工務店が経営コンサルタントに依頼するメリットとは?依頼する際のポイントと注意点について解説
工務店が安定した経営を続けていくためには、技術やサービス力を磨くだけでなく、経営そのもののスキルも高めていかなければなりません。それには、専門家である経営コンサルタントに支援を依頼してみるのも有効な方法です。
今回は工務店が経営コンサルティングを受けるメリットを解説したうえで、コンサルタントの選び方や利用時の注意点をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.工務店における経営コンサルタントの役割
- 1.1.集客力の強化
- 1.2.差別化戦略などの経営戦略の立案
- 1.3.ITツールを使った業務のデジタル化の推進
- 1.4.財務体質の見直し
- 1.5.人材育成、人材採用
- 2.経営コンサルタントに依頼をする3つのメリット
- 2.1.専門的なアドバイスを受けられる
- 2.2.外部のノウハウを自社に蓄積できる
- 2.3.客観的な視点で自社の立ち位置を確認できる
- 3.経営コンサルタントを選ぶときの5つのポイント
- 3.1.実績と業界知識の深さ
- 3.2.説明の分かりやすさ
- 3.3.経営課題の分析が正確か
- 3.4.実行へのプロセスを提案してもらえるか
- 3.5.費用やサポート内容は妥当か
- 4.経営コンサルタントを受け入れるための準備
- 4.1.自社の現状を反映させた資料やデータ
- 4.2.具体的な依頼内容の選定
- 4.3.ミーティング参加メンバーの選定
- 4.4.目標とビジョンの整理
- 4.5.経営コンサルタントに依頼する場合の注意点
- 4.6.自社の規模に合った依頼先を見つける
- 4.7.戦略の実行はあくまでも自社が行う
工務店における経営コンサルタントの役割
さまざまな経営課題を自社で解決するのが難しい場合には、経営コンサルタントに依頼する方法があります。経営コンサルタントは経営課題の解決につながる提案を行うとともに、長期的な成長を促す支援を行うのが主な仕事です。
ここではまず、工務店における経営コンサルタントの役割について見ていきましょう。
集客力の強化
工務店において、最優先ともいえる課題が集客力の強化です。経営の安定を図るためには、緻密なマーケティングに基づく集客の改善が欠かせません。経営コンサルタントは多様な事例と専門的なスキルを通じ、依頼主に合った集客戦略を構築します。
差別化戦略などの経営戦略の立案
地域密着型の工務店にとって、同じ商圏内にある同業他社との差別化は特に重要なポイントとなります。経営コンサルタントは客観的な視点から依頼者の強みを分析し、市場の特徴も踏まえながら 適切な差別化戦略を立案します。
ITツールを使った業務のデジタル化の推進
建築業界では現在でも紙によるデータのやりとりが多く、依然としてIT化が進まない傾向にあるとされています。経営コンサルタントが入ることで、 適切なITツールの導入が可能となり、社内のデジタル化を大きく前進させられます。
財務体質の見直し
経営コンサルタントの重要な役割の一つとして、財務状況の見直しが挙げられます。原価の割合や売り上げの性質、費用・経費のあり方について、粗利益、営業利益、経常利益といった各種利益の現状から細かく分析します。
人材育成、人材採用
経営コンサルタント会社のなかには、組織改革に力を入れている会社もあります。社内の人事戦略を見直し、人材育成や人材採用の取り組み方を改善することで、組織全体の強化を図るのが役割です。
コンサルティング企業によっては得意とする領域がある場合も。その企業の強みや特徴なども把握しておくとよいでしょう
経営コンサルタントに依頼をする3つのメリット
工務店が経営コンサルタントに依頼することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、3つのポイントに分けてメリットをご紹介します。
専門的なアドバイスを受けられる
経営コンサルタントの専門的な見地から、経営に関するアドバイスを受けられるのがメリットです。工務店を経営する場合は、施工に関するスキルや経験とともに、経営に関する能力も求められます。
集客や経理、各種手続きといった多様な業務をこなす必要があるため、経営の経験がない方にとっては大きな負担になってしまうでしょう。経営コンサルタントは、経営に関する専門的な知識を持っているため、依頼することでさまざまな課題を解決することができます。
また、工務店向けのコンサルタントであれば、設計や施工に関する専門家からもアドバイスを受けられます。
外部のノウハウを自社に蓄積できる
経営コンサルタントのサポートを受けるメリットとしては、「外部のノウハウを自社に蓄積できる」という点も挙げられます。単に集客などを外注するのではなく、専門家と一緒に経営課題を検討していくため、得られた知識や経験がきちんと自社の血肉になります。
類似した工務店の成功事例を詳しく教えてもらえたり、自社の商圏の特徴などを分析してもらえたりするので、長期的に生かせるノウハウが手に入るでしょう。
客観的な視点で自社の立ち位置を確認できる
経営課題を解消するには、自社や市場に関する細かな分析が必要不可欠です。経営の専門家であるコンサルタントに分析を行ってもらえば、これまで気づかなかったような自社の強みや改善点が明らかになるでしょう。
市場における自社の立ち位置を客観的な視点で把握できるため、より質の高い経営戦略を立てられるようになります。
経営コンサルタントを選ぶときの5つのポイント
ここでは、経営コンサルタントを選ぶうえでおさえておきたいポイントを5つに分けて見ていきましょう。
実績と業界知識の深さ
コンサルタントにはそれぞれ異なる専門分野があるため、業界における今までの実績や業界知識の深さをチェックすることが大切です。建築分野での実績を確かめるとともに、自社と同様の規模の工務店を相手に、どのような仕事をしてきたのかをリサーチしておきましょう。
説明の分かりやすさ
コンサルタントによる効果を得るには、依頼者自身が納得して戦略に向き合えることが何よりも重要です。それには、担当者のコミュニケーション能力や会話の相性も確かめておく必要があります。
コンサルティングの方針や今後の取り組み方などについて、分かりやすい言葉で説明してもらえるかどうかを確認しておきましょう。
経営課題の分析が正確か
課題の把握と分析は、コンサルタントの出発点となる重要なポイントです。相談を持ちかけたときに、自社の課題をどの程度まで細かく把握してもらえるかどうかを確認するとよいでしょう。
実行へのプロセスを提案してもらえるか
コンサルタントからの提案については、自社の実情を踏まえて、実行可能なものであるかどうかも見極めることが大切です。また、具体的なプロセスや目標を設定してくれるかどうかも重要なポイントです。
あまりにも現実からかけ離れた提案を持ちかけられた場合は、その根拠について尋ね、納得ができるまで説明をしてもらうとよいでしょう。
費用やサポート内容は妥当か
コンサルタントを活用するうえでは、費用対効果についてもきちんと目を向けておく必要があります。業界における相場を調べたうえで、「費用は妥当かどうか」「契約期間はどのくらいか」を確かめましょう。
また、案件やサービス内容によっても相場が大きく異なるため、料金に対するサポート体制が十分に妥当なものであるかどうかも確認しておくことが大切です。
経営コンサルタントを受け入れるための準備
経営コンサルタントに依頼することを決めても、受け入れ準備が整っていなければ無駄が生じてしまいます。ここでは、依頼にあたって必要となる事前準備について見ていきましょう。
自社の現状を反映させた資料やデータ
自社の現状を詳しく知ってもらうためにも、あらかじめ資料やデータを整理しておくことが肝心です。たとえば、一口に収益の減少が課題といっても、考えられる原因はさまざまです。
従業員数や新規顧客の数、施工件数、価格・原価、仕入れ先といった幅広い要素が関係してくるため、あらかじめ正確なデータを収集しておくのが望ましいといえます。
具体的な依頼内容の選定
より価値的なミーティングを行うには、経営コンサルタントに依頼したい内容を具体的に知らせておくのもポイントです。「提案の内容を詳しく説明してほしい」「同様の成功事例について詳しく教えてほしい」「数値の根拠を説明してほしい」など、ある程度の希望を伝えておくことで、質の高い面談を実現しやすくなるでしょう。
ミーティング参加メンバーの選定
一定以上の従業員がいる場合は、どの範囲までのメンバーをコンサルタントとのミーティングに参加させるか絞り込んでおきましょう。内容によっては日常業務に支障をきたしたり、現場でのモチベーションを低下させたりする恐れもあるので、参加メンバーの選定は慎重に行う必要があります。
目標とビジョンの整理
経営コンサルティングでは、コンサルタントのサポートを受けながら目標やビジョンの設定を行うことも可能です。ただ、自社の考えや価値観、風土を反映させるためには、事前にある程度の方向性を定めておくことも大切です。
コンサルティングを受ける前に、現状を踏まえて目標とビジョンの整理を行いましょう。
経営コンサルティング会社と契約をする場合は、そのアドバイスを実際に運用ができる体制が社内にあるかどうかも重要です
経営コンサルタントに依頼する場合の注意点
最後に、経営コンサルタントに依頼する際の注意点をご紹介します。
自社の規模に合った依頼先を見つける
これまで見てきたように、経営コンサルタントによって得意分野などは異なるため、自社の規模に合った依頼先を見つけることが大切です。たとえば、コンサルティング会社のなかには、一人親方向けの支援を行っているところもあります。
相性の良しあしを見極めるために、自社と類似した案件の実績があるかどうかを調べてみるのも一つです。
戦略の実行はあくまでも自社が行う
経営コンサルタントの役割は、あくまで自社が抱える経営課題を分析し、解決に必要な提案を行うことにあります。提案に基づき実行するのは自社であるため、社内のリソースを踏まえて、実現可能なプランであるかどうかを見極めましょう。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:工務店がコンサルティングを利用するメリットは?
A:最も大きなメリットは、「経営」に関する専門的な見地からアドバイスを受けられる点にあります。また、客観的な視点で自社の立ち位置や強みを分析してもらえるのも利点です。
Q:工務店が経営コンサルタントに依頼するときは何を見極めるべき?
A:業界における専門性と実績を確認するとともに、納得のいくミーティングを行うためにも、コミュニケーションの相性を見極めることが大切です。また、全体的な相場と比較して、費用や契約期間、サポート内容の妥当性も見極める必要があります。
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