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いま話題の3Dプリンター住宅とは? 超低価格で新世代に需要あり? 人気の理由を解説

いま話題の3Dプリンター住宅とは? 超低価格で新世代に需要あり? 人気の理由を解説

近年の住宅業界においては、物価高による建築資材の高騰や人手不足による人件費の上昇などにより、住宅価格が高騰しているのが大きなトピックとなっています。こうした状況にあって、低価格で住宅を提供できる可能性を秘めた技術として注目されるのが「3Dプリンター住宅」です。

今回は話題の3Dプリンター住宅をテーマに、基本的な仕組みや人気の秘密、今後のニーズの動きなどをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.3Dプリンター住宅とは
    1. 1.1.3Dプリンター住宅の仕組み
    2. 1.2.3Dプリンター住宅の工法
    3. 1.3.3Dプリンター住宅の導入事例
  2. 2.3Dプリンター住宅が注目される理由
    1. 2.1.超低価格
    2. 2.2.工期が短い
    3. 2.3.曲線などのデザインも自由自在
  3. 3.未来の顧客とニーズがマッチ?
  4. 4.ライフスタイルやニーズの変化にうまく対応していこう

3Dプリンター住宅とは

近年の住宅業界では、デジタル技術の進歩などにより、次々と新しいアイデアや製品が誕生しています。VR展示場や無人内見などは、すでに住宅営業の現場で採用され始めており、目新しさも手伝って一定の成果を上げています。

そのうえで、特に大きな注目を集めているのが、3Dプリンターで一戸建てを丸ごと製造する「3Dプリンター住宅」です。主な素材はコンクリートやモルタル、ポリウレタンなどであり、3Dプリンターがノズルを水平移動させながら材料を吐き出し、素材の層を何重にも重ねて造形していきます。

その結果、まるで機械でプリントをするように、設計図に沿った住宅がそのまま出来上がるという仕組みです。従来の住宅建築と比べて、圧倒的に工期が短く、建築コストも大幅に短縮できることから、住宅業界を根底から変える可能性を秘めた技術として、広く話題を集めています。

3Dプリンター住宅の仕組み

3Dプリンター住宅はどのような流れで建てられるのでしょうか。ここでは基本的な仕組みや実際に導入されている事例などをご紹介します。

3Dプリンター住宅の工法

3Dプリンターを用いた工法には、大きく分けて2つのパターンがあります。一つは工場で住宅に用いるパーツを製造した後、現場に運び込んで組み立てていく方法であり、これは従来のプレハブ工法と類似しています。

もう一つは現場に直接3Dプリンターを運び込み、一から組み上げていく方法です。ノズルからソフトクリームのように素材が吐き出され、設計図どおりに何層にも重ねられることで厚みや強度、気密性が生まれていきます。

住宅として活用される際には、層の間に断熱材を入れ込むことで、快適な居住空間を実現する仕組みとなっています。

3Dプリンター住宅の導入事例

国際的に見れば、3Dプリンター住宅はさまざまな地域で実際に導入されている技術でもあります。たとえば、2023年にはアメリカテキサス州の建設3Dプリント企業「ICON」と全米有数の住宅メーカー「Lennar」、デンマークとアメリカに拠点を持つ設計事務所「BIG-Bjarke Ingels Group」が協力し、テキサス州で100個の3Dプリンター住宅の建設計画が開始されています。

もっともコンパクトなものでも、3つのベッドルームに2つのバスルームを備えた十分なサイズ感であり、実用性と快適性を兼ね備えたプランになっているのが特徴です。全戸がソーラーパネルをはじめとする省エネ設備を備えており、建築に伴う廃棄物も最小限に済むことから、「持続可能な社会」の実現を進める取組みとして広く注目を集めています。

3Dプリンター住宅が注目される理由

3Dプリンター住宅が注目されているのは、従来の住宅建築に関する概念を覆すような特徴があるためです。ここでは、3Dプリンター住宅の大きな特徴をご紹介します。

超低価格

国内で3Dプリンター住宅が注目を集めたきっかけは、兵庫県西宮市の住宅メーカー「セレンディクス」が手がけた住宅にあります。3Dプリンターによる出力で、1LDKの一戸建て住宅が「550万円」という破格の値段で実現できる事実がインパクトを与え、さまざまなメディアが取り上げることとなりました。

その結果、「新車と変わらない値段でマイホームが手に入る」「住宅ローンから解放される未来が訪れる」といった点が話題を呼び、幅広い層から注目を集めるようになったのです。実際のところ、3Dプリンター住宅の建材はバイオセメントやコンクリートであるため、木材を仕入れる必要がありません。

ウッドショックなどの影響を受けず、仕入れのルートも簡略化されるため、常に安定した価格で実現できるのです。また、木材を使わないことで輸送費や人件費が圧縮される点も、超低価格を実現できる理由となっています。

工期が短い

3Dプリンター住宅が注目を集めたもう一つの理由は、圧倒的な工期の短さです。物件によっては「最短2日間」で仕上げることが可能であり、技術を持った職人に頼らずに安定した品質の家を完成させることも可能です。

長らく人材不足に悩んでいた建築業界において、少ない人手で完成させられる3Dプリンター住宅は、課題解消につながる画期的なアイデアとなっているのです。

曲線などのデザインも自由自在

3Dプリンターは、人間の手では難しいとされる曲線や球体などの加工も得意としています。従来の方法では多大な時間とコストがかかってしまうような曲線デザインの建造物も、3Dプリンターを用いれば簡単に実現できてしまうため、デザインの幅が広がるのも大きなメリットです。

未来の顧客とニーズがマッチ?

従来の住宅とはさまざまな点で一線を画す3Dプリンターは、メーカー側が想定していないようなニーズも生み出しています。もともとは、新しい技術を用いた製品ということもあり、比較的に若い世代がターゲットとして考えられていました。

しかし、実際に製品がメディアで取り上げられると、問合せのなかには「60代以上の夫婦世帯」からによるものが多く含まれていました。具体的には「年齢を理由に賃貸住宅の貸し渋りが行われてしまう」といったケースや、「これまで住んでいた住宅のリフォーム代と比較したところ、思い切って郊外に3Dプリンター住宅を建てたほうがよいと判断した」といったパターンです。

現在国内で取り扱われている3Dプリンター住宅は、比較的にコンパクトなサイズが主流であることも関係し、老後の住環境に最適と考えられるケースが増えているのです。さらに、今後は70平方メートルの広さを持つファミリータイプの製品も開発されていく予定です。

そうなれば、若者夫婦世帯や子育て世帯も含めた、幅広い需要を生み出していく可能性があるといえるでしょう。

ライフスタイルやニーズの変化にうまく対応していこう

現状において、3Dプリンター住宅はまだ市場に投下されたばかりの段階であり、実際にどのような影響を生み出していくかは明らかになっていません。一般に広く普及していくことを考えると、法律や災害リスクなどの課題も抱えているのも確かです。

しかし、一戸建ての圧倒的な低コスト化と効率化が可能であるという事実は、今後の住宅業界に大きな影響を与えていくでしょう。3Dプリンター住宅が普及していけば、当然ながら住宅の売り方や顧客へのアプローチの仕方なども変わっていきます。

住宅会社としては、それに伴うライフスタイルやニーズの変化を敏感に察知し、素早く適切な戦略を立てていくことが重要です。


●記事のおさらい

最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:3Dプリンター住宅とは?
A:
3Dプリンターを用いて、コンクリートやモルタルなどの素材をノズルから流し込み、設計図どおりに何層も重ねて造形する住宅のことです。主な工法には、工場でパーツを作成して現場に運んでから組み立てる方法と、現地で直接一戸建てをつくっていく方法の2パターンがあります。

Q:3Dプリンター住宅のメリットは?
A:
従来の住宅と比べて圧倒的に低コストで実現できる点と、最短2日間の短期で完成させられる効率のよさがメリットです。また、熟練の職人による加工が必要であった曲線や球体などの仕上げも、機械によって簡単に実現できるのが利点です。


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