企業が解説
近年DXツールの種類が多様化し比較対象が増えたため、ツール選びが難しくなっています。
DX推進のためにツールを導入しても、自社の課題に合わないものでは意味がありません。DXの目的は、デジタルツールを導入するだけでなく、ツールを使ってビジネスモデルに変革を起こすことです。ツールの活用により顧客満足度の向上や失注率の改善など課題の解決に向けた過程に変革を起こすことでDXの成功となります。
そのため、DXツール選びは慎重に行う必要があります。そこで今回はIT企業目線からDXツールの選び方のポイントや導入前に確認すべき注意点を解説いたします。
弊社は、1997年から25年以上システム開発を専門に業務効率化や生産性の向上、近年ではDX化のお手伝いなど住宅・建設業界に限らず多くの企業様をサポートしてきました。
ここでは、DXを通してどういった課題を解決できるのかに着目し、「工務店DX」を特集します。前回(第3回)の「工務店DX特集」では、失注率に着目し、失注が起きてしまう原因やDXによる具体的な改善方法やポイントについて言及しました。
第4回である本記事では、「DXツール選びのポイント・注意点」に着目します。
目次[非表示]
- 1.DXツールの種類
- 2.クラウドツールとは
- 3.クラウドツール選びのポイント
- 3.1.①初心者でも分かりやすい操作性の良さ
- 3.2.②工務店向け機能の充実度
- 3.3.③リアルタイムでの情報共有の仕組み
- 3.4.④サポート体制の充実度
- 4.クラウドツール選びの注意点
- 4.1.▼まずは課題を明確化すること
- 4.2.▼定着までに時間がかかることを把握すること
- 5.まとめ
DXツールの種類
DXツールの種類はさまざまで、ツールごとに活用できる場面が異なってきます。
以下は、工務店の業務効率化に役立つDXツールの一例です。
- プロジェクト管理ツール
タスク管理ツール
- ファイル共有ツール
- WEB会議ツール
- 施工管理ツール
- 図面管理ツール
- 顧客管理ツール
- コミュニケーションツール
これらの中から自社の課題に合ったツールを選定する必要があるのです。
クラウドツールとは
DXツールを調べていく中で、クラウドツールという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。クラウドツールとは「インターネットに接続されたコンピューター(サーバー)が提供するツール」で、現在主流のツールとなっています。
クラウドツールが登場する前は使いたいシステム・ツールがあればソフトウェアをパソコンにインストールしたり、ハードウェアを購入したりすることが一般的でした。
クラウドツールが登場したことにより、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末にデータを保存するのではなく、 インターネット上に存在する仮想空間(サーバー)に保存をするなどの運用ができるようになりました。
そのため、 インターネットが利用できる環境であれば、どこからでも活用でき、働き方やビジネスモデルの新しい価値の創出が可能になります。
クラウドツール選びのポイント
クラウドツールの比較を行う上でのポイントは、以下の4つです。
①初心者でも分かりやすい操作性の良さ
ツールの操作性の良さ、使い勝手の良さは長く使っていくために非常に重要です。特に従来の仕事の進め方・やり方に慣れている社員の中には、新しいこと(DXツール)を取り入れることに抵抗がある方もいます。
初めの一歩でつまずかないためにも、初心者でも使いやすい直観的操作のできるツールを選びましょう。そのためには、無料トライアルなどを通して操作感を確認してみることが重要です。少人数の工務店様の場合は、利用する予定がある社員全員が一度触れてみることが理想です。
②工務店向け機能の充実度
DXツールの中には、幅広い業界向けに開発されたツールもあります。
しかし、住宅業界(特に注文住宅)では、施主様・協力企業様・社員同士のやり取りは複雑かつ密なコミュニケーションが鍵となります。このような住宅業界特有の課題解決が目的の場合には、工務店向けの機能が充実しているかという点を確認しましょう。
③リアルタイムでの情報共有の仕組み
住宅業界は仕事量が多く、属人化(ある業務の手順や進捗状況などを特定の担当者しか把握しておらず、社内に情報が行き届いていない状況)状態になりやすい業態です。そのため、社内間での情報共有が的確かつスムーズにできると良いでしょう。
しかし、ただでさえ多い業務量を増やすことはできません。そのため、ツールを利用することで自然と情報共有ができるような仕組みになっているかがポイントです。
また、クラウド型であれば外出先でも情報を共有できるため、最新情報に気軽にアクセスすることができます。ちょっとした隙間時間が活用できるかを考慮すると良いでしょう。
④サポート体制の充実度
DXツールを導入したとしても、一部の社員だけが使っているという状況では根本の課題解決にはいたりません。そのため、全社員に対してDXツールを導入する目的・メリットを浸透させ、使い方をレクチャーする機会を設けなくてはなりません。
しかし、経営層や担当者が全ての機能を理解し、説明をするのには限界があります。そのため、導入前後のサポートが充実しているかという観点もツール選びの判断材料にしましょう。毎年の全社・新入社員向けの説明会を開催するほか、使い方や運営方法に関する質問・相談などが永続的に可能かどうかの確認も併せてすると良いでしょう。
クラウドツール選びの注意点
▼まずは課題を明確化すること
DXツール導入の目的は、ツールを導入することではありません。自社が抱える課題を解決するためにDXツールという道具を利用するのです。
ツールの導入を検討する前に、必ず「効率化したい・すべき業務」を明確にしてください。前述したようにDXツールの種類は多様で、製品によって解決できる業務内容が異なります。
そのため、効率化したい業務が不明瞭なまま導入しても、効率化はおろか導入コストと時間だけが無駄になってしまいます。まずは社内のヒアリングから始めてみてください。
▼定着までに時間がかかることを把握すること
DXツールが定着し効果が出るまでには、多少時間がかかることも想定しておく必要があります。
スマホや家電を例にしても「機能を使いこなせず説明書を読み返した、インターネットで調べた」という経験があるのではないでしょうか。DXツールも同様です。
自社の場合はどのように業務フローに組み込んでいくのがベストなのか試行錯誤の時間が必要なのです。
まとめ
クラウドツール選びをするときには、自社の課題を明確化することから始め、定着までの時間がかかることを考慮した長期的な目線での計画を立てるようにしましょう。
- ツール選定時のポイントは以下の4つです。
- 初心者でも分かりやすい操作性の良さ
- 工務店向け機能の充実度
- リアルタイムでの情報共有の仕組み
- サポート体制の充実度
次回は、住宅業界・工務店DXの取り組み事例に関する記事を掲載予定です。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
●関連コラムはこちら
≫ 第3回【工務店DX】情報の一元管理で失注率を改善する方法