【工務店向け】Googleスプレッドシートでの工程表の作り方と注意点を解説
工程表は工事のスケジュール管理を行い、納期を確実に守るために必要なツールです。また、工事や家づくりの進捗を把握してもらうために、ときにはお客さまに提示することもあります。
正確で分かりやすい工程表を作成できれば、作業の効率化につながるとともに、お客さまから信頼を寄せてもらえるきっかけにもなるでしょう。工程表の作成方法にはさまざまな種類がありますが、今回は「Googleスプレッドシート」を活用するメリットや注意点、作成時のコツについて解説します。
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Googleスプレッドシートを利用するメリット
「Googleスプレッドシートは」Googleが提供している表計算ソフトであり、基本的な使い方や形式は、Microsoftが提供するExcelと大きな違いはありません。ただし、機能面においてはいくつか異なる特徴があるので、メリットを見比べたうえで自社に合ったものを選ぶのがおすすめです。
ここでは、Googleスプレッドシートを活用するメリットについて見ていきましょう。
インターネット環境があればいつでもどこでも閲覧・編集が可能
もっとも大きな特徴は、Webブラウザ上で操作できる点にあります。作成したデータはクラウドのストレージに自動保存されるため、インターネットにアクセスできれば、いつでも場所を問わずに閲覧や編集が可能です。
また、Googleスプレッドシートアプリを使えば、スマホからでもアクセスできるため、外出先や工事現場などでもリアルタイムで確認できるのがメリットです。現場でイレギュラーな事態が生じた場合でも、手持ちのスマホからデータを入力できるので、すぐに情報を反映させられるのが大きな利点といえます。
複数人による同時編集が可能
Googleスプレッドシートは、複数人が同時に編集できるのも特徴です。各ユーザーが行った編集結果はすぐに反映されるため、工程表に関するデータをやりとりするのであれば、メールやチャットなどよりもスムーズに行えます。
また、一般の作業員は「閲覧のみ」、責任者や管理者は「編集・閲覧可能」のように、ユーザーごとに権限を設定することができ、アクセス権限そのものの範囲を限定することも可能です。そのため、情報漏えいや操作ミスのリスクを避けて利用できる仕組みとなっています。
作成中のデータも自動保存される
重要な機能として、Googleスプレッドシートには作業履歴の自動保存システムが備わっています。編集操作の都度、データが保存される仕組みとなっているため、手動でバックアップをとらなくてもデータ損失や消失のリスクを避けられます。
無料で利用できる
Googleスプレッドシートは、Googleアカウントがあれば無料で利用できます。Googleアカウント自体も無料で作成できるため、Excelを導入するのと比べて大幅にコストダウンとなることも利点です。
多様な形式に対応している
Googleスプレッドシートでは、Excelのファイルを変換せずにそのまま扱えます。反対に、Googleスプレッドシートで作成したデータをExcelとしてダウンロードすることも可能なため、外部とのやりとりにも活用しやすいのがメリットです。
さらに、作成したファイルはPDFやCSV形式でも書き出すことができ、データの印刷や軽量化も簡単に行えます。
Googleスプレッドシートで工程表をつくる方法
Googleスプレッドシートで工程表をつくる方法は、「テンプレートを使用する」方法と「自分でつくる」方法の2パターンがあります。ここでは、それぞれの作成手順や操作に関するポイントについて解説します。
テンプレートを使用する場合
テンプレートは自作よりも手軽に表をアウトプットできるのがメリットです。まずはGoogleスプレッドシートを起動して、上部の「テンプレートギャラリー」を選択します。
工程表を作成する際には、テンプレート一覧の「プロジェクト管理」にある「ガントチャート」を活用するのがおすすめです。基本的なフォーマットは用意されているので、必要に応じてタイトルや項目名を変更して、不要な項目を削除すればそのまま使うことができます。
自作する場合
自作はテンプレートに比べて手間がかかってしまうものの、自社の用途に応じて細かくオリジナル項目を追加できるのがメリットです。Googleスプレッドシートを起動したら、「新しいスプレッドシートを作成」を選択し、「空白」を選ぶとまっさらなシートが表示されます。
まずは対象範囲や罫線のタイプを選び、表を作成しましょう。その後、表の左上からトップの行に「作業名」「作業開始日」「作業完了日」という項目を入れ、右に続けて管理するスケジュール分の日付(基本的には1ヶ月単位)をすべて入力していきましょう。
そして、枠外に「作成日」「現場名(案件名)」「責任者」の入力項目を作成すれば、ガントチャートのひな形は完成となります。あとは、工事の進捗に応じて作業名や作業開始日などを書き込み、作業名ごとに対応した日付部分を塗りつぶして、データを更新しながら活用していきます。
工程表をGoogleスプレッドシートでつくるときの注意点
工程表を作成するにあたり、Googleスプレッドシートは便利なツールである一方、気をつけたいポイントもいくつかあります。ここでは、意識しておきたい3つの注意点について見ていきましょう。
編集には画面サイズの大きなデバイスを用いる
Googleスプレッドシートはスマホでも利用可能ですが、画面が小さいとどうしても誤操作が起こりやすくなります。細かい編集作業は、パソコンや画面の大きなタブレット端末で行うほうが効率的なので、スマホはあくまでも閲覧用や臨時でのデータ入力用として割り切って考えるほうがよいでしょう。
権限を与えるユーザーを慎重に設定する
万が一工程表が流出・漏えいすれば、お客さまや取引先に大きな影響を与えてしまうおそれがあります。案件ごとに管理や編集の権限を付与するユーザーはきちんと限定し、データの管理には細心の注意を払いましょう。
操作に慣れるまでの時間と手間を考慮する
GoogleスプレッドシートはExcelとの共通点も多いですが、細かな操作方法や仕様には違いがあります。新たに導入する際には、現場で扱えるだけの能力を身につけるまでに一定の時間がかかることを念頭に置いておきましょう。
工程表を利用するにあたり、自社に合った形にカスタマイズするためには、数式などについてある程度の知識が求められます。少なくとも案件の責任者や現場の責任者には、編集に必要な能力を身につけてもらわなければなりません。
そのため、実際に現場で運用するまでには、ある程度の時間的なゆとりを持たせておくとよいでしょう。
見やすい工程表をつくるコツを紹介
Googleスプレッドシードには、工程表を作成するうえで便利な機能が備わっています。ここでは、見やすい工程表をつくるコツを2つご紹介します。
「条件付き書式」機能を使ってセルの色を変更する
「表示形式」のなかの「条件付き書式」という機能を活用すれば、用途に合わせて簡単にセルの色を変更することができます。たとえば、各工程において「進捗度」の項目をつくり、作業完了率に応じた色を設定すれば、一目で進み具合をチェックすることが可能です。
作業完了率は全体のスケジュールをチェックするうえで重要な指標となるため、セルのカラー設定を工夫して視認性を高めるとよいでしょう。
「カレンダー表示機能」で日付入力を効率化する
工程表の作成においては、日付の入力に手間がかかってしまうのが課題となります。そこで活用したいのが「カレンダー表示機能」です。
使い方はとてもシンプルで、まずは日付を入力したいセルを選び、「データ」のメニューから「データの入力規則」を選択します。さらに「条件」から「リストを範囲で指定」をクリックし、「日付」を選択すると基本の設定は完了です。
あとは、入力規則を設定したセルをダブルクリックするだけでカレンダーが表示されるため、カレンダー上で任意の日付を選べば自動で入力が完了します。この方法であれば、カレンダーから日付を選ぶだけで入力が行えるため、作業の手間を大幅に軽減できるとともに入力ミスも回避できます。
一度使い方を覚えれば、毎回の工程表作成の負担が大幅に軽減されるので、導入初期に押さえておきましょう。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:工程表の作成にGoogleスプレッドシートを使うメリットは?
A:一番のメリットはオンライン環境ならいつでもどこでもアクセスできることです。データはクラウド上に保存されるため、出先や現場でも閲覧・編集が可能であり、複数人による同時編集も行えます。
Q:Googleスプレッドシートで工程表をつくる方法は?
A:より手軽に作成するのであれば、テンプレートを利用するのが便利です。工程表作成には、テンプレート一覧の「プロジェクト管理」にある「ガントチャート」を活用するのがおすすめです。
Q:Googleスプレッドシートで見やすい工程表をつくるコツは?
A:「表示形式」のなかの「条件付き書式」という機能を活用して、セルの色を適宜変更すると、全体的な見やすさが向上します。たとえば、工事の進捗度を示す列について、各セルを対応する工程の完了度に応じた色合いに設定すれば、一目で工事の進み具合を把握できるようになります。
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