【工務店向け】取引で重要な顧客管理システム(CRM)の基本と選び方のポイント
工務店の業務プロセスでは、設計や施工、材料の手配といった現場の管理だけでなく、事務手続きも重要な役割を果たします。なかでも顧客管理は、受注生産型が基本の工務店において大きな負担がかかる業務です。
今回は工務店における顧客管理の重要性について解説したうえで、業務の効率化につながる「顧客管理システム」の仕組みと選び方をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.工務店における顧客管理の重要性とは?
- 1.1.管理すべきデータが多い
- 1.2.企業同士の連携が欠かせない
- 1.3.新規顧客の獲得にもつながる
- 2.顧客管理システム(CRM)のメリット
- 2.1.顧客データを一元管理できる
- 2.2.営業活動の見える化が行える
- 2.3.情報の入力と共有がスムーズに行える
- 2.4.顧客に合わせた柔軟な対応が実現できる
- 3.顧客管理システム(CRM)のデメリット
- 4.顧客管理システム(CRM)を選ぶポイント
- 4.1.自社にとって必要な機能が搭載されているか
- 4.2.シンプルで扱いやすい操作性か
- 4.3.建築業界に適した設計になっているか
- 4.4.適正な導入費用か
工務店における顧客管理の重要性とは?
顧客管理とは、自社の顧客にまつわる情報を取り扱い、適切な形で管理することです。工務店において、滞りなく全体の運営管理を行うためには、顧客管理が大きな重要性を持ちます。
ここではまず、顧客管理の重要性について解説します。
管理すべきデータが多い
工務店で顧客管理が重要とされる理由の一つは、「顧客データが多く複雑」という点です。大規模な宅地開発を除けば、基本的に住宅の建築は一件ずつ受注生産で行われます。
案件ごとに金額や規模、受注内容、工期などが異なるため、顧客一人当たりのデータも膨大になりやすいのが工務店の特徴です。正確に施工を進めるためには、施主とのやりとりや取り決めた内容などを適切に管理し、いつでも取り出せるようにしておく必要があります。
企業同士の連携が欠かせない
住宅の建築は、工務店単独だけでなく解体会社や設備会社といったさまざまな企業が関わるケースが多くあります。ほかの会社とスムーズに連携を図るためには、社内できちんと顧客データを管理し、正確かつ分かりやすい形で共有しておくことも大切です。
新規顧客の獲得にもつながる
過去の取引内容や売り上げに関するデータを蓄積していくことも、顧客管理の重要な側面です。過去の顧客データを分析すれば、これまでに実行したマーケティング施策の有効性や、成功・失敗の要因を的確に把握できます。
得られた分析結果を今後のマーケティング活動に用いることで、より効率的な新規顧客の獲得にもつながります。
顧客管理システム(CRM)のメリット
顧客管理を効率的に行うには、「顧客管理システム(CRM)」を導入するのが近道です。顧客管理システムとは、顧客情報を集約して管理するためのツールであり、クラウド型とオンプレミス型があります。
また、単にデータを管理するだけでなく、顧客管理に用いるための分析や施策の立案なども行ってくれるツールも多いです。ここでは、顧客管理システムを導入するメリットについて見ていきましょう。
顧客データを一元管理できる
顧客管理システムの大きなメリットは、膨大な顧客データを一元管理できる点にあります。顧客に関する情報を単一のツール内にまとめ、分かりやすく整理することで、「正確な情報管理」と「スムーズな情報共有」が簡単に実現できます。
営業活動の見える化が行える
顧客管理システムでは、営業活動の細かなデータも管理できます。たとえば「特定の顧客がどの営業段階にいるのか」「どの担当者がこれまでどのようにアプローチをかけたのか」といった情報は、ツールを見れば一目瞭然です。
さらに、過去の営業データを振り返れば、「若い顧客に効果のあった施策は何か」「失注してしまった顧客の共通点は何か」といった詳細な分析も簡単に行えます。
情報の入力と共有がスムーズに行える
顧客管理システムは、専用のソフトウェアを用いればどこからでもアクセスすることができます。客先や取引先、移動中でもデータの入力が行えるため、リアルタイムで顧客情報を管理できるのが強みです。
また、指定した全員が内部の情報にアクセスできるため、営業部門だけでなくカスタマーサポートやマーケティングの担当者ともスムーズにデータ共有が行えます。たとえば、顧客から問合せがあったタイミングで、実際に担当したメンバーが不在であっても、顧客管理システムを参照すれば問題なく対応できます。
さらに、営業データを基にマーケティング施策をブラッシュアップしたり、商品・サービスの開発に生かしたりと、さまざまな活用方法があるのも利点です。
顧客に合わせた柔軟な対応が実現できる
顧客データを細かく管理しておけば、一人ひとりに合わせた柔軟な対応が行えるようになります。たとえば、顧客のニーズに合わせて類似した過去の施工事例を紹介したり、陥りやすい課題を想定して準備したりすることが可能です。
顧客管理システム(CRM)のデメリット
顧客管理システムを使いこなすためには、導入にあたって社内の共通理解を得ておく必要があります。各部門が入力・管理を問題なく行えることが前提となるため、必要に応じて研修を実施することも重要になるでしょう。
また、ツールそのものは膨大なデータを扱うことができますが、必要のない情報まで入力すると、現場の従業員に大きな負荷がかかってしまいます。管理すべきデータ項目は事前にきちんと精査し、過度な負担にならないように配慮することが大切です。
顧客管理システム(CRM)を選ぶポイント
顧客管理システムにはさまざまなツールがあるので、自社の実情に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、具体的なツールを選ぶ際に意識したいポイントをご紹介します。
自社にとって必要な機能が搭載されているか
まずは、自社の顧客管理業務において必要な機能がそろっているかどうかを確認しましょう。ツールの機能には進捗管理や請求書などの書類作成といったさまざまなものがあるので、簡単に各機能の用途を調べておくといいでしょう。
また、顧客管理システムのなかには、営業管理や会計管理といった他部門に関する機能が搭載されているものもあります。基本的には機能が多いほど利用料も高額になるため、自社にとって必要な機能を見極め、必要最低限のものを備えたツールを選ぶのがおすすめです。
シンプルで扱いやすい操作性か
顧客管理システムを実際に扱うのは現場の従業員であるため、ツールには「誰でも使いこなせるシンプルな操作性」が求められます。機能が多くなりすぎると、操作も複雑になりやすいため、できるだけ必要十分なものを見極めるようにしましょう。
また、運用に不安がある場合は、ベンダーによるサポートが充実しているかどうかも確認しておくと安心です。
建築業界に適した設計になっているか
ツールを見極めるうえでは、建築業界での導入に適しているかどうかも重要な観点となります。工務店では「見積もり管理」や「施工管理」といった特有の業務も存在するため、これらの機能が搭載された建築業界向けのものを選ぶほうが使い勝手はよいといえます。
たとえば連携会社と工程表を共有できる機能や、物件の写真・施工に関する書類一式をファイル形式で整理できるシステムなどがあれば、普段の業務で存分に活躍してくれるでしょう。
適正な導入費用か
顧客管理システムには、無料で使えるものも多くあります。無料版はコストをかけずに導入できるのがメリットである半面、機能の一部が制限されたり、サポートが不十分なケースが多いです。
一方、有料版では機能性が充実しており、サポート体制も十分である場合が多いので、企業としては安心感があります。どちらかよいかは各社の事情によっても異なるので、まずは無料版やお試し期間などを活用して小規模な試運転を行い、使い勝手を確かめてみるのもいいでしょう。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:工務店で顧客管理システムを導入するメリットは?
A:顧客データを一元管理することで、社内や関連会社との情報共有がスムーズに行え、業務効率が大幅に向上します。また、過去のデータを分析して、新たな集客戦略の立案に生かすことも可能です。
Q:工務店に適した顧客管理システムの選び方は?
A:工務店特有の業務をこなすためにも、基本的には建築業界での利用が想定されたツールを選ぶのが近道です。そのうえで、現場の従業員が扱いやすいように操作性がシンプルで、過不足なく機能が搭載されているものを選ぶといいでしょう。
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