選ばれる工務店を目指す!商品力を高めるための重要ポイントを解説
お客さまから選ばれる工務店を目指すには、自社の商品力やブランドを強化して、適切な形でアピールするという基本的な方法を地道に追求していかなければなりません。しかし、商品力と一口に言っても、具体的に意味するところは会社によって異なります。
この記事では、「工務店における商品力とは何か」について詳しく確認したうえで、商品力を高めるために必要なアプローチについて見ていきましょう。
目次[非表示]
- 1.工務店における商品力とは
- 1.1.お客さまのニーズはどこにあるのか
- 1.2.工務店の商品力=提案力・問題解決力
- 2.商品力を構成する要素
- 3.商品力を高めるための3つの重要ポイント
- 3.1.4C分析を行う
- 3.2.ペルソナを明確化する
- 3.3.お客さまの意見をヒアリングする
- 4.商品力の高さをアピールして集客につなげる方法
- 4.1.短期的な成果を狙うもの
- 4.2.中長期的に取り組むもの
工務店における商品力とは
商品力の強化を図るためには、「そもそも工務店の商品力とは何か」を深く追究する必要があります。ここではまず、工務店がどのような視点で商品力を捉えるべきなのか、お客さまのニーズを踏まえて見ていきましょう。
お客さまのニーズはどこにあるのか
商品について考えるうえでは、買い手であるお客さまのニーズを探ることが第一歩となります。現代のマーケティングにおいて、お客さまが商品を購入する動機は、必ずしも商品そのものを手に入れたいという所有欲に限定されるわけではありません。
それよりも、手に入れた商品によってもたらされる「価値」を重視していると考えられています。工務店にとっての直接的な商品はもちろん住宅ですが、お客さまにとって家づくりはあくまでも手段であり、目的ではありません。
家づくりを通して、「素材にこだわった家でくつろぎたい」「広々とした庭で子どもやペットと楽しい時間を過ごしたい」「安心できる終の棲家(ついのすみか)がほしい」といったそれぞれの価値を実現することに目的があるのです。そのため、単に技術力や性能を売りにするだけでは、お客さまにとってどのように目的を達成できるのかが分かりにくくなってしまいます。
商品力を高めるためには、お客さまが本当に求めている目的・ニーズを理解する必要があるといえるでしょう。
工務店の商品力=提案力・問題解決力
家づくりにおいては、最初からお客さま自身がその目的を自覚しているとも限りません。マイホームの購入は人生においてそう何度も経験できることではないため、はじめから取得後のイメージを完璧に描くのは難しい面もあります。
そこで、経験豊富な工務店側がイメージづくりのサポートを行い、お客さまと一緒にニーズを明らかにしていくプロセスが重要となります。そして、理想的なプランが固まり、形として実現されていくことで、初めてお客さまに満足してもらえる商品を提供できるのです。
その点を踏まえると、工務店における商品力は「提案力・問題解決力」とも言い換えることができるでしょう。お客さまの本音と自社の強みを踏まえて、より良い提案を行っていくことが他社との差別化、商品力の向上に結びつくのです。
商品力を構成する要素
商品力を大きく分解すると、「製品価値」と「ブランド価値」の2つの要素にまとめることができます。
製品価値(QCD)
一般的に、商品力について評価を行うときには、「品質・価格・納期(QCD)」の3つの視点からアプローチします。「どれだけ優れた品質を持っているのか」「どの程度の価格で提供できるのか」「納期を安全に守ることができるのか」といった視点は、商品を供給するうえで特に重要な視点です。
これらの要素をまとめたものを「製品価値」と呼び、建築業のみならず製造業の分野でもQCDの追求が基本的なテーマとなります。しかし、品質を高めて価格競争力を持たせ、工期を守るだけで、必ずしもお客さまが十分に満足してくれるというわけではありません。
顧客満足度を求めるためには、もうひとつの要素である「ブランド価値」も欠かせない軸となります。
ブランド価値
ブランド価値とは、「その商品を購入することで得られる楽しさや五感への刺激(感覚価値)」と「商品が持つブランド理念やストーリー、歴史(観念価値)」の2つから成り立つ要素です。お客さまに選ばれる工務店を目指すうえでは、単に製品価値のみを追い求めるのではなく、ブランド価値の追求も同時に行う必要があります。
そのためには、ブランディングやマーケティングを含めて、自社の商品・サービスをトータルコーディネートしなければなりません。どのような喜びをお客さまに提供できるのか、どのような理念やストーリーを訴えかけるのかによって、同じ技術・製品でもお客さまに与える印象が大きく変わってくるのです。
商品力を高めるための3つの重要ポイント
それでは、工務店が商品力を強化するためには、具体的にどのようなことに取り組むべきなのでしょうか。ここでは、基本となるポイントを3つ解説します。
4C分析を行う
4C分析とは、「顧客価値(Customer Value)」「コスト(Cost)」「利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」の4つの視点から商品・サービスを分析するフレームワークです。顧客価値とはお客さまが抱く価値のことであり、先ほど述べた商品力を構成する「製品価値」「ブランド価値」を合わせたものといえます。
コストは商品・サービスを手にするまでに必要な費用、利便性は商品・サービスを購入するまでのプロセス・アクセス性を指します。たとえば、ECサイトが購入経路となっている場合は、配送料がコスト、サイトのデザインや使いやすさなどが利便性にあたるということです。
そして、コミュニケーションとはお客さまとの接点の作り方を指します。4C分析の特徴は、すべての項目が「お客さま視点」で成り立っているという点にあります。
そのため、新商品の開発や既存商品の見直し、売り出し方などを客観的に捉え、競合他社と比較する際などに役立つフレームワークです。
ペルソナを明確化する
どのような商品であっても、すべてのお客さまを満足させるのは難しく、またその必要性もないといえます。選ばれる工務店を目指すといっても、あらゆるお客さまを対象にするのではなく、ターゲットとなる客層を絞り込まなければなりません。
なぜなら、ターゲットがあいまいであるほど、商品のあり方や訴えかけるメッセージがブレてしまうためです。そこで、重要となるのが「セグメンテーション」と「ペルソナの設定」です。
セグメンテーションとは市場細分化のことであり、あらゆる顧客を含んだマーケットを共通の特徴やニーズによって区分するプロセスを指します。セグメンテーションを行うと、どのような顧客層をターゲットにすべきなのかを見極めやすくなります。
また、ペルソナとはターゲットの人となりをさまざまな項目にわたって具体化し、実在の人物のように描き出したイメージ像です。ペルソナを明確にすることで、アピールすべき自社の強みも洗い出せるため、商品力の強化を図りやすくなります。
お客さまの意見をヒアリングする
商品力の向上を目指すには、お客さまの意見や要望を反映させることも大切です。既存顧客の意見は、工務店側からは見えないニーズや不満、改善点などを知るうえで、特に大きな価値を持ちます。
実際にサービスを受けてみてどのように感じたのか、プラス面もマイナス面も公平に評価してもらうことで、商品力を高めるヒントを見つけやすくなるでしょう。調査にあたっては、既存顧客や新サービスのテストに協力してもらえる方を対象に、アンケート調査やSNSのフィードバックなどで意見を収集してみるのが効果的です。
商品力の高さをアピールして集客につなげる方法
商品力をいくら強化しても、お客さまにアピールしなければ集客につなげることはできません。自社の商品力を発信する方法には、短期的な効果を狙うものと、中長期的に取り組むものの2種類があります。
それぞれに異なる特徴があるため、両者を組み合わせて実践することが重要となります。
短期的な成果を狙うもの
短期的なものとしては、SNSやメルマガの活用が挙げられます。定期的に新鮮な情報を発信し続けることで、ユーザーの関心を引きつけられ、自社の商品力に目を向けてもらえる機会が広がります。
中長期的に取り組むもの
中長期的なものとしては、ホームページやブログ運営などが挙げられます。良質なコンテンツをコツコツと発信し続け、着実に信頼性や評価を高めながら、自社のファンを創造していくのが主な目的です。
すぐに目に見える効果を得るというよりも、優れたコンテンツを資産として積み立てていき、安定した集客につなげるというのが基本的な狙いです。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:工務店にとっての「商品力」とは?
A:工務店にとって、商品力は「提案力」や「問題解決力」を指すと考えられます。単に優れた製品をお客さまに届けるだけでなく、家づくりにお客さまが求める価値を見極め、一緒に発見し、優れた提案によって課題を解決していく力を商品力と定義することができます。
Q:工務店が商品力を高めるには何が必要?
A:商品力を高めるためには、顧客視点からの客観的な分析が必要不可欠であり、そのために必要なフレームワークとして4C分析が挙げられます。なかでも顧客価値の分析は重要であり、そのためには既存顧客へのヒアリングが有効なアプローチとなります。
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