建設事務の仕事内容とは?求められるスキルと役に立つ資格8選
建設事務は企業の運営を足元から支える重要な職種です。業務の性質上、基本的な事務処理能力が重視されるため、他業界での事務経験者もチャレンジしやすいのが大きな特徴となっています。
今回は建設事務の仕事内容や魅力、働くうえで求められるスキルをご紹介します。また、建設事務としてのキャリアアップを図るのに役立つ資格も併せて確認していきましょう。
目次[非表示]
- 1.建設事務の仕事内容
- 2.建設事務として働くことのメリット
- 2.1.他業界での経験が生かせる
- 2.2.男女ともにキャリアアップが目指せる
- 2.3.仕事とプライベートのバランスをとりやすい
- 3.建設事務に求められるスキル
- 3.1.パソコンの操作スキル
- 3.2.コミュニケーション能力
- 3.3.事務処理能力
- 4.建設事務で役に立つ資格8選
- 4.1.日商簿記検定
- 4.2.建設業経理検定
- 4.3.建設業経理事務士試験
- 4.4.建築CAD検定
- 4.5.CAD利用技術者試験
- 4.6.秘書検定
- 4.7.宅地建物取引士
- 4.8.情報処理技術者試験
- 5.建設事務はこんな人におすすめ!
- 5.1.業界未経験でもチャンスがある
- 5.2.ものづくりに関心がある
- 5.3.コツコツと作業するのが得意
- 5.4.仕事を通じてキャリアアップを目指す人
建設事務の仕事内容
建設事務とは、建設業界における事務職のことであり、その仕事内容は多岐にわたります。ここではまず、建設事務の種類と仕事内容について詳しく見ていきましょう。
建設事務の種類
建設業界で働く事務職の種類は、「総務」「経理」「営業事務」「現場事務」に大別できます。総務とは物品の管理や保守を行うポジションであり、経理は予算管理を行います。
総務や経理の業務範囲は会社全体であり、会社運営全体をそれぞれの専門性によってサポートするというのが基本的なスタイルです。一方、営業事務や現場事務はサポート対象が明確であり、それぞれ営業業務と現場業務の事務に特化して仕事をします。
建設事務の業務内容
主な業務内容としては、電話・メールの対応や来客対応が挙げられます。また、複数の部門を抱える会社では、部門同士の連絡をつなぐ役割を担うこともあります。
さらに、帳票管理や請求管理も重要な業務です。建築業ではさまざまな外部企業とともに仕事を進めることが多いため、発注先への支払い手続きや経費精算のとりまとめが欠かせません。
それ以外には、業務に必要な環境整備も任されることが多いポジションです。社内機器の点検をこまめに行い、必要に応じて発注することで、業務全体に支障をきたさないようにするのが主な役割です。
このように、建設事務は営業や現場といったメイン業務のサポートを行う仕事であることから、企業によって具体的に求められる役割は異なります。
建設事務として働くことのメリット
建設事務の仕事にはさまざまな魅力があります。ここでは、主にキャリアに関するメリットに着目し、3つのポイントを見ていきましょう。
他業界での経験が生かせる
建設事務の仕事をするうえでもっとも重要となるのは、基本的な事務処理能力です。建設業界特有のルールはあるものの、基本的には専門知識がなくても仕事を始められるため、他業界で得た事務処理の能力を生かせるのがメリットです。
男女ともにキャリアアップが目指せる
建設業の仕事のなかでも、特に女性が働きやすい環境が整備されているのが建設事務の特徴です。子育てや介護との両立も比較的に実現させやすいため、男女ともに分け隔てなくキャリアアップを目指せるのが魅力といえます。
仕事とプライベートのバランスをとりやすい
事務職の仕事はあらかじめおおまかなスケジュールが決まっているため、比較的に予定の融通を利かせやすいのも特徴です。経理業務などでは繁忙期とされるタイミングがあるものの、比較的に働き方の自由度は高く、残業もそれほど多くないため、仕事とプライベートのバランスがとりやすいといえます。
建設事務に求められるスキル
建設事務の仕事をするうえでは、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。ここでは、特に重要性の高いものを3つピックアップしてご紹介します。
パソコンの操作スキル
事務職ではほとんどの業務にパソコンが必要となるため、基本的な操作スキルは身につけておく必要があります。ただし、IT業界ほど高度なプログラミングやコーディングのスキルが求められる場面は基本的にありません。
基本的なデータ入力や受送信、ファイルの処理などを行えれば、十分に求められる水準をクリアできると考えてよいでしょう。
コミュニケーション能力
建設事務の仕事では、各部門の担当者や現場の責任者ともやりとりをする必要があるため、コミュニケーション能力が求められます。ときには窓口としてクライアントの対応をすることもあるため、一定以上の水準でビジネスマナーも身につけておく必要があります。
事務処理能力
実務をこなすうえでは、やはり事務処理に関する能力が求められます。ミスなくデータを処理する能力や、書類を見落としなく読み取る能力など、正確性や緻密さが求められるポジションといえるでしょう。
また、経理業務を行ううえでは基本的な簿記の知識とともに、建設業務特有の勘定科目に対する理解も必要です。不安がある場合は、あらかじめ建設に関連した簿記のスキルを身につけておくと、スムーズに業務になじめるでしょう。
建設事務で役に立つ資格8選
建設事務の仕事には、基本的に資格を必須条件とするものはありません。しかし、業務を円滑に進めたり、キャリアアップを目指したりするうえでは、資格が役に立つ場面も多くあります。
ここでは、建設事務に役立つ資格を8種類ご紹介します。
日商簿記検定
簿記関連では特にメジャーな資格であり、難易度は3級、2級、1級の3段階に分かれています。知名度や対外的な信用度も高い資格であるため、取得すれば着実に自身の評価アップが期待できます。
特に2級からは工業簿記に関する知識が問われ、建設業の経理業務との親和性が高いのが特徴です。
建設業経理検定
建設業経理検定とは、その名のとおり建設業に関する会計の知識とスキルを証明できる資格です。基本的な商業簿記の知識に加えて、建設業ならではの専門的な知識が求められるため、取得すれば建設事務としてのキャリアアップにつながります。
建設業経理事務士試験
建設業経理に関する専門的な資格であり、区分は1級~4級の4段階に分かれています。3・4級を取得すると「建設業経理事務士」、1・2級を取得すると「建設業経理士」を名乗ることができ、2級以上を取得すると建築業経理の専門性が高く評価されます。
建築CAD検定
建築CAD検定とは、建築CADに関する知識や操作スキルを証明できる検定試験です。CADを使って実際に図面を作成する能力が問われるため、合格すれば実務レベルで建築CADを操作できることを客観的に示せます。
建築事務から建築設計へとキャリアの幅を広げるうえでは、大いに役立つ資格といえるでしょう。
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、CADに関する正しい知識やスキルが求められる試験であり、取得すれば一定以上の水準で技術を保有していることが証明できます。建設業ではCADによる図面化スキルが重宝される場面も多く、会社によっては建設事務だけでなく「CADオペレーター」としての仕事を任されることもあります。
CADオペレーターとは、CADを扱って設計士やデザイナーのアイデアを図面化する職種のことです。CADオペレーターとしてのポジションが確立されれば、キャリアを安定化させやすくなるだけでなく、さらなるステップアップも望めます。
秘書検定
社会人としてのビジネスマナーや常識を身につけられるという点では、秘書検定も建設事務との相性がよい資格といえます。難易度に応じて3級、2級、準1級、1級に区分されており、上級に当たる準1級と1級を取得するには、筆記試験とともに面接試験にも通過する必要があります。
宅地建物取引士
不動産取引の専門的なスキル・知識を問われる国家資格であり、不動産業界において特に知名度の高い資格です。土地や建物の取引、賃貸物件の仲介などを事業として行うには、規模に応じた人数の有資格者を設置する必要があるため、事業拡大などの際には大きく貢献できるチャンスがあります。
情報処理技術者試験
情報処理技術やITに関するスキルを証明できる国家資格であり、難易度や専門分野によって4レベル、12区分に細分化されています。建築業におけるITの重要性は年々高まっていることから、情報処理技術者が必要とされる場面はますます増えていくと考えられます。
建設事務はこんな人におすすめ!
建設事務はさまざまな業務を経験できるため、多様な働き方を実現できる職種といえます。ここでは、特に適性の高い人の特徴や傾向について見ていきましょう。
業界未経験でもチャンスがある
建設事務の仕事は多くの会社が募集しているため、業界未経験の方でも活躍できるチャンスがあります。他業界で働いていた方でも、基本的な事務処理能力があれば重宝されやすいといえるでしょう。
ものづくりに関心がある
建設業界での仕事は、ものづくりに関心があるにも向いています。現場事務に関する業務であれば、工事現場に出向く機会も多いため、ものづくりの現場を直接的に体験できるのが魅力です。
コツコツと作業するのが得意
建設事務の業務では、さまざまな書類を取り扱う必要があり、工事の規模が大きくなれば確認作業や関係者の調整なども正確に行う能力が求められます。また、経理業務を担う場合もあるため、数字に強く、細かな作業が得意な人に向いている職種といえます。
仕事を通じてキャリアアップを目指す人
建設事務の魅力の一つは、多様な業務経験を通じて自身のスキルを磨いていける点にあります。簿記やパソコンのスキル、建築や不動産などに関する知識、工事関係者と交渉・調整を行う能力などを身につけられるので、将来のキャリアアップを前向きに考えられる人に適しています。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q: 建設事務にはどんな業務がある?
A:建設事務の種類を大別すると、「総務」「経理」「営業事務」「現場事務」の4つに分けることができます。企業によっては複数のポジションを兼任することも多く、業務範囲は電話やメール対応、顧客対応、帳簿管理、経理、環境整備のように幅広いのが特徴です。
Q:建設事務として働く魅力は?
A:能力に応じて評価されるため、男女ともに活躍の機会を広げやすく、安定したキャリア形成を考えやすいのが魅力です。また、業務の性質上スケジュールを組みやすく、仕事とプライベートのバランスもとりやすいでしょう。
Q:建設事務に求められるスキルは?
A:実務をこなすうえでは、基本的な事務処理能力やパソコン操作スキルが求められます。また、さまざまな相手とやりとりする必要があるため、コミュニケーション能力も必須となるでしょう。そのうえで、建設業特有のルールや会計処理に関する知識が役立つ場面も多くあります。
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