AI戦略で効率化? パーソナル営業の重要性と住宅業界における活用例
住宅に対するニーズは、顧客それぞれで大きく異なります。他の有形商材と比べても、住宅は高価で利用期間が長く、多くの方にとって「一生に一度」の買い物になるのが特徴です。
そのため、大勢をターゲットにしたマスマーケティングだけでなく、個別の事情に応じてアプローチをする「One to Oneマーケティング」(パーソナル営業)を進めていくことも大切です。今回は、住宅業界におけるパーソナル営業の重要性と、実践のための取組みとして、AIの活用をテーマに解説します。
目次[非表示]
- 1.AI活用が住宅業界でも広がっている
- 1.1.一人ひとりのニーズに応えるパーソナル営業の重要性
- 1.2.パーソナル営業のメリット
- 1.3.住宅業界におけるパーソナル営業の重要性
- 1.4.パーソナル営業におけるAIの価値
- 2.住宅業界のAI活用例
- 2.1.一人ひとりに合ったプランの提案
- 2.2.AIチャットによる問合せ対応
- 2.3.アイデアやコピー案の抽出
- 3.AIを上手に活用して営業効率を高めよう
- 4.この記事を監修した人
- 4.1.三輪 歩己
AI活用が住宅業界でも広がっている
2022年にChatGPTが公開されて以来、AI活用の可能性には世界的な注目が集まっています。ビジネスの分野においても、実際に業務遂行やサービスの提供に用いられる場面が増えており、それは住宅業界でも例外ではありません。
たとえば、顧客へのメール文面を作成したり、広告文のアイデアを見つけたりするといったさまざまな使い方が試行されています。住宅業界では慢性的な人材不足が続いており、限られた人員でどのようにサービスの質を保てるかが重要な課題となっています。
これらの定型業務にAIを活用してみることで、本来時間をかけるべきコア業務に従業員を専念させられるため、課題を直接的に解決する方法として注目されているのです。
一人ひとりのニーズに応えるパーソナル営業の重要性
パーソナル営業とは、一般的にはOne to Oneマーケティングとも呼ばれており、顧客一人ひとりに合わせて柔軟にアプローチを行うマーケティング手法のことを指します。ここでは、住宅営業におけるパーソナル営業の重要性と課題について見ていきましょう。
パーソナル営業のメリット
パーソナル営業は、従来のマスマーケティングと対比されて用いられることが多いです。従来のマスマーケティングは、大勢の顧客に対して共通のニーズを掘り起こすために行われるのが特徴であり、代表的なものとしてはマスメディアを用いたCMなどが挙げられます。
それに対して、パーソナル営業は顧客それぞれの趣味嗜好に合わせて発信する情報を変え、よりピンポイントなニーズを刺激するのが特徴です。大勢に向けたマーケティングでは、誰もが共通する最大公約数のニーズを割り出して広告を行うのが基本であり、一人ひとりの価値観を具体的に反映させることはありません。
一方、パーソナル営業は顧客が求めている情報をピンポイントで提供できるため、より強い訴求力を持ちます。
住宅業界におけるパーソナル営業の重要性
住宅業界においては、その他の分野と比べても特にパーソナル営業の重要性が高いといえます。なぜなら、住宅に対するニーズは顧客によって大きく異なるためです。
低コストでの住宅購入を実現したい顧客もいれば、快適性や安全性を求める顧客もおり、デザインやステータス性、独自性などを含めると住まいのニーズは千差万別です。また、そもそも住環境のニーズは、社会情勢によって細かく変化していくものでもあります。
そのため、住宅を販売するうえでは、一人ひとりの顧客に合ったアプローチを行い、丁寧にニーズを掘り起こしていくプロセスが重要となるのです。
パーソナル営業におけるAIの価値
さまざまな重要性を持つパーソナル営業ですが、実行するうえでは大きなデメリットもあります。それは、施策を実行するにあたって大きなリソースが必要になるという点です。
顧客に合わせたアプローチを行うためには、それだけ綿密な顧客データが必要となります。年齢や性別、家族構成といった表面的な情報だけでなく、ライフスタイルなどもチェックしておくことが大事です。
こうした膨大なデータの管理や分析が土台となるため、単純な人海戦術ではすぐにリソースの限界を迎えてしまいます。そこで重要となるのが、AIツールの活用です。
AIツールを用いれば、データの分析や管理、顧客の分類といったさまざまなプロセスを省力化でき、顧客の属性に合わせたコンテンツの配信なども行えます。
住宅業界のAI活用例
住宅業界において、AIは具体的にどのような形で役立てられるのでしょうか。ここでは代表的な活用方法をご紹介します。
一人ひとりに合ったプランの提案
AIはデータの利活用を得意としているため、顧客データを細かく分析しながら一人ひとりに合ったプランの提案をしてもらうことが可能です。AIによって打ち出されたプラン内容を踏まえて加筆・修正を行うことで、顧客にも提案できる資料を簡単に作成できます。
また、住宅営業での活用を目的としたAIツールも開発されており、さまざまな場面での活躍が期待されています。たとえば、土地探しから注文住宅のプランを考えている顧客に対して、AIによる追客支援アドバイス機能を搭載したツールなども開発されています。
これは、住宅営業において担当者が「土地の契約」までをカバーしきれない場合に、独自に収集したデータベースから条件に合わせた土地を見つけて顧客に提案してくれるというサービスです。現時点では特定のエリアのみの限定的なサービスとなっていますが、今後のエリア拡大に伴ってさまざまな場面での活用が期待されています。
AIチャットによる問合せ対応
チャットボットによる自動問合せ機能は、ChatGPTが公表される前からすでに幅広いビジネスシーンで用いられてきました。しかし、チャットボットでは事前に設定されたシナリオに基づいて回答を行うことしかできないため、用途はある程度限定されていました。
それに対して、ChatGPTは幅広い質問や悩み相談といった高度なやりとりにも応じることができます。また、高い学習能力も備えているため、顧客とのコミュニケーションからデータを蓄積し、どんどん最適化されていくのも特徴です。
そのため、従来のチャットボットとは比較にならないほど柔軟で自然な問合せ対応を実現できます。
アイデアやコピー案の抽出
アイデアやコピー案などを考案するのも、ChatGPTの代表的な活用方法です。新たなサービスを展開したり、広告を打ち出したりする際には、キャッチコピーやタイトルの考案に時間がかかってしまうものです。
ChatGPTなどの生成AIツールを用いれば、膨大なパターンから具体案を作成するため、アイデアを蓄積するのに役立ちます。
AIを上手に活用して営業効率を高めよう
AIは対面営業に代わるものではありませんが、活用の仕方次第で定型業務を大幅に省力化できます。たとえば、マーケティングの初期段階にあたる顧客に対してはAIによるアプローチを行い、確度の高い見込み客との商談に人的リソースを注力するといった戦略が立てられます。
顧客データからそれぞれの購買意欲に合わせた分類を行ってもらうことで、施策の段階分けも簡単に行えるでしょう。また、広告を打ち出す際にも、「どの時間帯が効果的か」「どの顧客層がもっともアクションを期待できるか」などのデータを分析することで、効率的に実行できるようになります。
このように、AIを上手に活用すれば、少人数であってもサービスの質を落とすことなく業務の効率化を実現できるのです。まずは自社の営業プロセスを丁寧に見直し、AIによって省力化できるポイントを洗い出してみるといいでしょう。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:住宅業界におけるパーソナル営業の重要性とは?
A:住宅販売は、顧客の価値観が多様であり、社会情勢によってニーズが移り変わるのが大きな特徴です。それだけに、大勢に向けたマーケティングとともに、顧客のニーズにピッタリと寄り添ったアプローチを行い、丁寧に成約まで導く必要があります。
Q:住宅営業におけるAIの活用例は?
A:代表的なものとしては、「一人ひとりに合わせたプランの提案」「高度な問合せ対応」「キャッチコピーなどのアイデア出し」が挙げられます。さらに、近年では住宅営業での活用を目的としたAIツールも開発されており、さらなる技術の発展が期待されています。
この記事を監修した人
三輪 歩己
不動産鑑定士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、 相続診断士、J-REC公認不動産コンサルタント
名古屋市立大学薬学部卒。 大学在学中に不動産鑑定士2次試験合格。日本土地建物株式会社にて、 不動産鑑定や不動産証券化業務に従事。その後外資系不動産ファンド等にて 物件購入・管理・経営企画等業務に従事。約20年間の鑑定・宅地建物取引業の 経験を活かし、2020年に不動産パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。 同社では、不動産鑑定業・宅地建物取引業に加え、不動産専門の相続診断士として 活動を行う。
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