住宅営業ノウハウ

暮らしを触発する手法で住まいづくりを「消費」から「人生の投資」へ

中級以上の住宅の購入層(以降、中級層以上)を受注する「気づき共感営業」手法は、お客様が「新しい暮らしで実現したいコト」に気づいていただくという視点が、重要であるということは既に、前々回のコラムでご紹介しました。
 ≫ 中級以上の住宅の購入層を受注する「気づき共感営業」という手法

また、その手法を段階的に身に着けて行くことで、新人も戦力化しながら育成することもできることを、前回のコラムでお伝えしました。
 ≫ 新人が早期に結果を出せて戦力化できる営業手法

営業人材の育成について大切なことは「営業スキル」というテクニックの修得ではなく「考え方」を理解していただき応用実践していただくことです。

「中級層以上の客層を受注」するポイントは住宅という「耐久消費財」の購入ではなく、「心豊かなで幸せな暮らしを手に入れていただく」という「人生への投資」視点へ切り替えていただくことにあります。先ず「人生への投資対効果」についてお客様に具体的に考えていただく必要があります。

目次[非表示]

  1. 1.「人生という有限の時間の質を上げる」ことへの投資
  2. 2.若い世代のお客様こそ「時間の質を上げる」投資は魅力的
  3. 3.「スキル研修」から「考え方研修」という人材育成がポイント
  4. 4.個々のお客様の「プライスレス」な「魅力的な付加価値」を共有化
  5. 5.まとめ

「人生という有限の時間の質を上げる」ことへの投資

ダラダラ生きても、イキイキ生きても同じ人生です。長くても100年程度です。

分かっているようでわかっていないのがお客様の「持ち時間」です。65才で定年退職を迎えられてこれを機に住宅を建替えようとされているお客様の多くは、「もう老い先短いし、夫婦だけだから24~25坪の平屋で、出来るだけコストは抑えたい」とおっしゃるお客様が多いのに驚かされます。

このお客様の「持ち時間」をお客様が理解できる内容でお示しすると「人生への投資」というチャネルに気づき、拓くことができます。

まず、社会人になられてから定年まで働いて来られた「実労働総時間」、それと比較するこれから先の「総自由時間」を算出してみましょう。

  • 実労働総時間:43年間(22~65才)×250日×9.5時間=102,125時間
    (通勤・休憩除く・残業込みの実労働時間)
  • 総自由時間 :20年間(65~85才)×365日×14時間=102,200時間
    (睡眠・家事・食事・入浴等除く正味の自由時間)

「実労働総時間」102,125時間≒102,200時間「総自由時間」つまり、新入社員から定年までの「43年間働いた時間」と「これから先の暮らしの中での自由時間」は驚くことにほぼ同じだけの時間ということです。

「もう老い先短いし、夫婦だけだから24~25坪の平屋で、出来るだけコストは抑えたい」ではあまりにも、もったいない時間の使い方です。

この「持ち時間の長さ」を個々のお客様にあてはめて具体的に計算し、お客様がその時間の長さを実感していただくために比較しやすい定年までの「実労働総時間」をお示しするという「触発」を実行します。「色々なことが出来そうだ」という初期の「気づき」を得て、「耐久消費財の購入」から「時間への投資」という視点への切り替えが可能になります。

若い世代のお客様こそ「時間の質を上げる」投資は魅力的

30才で住まいづくりをされる若いお客様を考えてみましょう。

新婚時代、お子様が幼い時期、お子様が思春期を迎える時期、お子様が独立される時期、お子様がご結婚されお孫さんが生まれ・・・・と人生の節目があり、そのステージごとの暮らしがあります。

お子様が生まれたばかりの若いお客様にその赤ちゃんが、やがて思春期を迎えて親に反発して顔も合わせなくなるということは想像しにくいと思います。営業自身の思春期の親との関係を自己開示します。

また、お客様の思春期時代のご両親様との関係も思い出していただくという「触発」で、今はお父様になついて、かわいいお嬢様がご主人を「避けるようになることもあるのかな」ということに気づいていただければこの思春期の時期でもお嬢様との何らかの楽しい時間を生み出すことができるなら「投資」も「あり」ということになるでしょう。

例えばリビングに吹き抜けを設けてLDKから2階の気配を感じられるようにします。「会話によるコミュニケーションが減少する思春期」に「気配を感じるコミュニケーションの仕掛け」を作っておき、さらにリビング階段で「表情を読み取るコミュニケーション」の仕掛けを作っておきましょう。

中学、高校という6年間を思春期と考え、その後のやや落ち着いた大学生時代を見通してみると

「(6年間〈思春期〉+4年間〈大学生〉)×365日×2回〈朝夕〉×(お嬢様の表情〈笑顔〉/元気な姿)=7300回」

となり仮に吹抜オープン階段で+300万円予算が追加されたとしても、「娘の笑顔」と「何らかのコミュニケーションのきっかけづくり」と併せて「411円/回の娘との接触」は「投資」甲斐があるのではないでしょうか。「魅力的な付加価値」は個々のお客様にとってまちまちです。多様性があるからこそ「触発」をし、お客様に「気づき」を得ていただくことが必要です。

「スキル研修」から「考え方研修」という人材育成がポイント

マニュアル人間を作ることは簡単ですが「考える」人材を創ることはむずかしいとされています。

まず、各場面で「場面目的」で考えて行動すると「考える人財」を育成できます。先ほどの「もう老い先短いし、夫婦だけだから24~25坪の平屋で、出来るだけコストは抑えたい」というお客様との「初回面談の場面」では「心豊かな時間、幸せな時間」という「時間の質への投資」がいかに大切かということに気づいていただくためにはどうすればよいのかと「考える」必要があります。

様々に存在する個々の「場面目的」を貫く「営業活動の本質」は、「お客様を幸せにすることが住宅営業」ということを「本質とする活動の機軸」で考えることがベースです。

こうした考え方ができるようになるための人材育成のプラットフォームが注文住宅営業セオリーとしての「触発」を含む「気づき共感営業」です。気づき共感営業の基本研修を実施して導入後に実戦の中で「考える人財」を育てます。

新人育成のための簡易版の「いい暮らし実現営業」、一般営業への「気づき共感営業」の導入、実戦で「考える」ことができる「人財育成」という一貫した考え方で営業戦力を整備します。注文住宅営業セオリーと人財でお客様に住まいづくりを「消費」から「人生への投資」へと視点を切り替えていただき「中級層以上の住宅」市場の攻略を実現しましょう。

個々のお客様の「プライスレス」な「魅力的な付加価値」を共有化

お客様ご本人も気づいていないお客様の「プライスレス」な「魅力的な付加価値」を共有化するために「気づき共感営業」を「触発」段階から取り入れます。

従って初回面談のモデル住宅のご案内は「お客様ご夫婦のそれぞれがご関心のある部位、コトからご案内」を開始して「触発」し、少しずつ「気づき」を拡げて行きます。「これいいね」から始まって、「実現したい」へ進むことは初回面談の1時間程度の時間で十分に可能です。

まとめ

現状の日本の消費性向は「縮み志向」です。無駄なことにお金は使いたくない、節約志向です。

この「縮み志向」の考えを軽々と超えるには、お客様ご本人も気づいていないお客様の「プライスレス」な「魅力的な付加価値」を共有化する必要があります。住宅という性能の良いハコを買うのではなく心豊かに幸せな人生を送る器づくりですから。その答えはお客様の中にあります。お客様自らが気づいていただくことがポイントです。

次回のコラムでは「魅力的な付加価値」に通じる「実現したいコト」の答えはお客様の中にあるわけですから、これを引き出す接客技術について考えてみたいと思います。


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株式会社ハウジングラボ 松尾俊朗
株式会社ハウジングラボ 松尾俊朗
松下電工勤務で木造軸組改良工法(木と鉄の混構造/テクノストラクチャー工法)をはじめ様々な注文住宅事業形成手法を開発。ハウジングラボ設立後、様々な形態の161社の注文住宅事業サポートを実施。幅広い視点で各社の強みを活かした各社独自の注文住宅事業へナビゲート。

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