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施工管理に欠かせない工程表の種類と書き方を解説

新築住宅の建設には、一般的に3〜6ヶ月かかるといわれています。着工から完成までスムーズに工事を進めるためには、スケジュールや進捗を管理する工程表の作成が欠かせません。

工程表を作成しようと考えているものの「どのような方法や手順で作成すればよいか分からない」という担当者の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、代表的な工程表の種類や書き方、作成のポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.工程表とは
  2. 2.工程表の種類
    1. 2.1.①バーチャート工程表
    2. 2.2.②ガントチャート工程表
    3. 2.3.③グラフ式工程表
    4. 2.4.④ネットワーク工程表
    5. 2.5.⑤曲線式(出来高累計曲線)工程表
  3. 3.工程表の書き方
    1. 3.1.①施工手順を決める
    2. 3.2.②施工期間を設定する
    3. 3.3.③人員や工事配分を調整する
    4. 3.4.④工程表の種類を決める
    5. 3.5.⑤工程表の作成方法を決める
  4. 4.工程表の書き方のポイント
    1. 4.1.①誰が見ても理解しやすいデザイン
    2. 4.2.②管理・共有方法のルール策定
  5. 5.まとめ

工程表とは

工程表とは、工事のスケジュールと日程ごとの作業内容をまとめた表のことです。作成義務はありませんが、工事の進捗管理やタスク管理を適切に行うためにもあったほうがよいといえます。

工程表を作成することで、「いつ・何の工事を行うか」が可視化されるため、適切な人員配置や資材・機械の調達が可能になります。その結果、工事遅延の防止や業務効率化にもつながります。

また、天候不良や機械の故障などで工事がストップしてしまうケースにおいても、全体のスケジュールを見ながらスピーディな日程・人員調整が可能になります。

▼工程表に記載する主な内容

  • 工事日程
  • 工事内容・詳細な作業内容
  • 各作業の担当者
  • 各作業の進行状況

全体工程表のほかに、細部工程表、月間・週間工程表などの工程ごとに区分して作成することもあります。

▼工程表の作成区分

全体工程表

工事内の主要な工程に区分して、施工順序をまとめた表

細部工程表

工事内の各作業内容とスケジュールをまとめた表

月間・週間工程表

一定の工期を取り出して、施工順序をまとめた表

工程表の種類

工程表にはいくつか種類があるため、目的に応じて使い分けます。ここでは、一般的に使用されている5種類の工程表について紹介します。


①バーチャート工程表

バーチャート工程表とは、縦軸に作業内容、横軸に工事日程を記入した工程表です。

複数の作業内容と作業期間を可視化できるため、直感的に進捗状況を把握しやすく、各作業工程の部分的な修正も行いやすいことが特徴です。

ただし、工事全体作業の相互関係が分かりにくいため、部分的な修正があった場合には、全体の工程に及ぼす影響を把握しにくいという側面があります。

バーチャート工程表は、工事全体の進捗状況や施工の順序を把握したい場合に適しています。


②ガントチャート工程表

ガントチャート工程表は、縦軸に作業内容、横軸に達成率を記入した工程表です。

同時進行している複数の作業において「今どこまで進んでいるか」を直感的に把握しやすいことが特徴です。

ただし、各作業に取り掛かる日時や完了日は記載されていないため、別途スケジュール管理表が必要になります。関係性のある作業を同時進行で進める場合の進捗管理に適しています。


③グラフ式工程表

グラフ式工程表とは、縦軸に進捗率、横軸に日程を記入した工程表です。

グラフ式工程表は、バーチャート工程表とガントチャート工程表の性質を持っており、各作業の進捗状況を直感的に把握できるのが特徴です。

ただし、工種間の相互関係を把握しにくく、部分的な変更があった場合の全体への影響が分かりにくいといった側面もあります。また、バーチャート工程表やガントチャート工程表と比較すると、作成が複雑になりやすいといえます。


④ネットワーク工程表

ネットワーク工程表とは、作業内容や施工の順序を番号・矢印で示した工程表です。

ネットワーク工程表を作成することで、複数の工種が存在する現場において、作業同士の関係性やプロセスを可視化できるようになります。各作業の部分的な変更があった場合にも、全体への工期・作業内容の影響を把握しやすい特徴もあります。

ただし、作成や修正が比較的難しく、作成者・管理者には専門的な知識が求められます。ネットワーク工程表は、複数の工種が存在する工事の総合管理に適しています。


⑤曲線式(出来高累計曲線)工程表

曲線式工程表とは、縦軸に出来高率、横軸に日程を記入した工程表です。バナナ曲線やSカーブなどと呼ばれることもあります。

曲線式工程表では、工事のスケジュールがどれくらい遅れているのかなど、工事全体の進捗状況を把握しやすいのが特徴です。

ただし、各作業に取り掛かる日時や完了日は記載されていないため、工事の順序・必要日数を把握できません。また、バーチャート工程表やガントチャート工程表と比較すると、作成が複雑になりやすいという注意点もあります。

曲線式工程表は、工事全体の進捗状況を把握したい場合に適しています。

工程表の書き方

工程表にはさまざまな種類があり、それぞれ作成方法も異なります。ここからは、工程表を作成するにあたって、共通する手順について解説します。


①施工手順を決める

各工事における作業内容を洗い出して手順を決めることで、作業内容を可視化したうえで、適正な期間設定や人員配置などが行えるようになります。

▼施工手順の設定手順

 1.住宅建築にかかる工事内容をすべて書き出す

 2.工事内容の順序を決める
  例:工事Aが終わったら工事Bに進む

 3.各工事における作業手順を設定する
  例:工事Aにおける作業1・作業2・作業3を決める


②施工期間を設定する

工事内容とその順序を決めたあとは、各工事にかかる施工期間を設定します。

顧客の希望納期だけで設定すると、事故やミスの原因となるため注意が必要です。工事内容とその範囲、人員数などを踏まえて、適正な納期を設定します。

▼施工期間の設定手順

 1.各工事の着手ペース(所要日数)を設定する

 2.各工事の着手ペースを踏まえて、全体の工期を割り出す

 3.必要に応じて納期を調整する

天候不良や従業員の欠員などによって工事の進捗が遅れるケースがあるため、余裕を持って期間を設定することが大切です。


③人員や工事配分を調整する

各工事の作業内容・施工順序・施工期間を設定したあとは、各作業に人員を割り当てていきます。

作業の担当者を工程表で設定しておくことで、従業員の業務内容が可視化され、労働負荷の把握にもつながります。特定の従業員に作業が集中しないように、業務内容や身体的な負荷を考慮して割り振るようにします。

▼人員配置と工事配分を設定する手順

 1.工事の種類ごとに必要な人員数を洗い出す

 2.必要人員数に沿って、従業員を割り振る

 3.工種間の相互関係を踏まえて、資材や機械の使用期間を調整する


④工程表の種類を決める

工事内容や目的に応じて工程表の種類を決めます。

工事内容や用途によって適している工程表は異なります。各工程表が適している用途は以下のとおりです。

▼各工程表に適した用途

バーチャート工程表

各工事の進捗状況を全体で把握したいとき

ガントチャート工程表

同時進行する各作業の進捗状況を把握したいとき

グラフ式工程表

1つの作業の日数や進捗状況を把握したいとき


⑤工程表の作成方法を決める

④で工程表の種類を決めたあとは、具体的にどのような方法で作成するかを決めます。工程表は、Excelや専用ツールを用いて作成が可能です。

▼工程表の作成方法

  • Excelやスプレッドシートで工程表を自作する
  • 工程表のテンプレートをダウンロードして作成する
  • 工程表作成の専用ツールやクラウドシステムを利用して作成する など

Excelやスプレッドシートで自作する場合、工事内容や社内体制など実態に沿った形で工程表が作成できます。ただし、表作成や関数などの知識が必要になる点には注意が必要です。

工程表作成ツールやクラウドシステムを活用すれば、事前に情報を登録して、現場体制・工事内容に合わせた工程表を作成することが可能です。作成や修正作業なども直感的に行えるため、自作に自信がない方にも適しているといえます。

工程表の書き方のポイント

工程表を書く際は、現場で活用できるように、見やすさや管理のしやすさなどを考慮します。ここでは、工程表を書く際の2つのポイントを紹介します。


①誰が見ても理解しやすいデザイン

工程表は、管理者・現場作業員・施主といったさまざまな人が利用します。そのため、誰が見ても理解できるような工程表を作成することが重要です。

専門用語が記載されていたり、色分けがなく見づらかったりすると、「いつ・誰が・何の作業を行うか」といった情報を把握しにくくなります。

一般的な用語を使ったり、表・グラフの色分けをしたりして、視認性の高い工程表をつくることで、ひと目で情報を把握しやすくなるだけでなく、確認ミスの防止にもつながります。


②管理・共有方法のルール策定

工程表を作成する際は、どのように共有・管理していくか、ルールを策定しておくことも大切です。

工程表を紙面あるいは掲示板への張り紙などで共有する場合、確認漏れや紛失が起きた際に、すぐに情報を確認できません。紛失リスクを減らして、いつ・どこからでも確認できるように、作成した工程表をデータとして共有するのがポイントです。

クラウド型のツール・アプリを利用すれば、スマートフォンやタブレットから、工程表の進捗・修正内容をリアルタイムで確認できるようになります。確認漏れを防ぐとともに、進捗確認やスケジュール修正のたびに各現場・作業員に連絡を入れる労力を削減できます。

そのほか、工程表の情報を誤って消去・入力してしまうリスクを減らすために、修正が必要になったときの対応や編集権限の有無など、工程表の取扱いについても社内ルールを決めておくのがポイントです。

まとめ

この記事では、施工管理に欠かせない工程表について、以下の項目で解説しました。

  • 工程表とは
  • 工程表の種類
  • 工程表の書き方とポイント

工務店・ビルダーにおいて、スムーズかつ円滑に工事を進めるためには、工程表の作成が欠かせません。

工程表で、各工事の作業内容や進捗状況を可視化できれば、現場の状況に応じた適切な人員配置、資材・機械の調達が可能になります。

また、工事内容や目的に応じて種類の異なる工程表を使い分けることがポイントです。

工事の遅延によるトラブルを防ぎつつ、効率的に施工を進めるために、工程表を活用してみてはいかがでしょうか。

以下のページでは、工務店・ビルダーの建築・施工管理に関するお役立ちコラムを紹介しています。ぜひこちらもご一読ください。

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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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