顧客満足度を上げたい!FPと資金計画をする家づくりの進め方
注文住宅の営業において、顧客満足度を高める方法にはさまざまなパターンが考えられます。品質の向上を実現するのはもちろん重要ですが、検討・購入・購入後のアフターサポートといった顧客体験全体に目を向け、サービスの向上を目指すことも大切なテーマといえます。
今回は顧客体験を向上させる方法の一つとして、「FPとの協働による資金計画サービス」について見ていきましょう。建築会社や住宅会社がFPと提携するメリットや、その具体的な方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.FPと協働することでお客さまに安心していただける提案が実現可能!
- 1.1.ライフプランに沿った現実的な予算設定が行える
- 1.2.家計や保険の見直しも行える
- 1.3.適した住宅ローンが選択できる
- 2.建築会社がFPと提携するメリット・必要性
- 3.FPと資金計画する家づくりの進め方
- 3.1.住宅イベントに集客する
- 3.2.ライフプランの診断をする
- 3.3.具体的な住宅ローンの相談に応じる
- 4.信頼できるFPの選び方
- 4.1.FP資格の有無
- 4.2.得意分野・業務経験
- 4.3.ネットワークの質・量
- 4.4.利用料金
- 4.5.打ち合わせ・相談のしやすさ
- 5.この記事を監修した人
FPと協働することでお客さまに安心していただける提案が実現可能!
建築会社がFPと協働することで、お客さまにはさまざまな付加価値を提供できるようになります。まずは、お客さまにとっての具体的なメリットについて見ていきましょう。
ライフプランに沿った現実的な予算設定が行える
もっとも重要なメリットは、ライフプランに合わせた「無理のない返済計画」を立てられる点にあります。FPは住宅ローンだけでなく、保険や年金、投資、相続といった幅広い分野に関する知識を持っているため、ライフプラン全体を見通した資金計画を立てることが可能です。
定年を見据えた完済時年齢の設定や、出産、子どもの受験・進学、老後資金といったライフステージを踏まえた返済プランを立てられるのは、お客さまにとって大きな付加価値となります。
家計や保険の見直しも行える
返済計画を立てるにあたって、家計や利用している保険などを見直せるのも一つのメリットです。支出の意図や資産運用の背景などをヒアリングしたうえで、専門家の目線でアドバイスしてもらえます。そのため、安全性の高い返済計画を立てるのに役立ててもらえます。
適した住宅ローンが選択できる
FPにはさまざまな専門分野がありますが、特に住宅を得意とする担当者であれば、住宅ローンに関する知識も豊富です。さまざまな種類がある住宅ローンについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを分かりやすく提示してもらえるので、お客さまは納得のいくローンを見極めることができます。
また、住宅ローン返済について知っておきたい「金利の種類」や「返済方法による違い」「繰り上げ返済の仕組み」なども丁寧にアドバイスしてもらうことが可能です。そのため、安心して住宅購入に向き合ってもらえるようになるのが大きなメリットです。
建築会社がFPと提携するメリット・必要性
続いて、FPと提携することで、建築会社が得られるメリットや必要性について見ていきましょう。
若い世代のマネーリテラシーに応えられる
先にも述べたように、FPと提携することで、お金にまつわる幅広いテーマについて顧客の相談に応じてもらえるようになるのが大きなメリットです。特に現代では、若い世代のマネーリテラシーが高いため、売り手側にも専門的な金融知識が求められるようになっています。
FPのサポートを受けることで、お客さまからの具体的な相談や質問に対しても、専門的な知見を通じて応えることができます。
高い確度で受注につなげられる
資金面での専門的なサポートを受けることで、お客さまに対してプランの迅速な提案が可能となります。返済面においても実現可能性の高いプランを提示できるので、検討段階のお客さまを高い確度で受注につなげられるのが利点です。
自社の価格感を理解したうえでサポートしてもらえる
FPとの関係性が強くなれば、自社の価格感やスタイルをきちんと理解したうえでサポートしてもらえるようになります。住宅やお金に関する一般論だけでなく、自社とお客さまの現状を踏まえた個別具体的な提案をしてもらえるので、商談がスムーズに進みやすくなるでしょう。
適正予算と自社の強みをすり合わせてもらえる
お客さまの適正予算を自社の強みとすり合わせ、適切なプランニングを導き出せるのもFPと協働する重要な利点です。FPに自社の特徴をしっかりと理解してもらえれば、予算内で実現可能なプランを具体的に検討できるようになり、最大限に満足度の高い家づくりを提供できます。
FPと資金計画する家づくりの進め方
FPとの提携業務は、検討段階にあるお客さまを受注にまでつなげることを目的としています。ここでは、基本的な業務の手順として、「集客」「ライフプランの診断」「住宅ローンの相談に応じる」の順に全体の流れを見ていきましょう。
住宅イベントに集客する
まずは、住宅イベントを開催して、お客さまを集めることが第一歩となります。「オンライン家づくり相談会」や「住宅ローン相談会」などを開き、住宅の購入に一定の関心を持ったお客さまを集める必要があります。
チラシやホームページ、SNSなどで集客を行う場合は、「FPによる無料診断サービス・住宅ローン相談」などの情報を公開し、資金面に疑問や不安のある顧客層へ訴求するのも一つの方法です。
ライフプランの診断をする
住宅イベントに足を運んでもらえたお客さまのなかで、特に具体的な相談を望む方については、実際にFPのサポートを受けながらライフプランの診断を行います。このときに重要な資料となるのが、「ライフイベント表」と「キャッシュフロー表」です。
ライフイベント表とキャッシュフロー表は、世帯構成に基づいて、この先に起こるイベントやそれにまつわる収支予測などを1年ごとに把握するためのツールです。子どもの進学や自家用車の買い替えといったイベントを洗い出し、収支予測を立てることで、貯蓄残高の変化などを確認することができます。
これらの表をFPに作成してもらえれば、お客さまに分かりやすく住宅購入の可能性を提示することができるため、具体的な商談につなげやすくなるでしょう。
具体的な住宅ローンの相談に応じる
さらに、マイホームの購入を現実的に検討しているお客さまに対して、具体的な住宅ローンの相談にも応じます。返済の考え方やコツ、ローンの種類などを説明しながら、お客さまに合った返済プランを立ててみるといったサービスも提供します。
そのうえで、自社の強みを知ってもらったり、実際の建築プランとすり合わせをしたりしながら商談を進めていくというのが基本的な流れです。
信頼できるFPの選び方
FPとの効果的な協働を目指すには、信頼できる提携先を見極めることがとても大切です。提携先を決める流れとしては、企画や予算などを定めたうえでFPを選定し、条件のすり合わせを行ってみましょう。
双方が納得した形で、業務委託契約書を締結することが重要です。ここでは、FPの選び方について、特に押さえておくべき基本のポイントをご紹介します。
FP資格の有無
FPは特に資格がなくても行える職業です。しかし、専門的な知識やスキルを求めるのであれば、やはりFP資格を持っているかどうかは重要なポイントとなります。
FPに関する資格には「ファイナンシャル・プランニング技能士」や「AFP認定者」「CFPⓇ認定者」などがあり、これらの資格を取得していれば一定のスキルや知識は保有していると判断できます。
得意分野・業務経験
FPが扱う分野は、「家計管理」「住宅・不動産」「保険」「相続」などのように幅広く、それぞれに得意とする範囲は異なります。住宅や不動産分野に強いFPに絞って探すことで、相性のよい提携先を効率的に見つけられます。
ネットワークの質・量
住宅分野に関する情報は日に日に更新されていくため、新たな情報をキャッチできる良質なネットワークも重要なポイントとなります。提携先の候補が見つかった場合は、ホームページなどをチェックして、どのようなネットワークを持っているのか調べておくとよいでしょう。
利用料金
ほとんどのFPは時間当たりの相談料を設定しており、ホームページなどで具体的な金額を提示しているケースも多いです。しかし、法人として提携する場合については、別途相談あるいは会費制となっていることもあるので、きちんと利用料金を確認しておくことが大切です。
「どのような業務に協力してもらいたいのか」「どのような目的で導入したいのか」などを明らかにしておくと、料金相談もスムーズに進みやすくなるでしょう。
打ち合わせ・相談のしやすさ
業務提携を行ううえでは、打ち合わせや相談のしやすさも重要なポイントとなります。まずは事業所の所在地や対応エリアについて確認し、できるだけアクセスしやすいところを選ぶようにしましょう。
また、打ち合わせのしやすさを考えるうえでは、「オンライン相談可能」なところを選ぶのも有効です。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:建築会社がFPと提携するメリットは?
A:お客さまに納得感のある予算や返済プランを提示できるのが大きなメリットです。特に近年では若い世代でのマネーリテラシーが向上しており、専門的な知識を持つFPの存在は重要性を増しているといえます。
Q:FPと業務提携をする流れは?
A:企画や予算などを定めたうえで提携するFPを選定し、条件のすり合わせを行う必要があります。双方が納得した場合に業務委託契約書を締結することで、業務提携を行えます。
Q:信頼できる提携先FPの見極め方は?
A:まずは資格の有無と専門分野のチェックが重要となります。そのうえで、「ネットワークの質と量」「利用料金」「相談のしやすさ」などが具体的な判断基準となります。
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この記事を監修した人
三浦FP綜合事務所
三浦 雅也(CFP / 1級FP技能士)
大学卒業後、難しい用語を使わずにわかりやすくお金の知識を伝えたいと考え、独立系のFP事務所、保険会社での勤務を経てファイナンシャル・プランナー/ライターとして独立。現在はクレジットカード、保険、不動産の記事を中心とした執筆活動を行っている。