成約率をアップさせる画期的な営業トークスクリプト術
トークスクリプトとは、顧客の課題をあらかじめ想定し、それらの対する解決方法を事前にトークとして用意しておくことです。
たとえば、顧客が「広い家に住みたい」「駅近くにある物件に住みたい」といった希望を持っている場合、駅から徒歩5分の物件紹介するトークや相場価格より広い家も紹介できるといった台本を用意します。
工務店・ビルダーの注文営業や建売営業を行ううえでトークスクリプトの作成はとても重要です。とくに、若者の人材不足に悩む建築業界において、工務店・ビルダーが受注していくためには、限られたリソースで営業力を底上げする必要があります。
この記事では、住宅営業を効果的に実施するために活用できるトークスクリプトについて、その目的や流れを紹介します。
目次[非表示]
- 1.営業でトークスクリプトを作成する目的
- 2.トークスクリプトの基本の流れ
- 2.1.1.挨拶
- 2.2.2.ニーズや課題のヒアリング
- 2.3.3.商材紹介・提案
- 2.4.4.クロージング・アポイント
- 3.工務店の成約率をさらに高める具体的なトークスクリプト術
- 3.1.1.はじめの挨拶
- 3.2.2.ヒアリング
- 3.2.1.現状の課題
- 3.2.2.自社への印象や疑問点
- 3.2.3.予算やスケジュール、意思決定
- 3.3.3.商材の紹介・提案
- 3.4.4.クロージング・アポイント
- 4.トークスクリプトのブラッシュアップ方法
- 4.1.顧客ニーズの仮説を立てる
- 4.2.売り込みポイントを整理
- 4.3.定期的に台本を見直す
- 5.まとめ
営業でトークスクリプトを作成する目的
工務店やビルダーの営業活動では、個々のスキルやノウハウにばらつきが生じやすいという課題があります。
一人ひとりの経験や勘に頼った営業トークでは、組織のアポイント獲得率や応対品質にも差が出てしまう可能性があります。こうした問題を事前に防ぎ、トークの内容や品質を平準化するためにトークスクリプトの作成が有効です。
トークスクリプト目的例
- 応対品質を社内で平準化
- アポイント獲得率を向上
- ノウハウやスキルを共有
- 顧客対応の効率化
トークスクリプトの活用によって個々の対応のばらつきをなくせるため、応対品質の維持や顧客満足度の向上にも役立ちます。また、顧客との面談時に新しい課題がピックアップされた際にもトークスクリプトを用意しておくことで素早い顧客対応が可能です。
トークスクリプトの基本の流れ
実際にトークスクリプトを作成する前に、基本の流れを押さえておきましょう。基本的には、4つのフェーズでトークスクリプトは進みます。
トークスクリプトの流れ例
- 挨拶
- ニーズや課題のヒアリング
- 商材紹介・提案
- クロージング・アポイント
1.挨拶
はじめに問合せのあった顧客に対して挨拶を行い、企業名と名前を紹介、簡単な自己紹介を行います。
2.ニーズや課題のヒアリング
その後、ヒアリングによって見込み客の課題やニーズを汲み取ります。自社の商材を最大限に紹介するためにもヒアリングに注力しましょう。
3.商材紹介・提案
ヒアリングのあとは商材の提案に進みます。自社の魅力やメリット、競合他社と差別化できるポイントなどを訴求しつつ、ニーズに合った商材を提案します。
4.クロージング・アポイント
顧客の反応を受け止めつつ、最後はクロージングで商談の日にちを持ちかけます。顧客の興味や関心が冷めないうちにアポを取りつけられるよう主導権を握ることが大切です。
工務店の成約率をさらに高める具体的なトークスクリプト術
ここでは注文営業や建売営業で活用できる具体的なトークスクリプトを流れに合わせて紹介します。トークの際に意識したほうがよいこと、避けたほうがよいことなど、成約につなげるためのポイントを押さえましょう。
1.はじめの挨拶
顧客への挨拶は、分かりやすくコンパクトにまとめるのがポイントです。
挨拶例
- 「はじめまして、注文住宅サービスを提供しております、〇〇工務店の△△と申します」
- 「住宅の設備コストを削減できる(メリットを伝える)、〇〇サービスについてのご案内です」
冒頭の挨拶では「シンプルに」「顧客に伝わりやすい」言葉でスタートします。
たとえば、「ただいまお時間よろしいでしょうか。」「お忙しくなければ…」などを入れると、断られてしまう可能性があるため「失礼します」と柔らかい言葉を添えた後、要件を分かりやすく伝えることを意識しましょう。
初回接客は、第一印象を決める重要な機会です。こちらも併せて参考にしてみてください。
>>参考記事『住宅営業は初回接客が肝心! 選ばれる営業担当になるための3つのコツ』
2.ヒアリング
挨拶を行ったら、次は顧客へのヒアリングです。顧客の話を無視して一方的に商材を売り込むのではなく、顧客の悩みやニーズを引き出す質問を心がけましょう。
現状の課題
顧客が自らの悩みや課題に気づくような質問を投げかけてヒアリングを行います。
課題を問いかける例
- 「現在のお住まいについて困っていることはありませんか」
- 「将来的にお住まいを購入したいと考えておられますか」
話しやすい雰囲気を演出するために、雑談を交えながらヒアリングを進めることがポイントです。
自社への印象や疑問点
課題の確認と同時に、顧客が抱く自社イメージや疑問点なども確認しておけば、その後の提案の際に役立ちます。
印象や疑問に関するヒアリング例
- 「住宅のことや予算のことなどで、何か気になることはございませんか」
- 「住宅会社のなかで、自社を選んでいただいたきっかけを教えてください」
他社との検討状況を聞いておくことで、差別化できるポイントを見いだしやすくする目的もあります。
予算やスケジュール、意思決定
具体的な提案に入る前に、住宅に関する予算やスケジュール、意思決定の人物について確認しておきましょう。
予算やスケジュールの確認例
- 「ご予算は○○円くらいで検討されていますでしょうか」
- 「もしご契約いただけるとなった場合、いつ頃(○月)までの入居をお考えでしょうか」
予算やスケジュールは商材を提案するうえで重要な情報です。ヒアリング時点で顧客が考えている情報をピックアップします。
ヒアリングシートの作り方はこちらも参考にしてみてください。
>>参考記事『顧客のニーズを引き出すヒアリングシートの作り方』
3.商材の紹介・提案
ヒアリングで引き出した顧客のニーズや課題を踏まえて、解決策を提案します。自社の魅力や住宅のこだわりなどをアピールしましょう。
商品の特徴
商品の魅力を伝える際は、分かりやすく、顧客の興味を引くような工夫が必要です。
自社商品の特徴を紹介する例
- 「弊社では○○をコンセプトとした住宅を提案しています」
- 「木材にこだわった設計で、自然の温かみを感じられる住まいが特徴です(自社の特徴)」
できる限り、具体的に説明することを心がけます。スライドや動画を用いて説明することで、顧客に具体的なイメージを付与できます。
メリットの訴求
自社を選ぶことでどのようなメリットがあるのか、競合他社と差別化できるポイントを訴求します。
メリットの訴求例
- 「○○万円台で○○な住まいを実現できます」
- 「競合他社では見られない○○(素材や設備など)を使った住宅づくりをしています」
- 「○○のサポート付きで、住み始めてからも安心です」
金額や契約、パフォーマンス面でのメリットを伝えます。
提案の裏付け
自社のメリットや独自性をアピールした後は、それらの裏付けとなる説明が必要です。信憑性のあるデータや数値に基づいて分かりやすく伝えましょう。
根拠例
- 「弊社では○○を利用しており、省エネルギー住宅として認められています」
- 「○○システムの導入により、自然エネルギーを活用することで冷暖房を節約できます」
- 「安全性の高い住宅として、○○の認定を受けています」
具体的な機能や仕組みに触れつつ、裏付けとなる根拠を説明します。
4.クロージング・アポイント
クロージングのポイントは、こちらから「○○ですよね?」などと意見を押しつけるのではなく、顧客から言葉を引き出すことです。
クロージング例
- 「紹介したプランのなかで、どのプランがイメージに近いですか」
- 「もしご契約いただける場合、いつまでと考えていますか」
このように、プランや予算、時期などを具体的に聞き出すことで検討度合いを判断しやすくなります。押し売り感を前面に出さないよう、顧客に判断を仰ぐようなクロージングを意識しましょう。
商談の日程決め
クロージングでは商談もしくは初回面談等のアポイントの機会も伺います。日程は顧客に検討させるのではなく、こちらからいくつか候補を出しましょう。
日程の提示例
- 「○日か△日でしたら、どちらがよろしいでしょうか」
- 「明日の○時からはいかがでしょうか」
担当者から日程の候補をはっきりと伝えます。こちらから選択肢を与えることで、よりアポイントを獲得しやすくなります。
切り返しトーク
クロージングでは、顧客から「また考えます」などと断られるケースもあります。それに対して「はい、分かりました」と諦めるのではなく、切り返しトークを展開しましょう。
切り返しのトーク例
- 「そうですよね、すぐには決められないかと思います」
- 「弊社では○○というプランもございまして、こちらならご希望に沿えるかと思います」
このとき、顧客の声を遮って否定したり、意見に耳を傾けない態度になったりしないよう、さまざまな注意が必要です。
トークスクリプトのブラッシュアップ方法
トークスクリプトは、「一度作ったら終わり」ではありません。繰り返し仮説を立て、ブラッシュアップすることでよりクオリティの高い台本が出来上がります。
顧客ニーズの仮説を立てる
ターゲットとなる顧客が何に興味を持っているか、もしくはどのような反応が返ってくるかなどについて仮説を立てることが重要です。
自社のターゲットとなる人物像を設定して、効果的な提案内容や切り返しトークを考えましょう。
売り込みポイントを整理
自社の魅力や売り込みたい商材の特徴や独自性などを洗い出し、アプローチ内容を整理しましょう。
売り込みのポイントをより分かりやすく説明するためには、自社にしかない強みを分析することが重要です。売り込みポイントを事前に整理し把握しておくことで、顧客から質問を投げかけられた際の切り返しトークもスムーズに行えます。
定期的に台本を見直す
効果検証と改善を繰り返し、常にベストな状態にして用意しておくのが理想です。
たとえば、「トークの流れがそれる」「序盤で断られることが多い」という場合には、トークスクリプトの見直しが必要です。どのようなトークが成果につながったのか、現場のパターンを蓄積してブラッシュアップしていくことで、より品質の高いトークスクリプトが完成します。
まとめ
トークスクリプトは、営業スキルの平準化や応対品質の向上に役立ちます。事前準備として、自社商材のセールスポイントを洗い出し、顧客のニーズや商談の流れの仮説を立てておくことも重要です。
作成したスクリプトで効果が得られた場合はトークを分析してブラッシュアップすれば、さらにクオリティが向上し、成約数のアップにつながります。営業スキルの底上げを目指す企業は、トークスクリプトの作成・活用を検討してみてはいかがでしょうか。