住宅営業ノウハウ

不動産の現地調査で確認する5つのポイント

工務店・ビルダーでは、土地開発や住宅の建築・リフォームを行う前に、不動産の現地調査を実施します。現地調査には、登記簿や地図などの書面では分からない土地・建物・周辺環境について、実際に目で見て状況を確認する目的があります。

施主や周辺住民とのトラブルを回避して、スムーズに住宅設計・建築を行うためにも、適切に現地調査を実施することが重要です。

本記事では、不動産の現地調査が必要な理由や現地調査で確認するポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.不動産の現地調査が必要な理由
  2. 2.現地調査で確認する5つのポイント
    1. 2.1.①境界・越境物
    2. 2.2.②地勢
    3. 2.3.③前面道路
    4. 2.4.④インフラ設備
    5. 2.5.⑤周辺環境
  3. 3.まとめ

不動産の現地調査が必要な理由

不動産の現地調査は、登記簿や地図、インターネットでは把握できない情報を確認するために必要です。

住宅建築では、土地の境界や地勢、インフラ状況などによって、住宅設計に制約が生じたり、追加の工事費用が発生したりすることがあります。

また、現地調査を適切に行わず、施工途中や完成後、引き渡し後に何らかの問題が発覚した場合には、施主とのトラブルに発展するリスクがあります。

このようなトラブルを防ぐために、工務店・ビルダーが土地の売買や住宅建築、リフォームなどを行う際は、現地調査を実施することが重要です。事前に土地や道路の状態、周辺の嫌悪施設(※)の有無を確認して告知することで、施主とのトラブル防止につながります。

なお、現地調査は、役所調査や登記簿で取得した情報に誤りがないか確認する目的もあります。

役所調査については、こちらの記事をご確認ください。

 ≫ 【役所調査】調査の重要性と実施時の注意点

※嫌悪施設とは、廃棄物処理場や、火葬場、騒音・悪臭・大気汚染を引き起こす公害発生施設など、その存在が周囲の人から嫌悪される施設のこと。

現地調査で確認する5つのポイント

不動産の現地調査では、土地・建物・道路・周辺環境について確認します。

新たに住宅を建てる場合や、既存住宅のリフォームを行う場合など、目的によって確認ポイントが異なるため、事前に項目を洗い出しておくことが重要です。

ここでは、現地調査で確認する5つのポイントについて解説します。


①境界・越境物

住宅を建てる土地の面積や敷地の範囲を明確にするために、土地の境界と越境物を確認します。

▼境界・越境物の確認ポイント

  • 境界石の場所
  • 境界を越える越境物の有無
  • 地積測量図との相違点

土地の境界を示す境界石がどこにあるか確認するとともに、地積測量図とどのくらい相違があるか寸法を測ります。土地の境界石が見つからない場合は、境界確定測量を実施して、土地の所有者と境界を確定させます。

また、境界を越える越境物があった場合は、隣地の所有者とのトラブルに発展する可能性があります。そのため、覚書の作成を検討することも重要です。

▼越境物の例

  • 住宅の屋根や雨樋(あまどい)、庇(ひさし)など
  • 境界塀(フェンスやブロック)
  • 植栽
  • 隣地の配管


②地勢

地勢とは、土地の状態のことです。現地調査では、地勢の目視確認を実施します。

▼地勢の確認ポイント

  • 土地の高低・傾き・形状
  • 土地の地質
  • 擁壁の傾き・ひび割れ
  • 地中の埋設物や土壌汚染の有無

地盤沈下や液状化現象が発生している場合は、地盤改良工事が必要になるケースがあります。また、土地に高低差がある、三角形や台形などの不整形地になっている場合には、土地の造成工事(切り土・盛り土・埋め立てなど)や整形工事が必要になることもあります。


③前面道路

法律で定められた接道義務を満たす住宅設計を行うために、前面道路の状況についても確認します。

建築基準法』第43条では、建築物の敷地は4m以上の幅員の道路に2m以上接することが義務づけられています。

▼建築基準法第43条

第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

一 自動車のみの交通の用に供する道路

二 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第十二条の十一の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内の道路

引用元:e-Gov法令検索『建築基準法』第43条

これは、建築物の日射・採光・通風を確保するほか、緊急車両が通る通路を確保することが目的です。

▼前面道路の確認ポイント

  • 幅員と接道の長さ
  • 道路の舗装状況
  • 歩道の有無

なお、接道の測り方や、建築物の種別による接道の長さについては、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

 ≫ 【建築基準法の接道義務】接道長さや測り方について解説

(出典:e-Gov法令検索『建築基準法』/国土交通省『建築基準法制度概要集』)


④インフラ設備

生活に必要なインフラ設備が引き込まれているか、引き込み位置とともに現地で確認を行います。

▼インフラ設備の確認ポイント

  • 水道・ガスの引き込み位置
  • 電柱の位置
  • 敷地上空の送電線の有無

実際の現地調査では、水道局・下水道局、ガス会社にインフラの引き込み状況を確認して、引き込み位置を見取り図に記入します。

なお、送電線が上空を通っている場合は、重要事項説明書への記載と施主への説明を行う必要があります。そのため、電柱や送電線の位置を確認しておくことが重要です。


⑤周辺環境

土地や建物だけでなく、周辺環境の確認も必要です。

周辺環境を確認していなかったことによって、将来施主とのトラブルに発展するケースも考えられます。特に嫌悪施設は、心理的瑕疵(かし)に該当するため、注意が必要です。

▼周辺環境の確認ポイント

  • 悪臭・騒音が発生している施設の有無
  • 日射・通風の障害となる建物や建築計画
  • 土砂災害や河川氾濫のリスク
  • 近隣地・道路の利用状況
  • 心理的に影響を与えうる施設の有無(葬儀場、火葬場、墓地など)

設計や住環境に影響する要素がないか、現地に足を運んで確認することで、地図では確認できない情報を把握できます。嫌悪施設などは、実際に歩いて確認をしたうえで、敷地からの距離を調べておくことも重要です。

まとめ

この記事では、不動産の現地調査について以下の内容を解説しました。

  • 現地調査が必要な理由
  • 現地調査で確認する5つのポイント

不動産の現地調査には、登記簿や地図などの書面だけでは把握できない情報を目で見て確認する目的があります。土地の所有者や近隣住民、施主とのトラブルを防ぐためにも、現地調査を適切に行うことが重要です。

“住宅を新たに建てる”“リフォームをする”など、目的によって調査するポイントが異なるため、事前に確認項目をリストアップしておくことが望ましいといえます。現地調査を実施する際は、今回ご紹介したポイントを参考にしてみてください。

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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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