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第6回【工務店のイベントとお知らせのアイデア】相談会・見学会・モデルハウスなどのイベントは「シンプルに継続」がカギ

これまで5回にわたって「施工事例集」と「会社案内」について考察してまいりました。
今回はその後の話。「イベント」と「お知らせの方法」について考えてみたいと思います。

資料請求のカタログ・パンフレットを見て(HPも見て)イイナと思って工務店のことが気になりだしたお施主様。この段階では「実際はどんな家をつくってるんだろう」「どんな人がいるんだろう」など、まだまだ不安が多いと思われます。そこからもう一歩、足を踏み出していただくにはどうしたらいいでしょうか。

お施主様に「アクションを起こす理由付け」を与えられれば、踏み出しやすくなるのではないか、という視点から考察をスタートします。

目次[非表示]

  1. 1.【イベントの企画】まずは王道で十分。お施主様の「知りたい気持ち」に応える
  2. 2.【イベントのお知らせ】写真はきれいに。情報はシンプルに
  3. 3.【イベントのお知らせ】あの手この手で「継続的」に
  4. 4.【イベントのお知らせ】営業色はNG。「お知らせ」オンリーで心をつかむ

【イベントの企画】まずは王道で十分。お施主様の「知りたい気持ち」に応える

資料請求のカタログ・パンフレットを一度送付しただけでお施主様のほうから相談してくれれば、これほどうれしいことはありません。ですがそれだけではまだ、なかなか動きが鈍いのも事実。

そのため、お施主様が「アクションを起こす理由付け」となるイベントを企画します。ポイントは「実際のことが知りたい」と思っているお施主様の気持ちに応える、ということ。したがって企画自体にひねりを入れる必要はありません。イベントは王道で直球勝負をしましょう。

■イベント企画の例

無料相談会
└プラン、予算など家づくり全般のことを相談できる
完成見学会
└完成直後(入居前)の家を見学できる
オーナー宅見学会
└入居後の家を見学しながらお話が聞ける
モデルハウス見学会
└街角モデルハウスなど期間限定で見学できる
その他(ショールーム巡りなど)


無料相談会と完成見学会は、既に取組まれている工務店様も多い必須級のイベントかと思いますが、上記の中でおすすめしたいのが、3のオーナー宅見学会。これは、引き渡しが完了して実際にオーナー様が住み始めているお宅を見学する、というイベントですね。

お施主様にとって何がいいのかというと、オーナー様の声を直接聞ける点。実際の建物を見ながら住んでいる人に質問できるという、検討段階のお施主様にとってこれほど参考になることは他にありません。

さらに住み始めてから1年以上経た家なら、季節ごとの住み心地の話も聞けてよりリアル。そもそも見学会に協力しているオーナー様がいらっしゃるということは、建築後もよい関係を築けている証拠となりますので、工務店様の信頼度がアップします。

【イベントのお知らせ】写真はきれいに。情報はシンプルに

これまでのコラムでも「写真のたいせつさ」を述べてきましたが、それはイベントのお知らせにおいても変わりません。きれいな写真はそれだけでも訴求力がありますので、やはりプロのカメラマンに依頼することをおすすめします。

■どんな写真を載せる?

相談会系イベント
  • 担当スタッフ
  • 過去の相談会風景
  • 相談会で使う資料
  • 施工事例のイメージ
見学会系イベント
  • 見学会を行う家
  • 担当スタッフ
  • (完成前の場合は)パースやスケッチ


お知らせに記載するイベントの情報は、できるだけシンプルにまとめるのがいいでしょう。お施主様にとって「イベントがあるんだ」と最初にふれる情報ですので、パッと見てすぐわかる、くらいがちょうどいいと思います。詳細はHPに記載し、お知らせにはQRコードを載せておくと情報量を補完できます。


相談会系イベント
  • 基本情報(日時、場所、所要時間、予約方法)
  • 相談できること(プラン、予算、土地など)
  • 簡単な会社紹介
  • あれば特典
見学会系イベント
  • 基本情報(日時、場所、所要時間、予約方法)
  • 見どころ(2つか3つに絞って)
  • 間取り図
  • 簡単な会社紹介
  • あれば特典


情報を記載する時は、表現を少し工夫すると「アクションを起こす理由付け」になりやすいです。ポイントは「キーワード」と「限定感」。「キーワード」は「間取り」や「予算」などの言葉そのもの。お施主様がちょうど疑問に思っている言葉なら、気になるレベルがアップします。

「限定感」は期間や人数などの制限。限りあるものに惹かれる人間心理を揺さぶります。これらが響けば、よりお施主様の背中を押すことにつながります。

■表現の例

<いつもの訴求>


無料相談会 随時受付(9:00~17:00)

予約制で一組ずつ対応いたします


<少し工夫してみた訴求>


3/1(土)2(日)開催

自由設計の“間取りってどこまで自由なの?”無料相談会

一日4組限定・完全予約制

9:00 / 10:30 / 13:00 / 14:30


※一回に付き一組ずつ対応いたします

※一回の所要時間は約1時間です


内容はいつもと同じ相談会でも、打ち出し方を少し工夫すると違った相談会をやっているように見えます。数々の疑問を抱えているお施主様にとっては、キーワードがはっきり書いてあると事前に聞ける内容がわかるので、安心して臨めます。

また、工務店様側としては、タイトルを変えるだけで3ヶ月クールなどのスケジュールが組みやすい、といったメリットも。タイトルが違えばお施主様にご案内しやすくなります。

■タイトルの例

3月のテーマ
「自由設計の“間取りってどこまで自由なの?”無料相談会」
4月のテーマ
「建築費だけじゃ足りないの?“家にかかるお金”の無料相談会」
5月のテーマ
「日当たりってやっぱり重要?“土地に合わせた設計”無料相談会」

【イベントのお知らせ】あの手この手で「継続的」に

イベントそのものは、お施主様に「アクションを起こす理由付け」を与えるためにたいせつ、と前述しましたが、イベントのお知らせにはさらに、「お施主様との接点」をつなぎ続ける、という役割があります。営業電話やメールではない、こちらから連絡できる貴重な機会というわけです。

したがって、イベントを企画する→お知らせする、という流れを「継続」することがカギとなります。できれば月に一度、少なくとも2・3ヶ月に一度は行って、定期的にお知らせを送りましょう。

とはいえ、見学会などの実際の建物が関わるイベントは、工事の進捗やオーナーさまのご都合がありますから頻繁にできないこともあると思います。そんな時は、他のお知らせを「レター」として送付してはいかがでしょうか。

■レターのアイデア

前回のイベントレポート
前回の写真にスタッフのレポートや感想を添える
メンテナンスのポイント
トイレ、お風呂、床、外壁など一回一部位でまとめる
税金や補助金の話
最新の税や補助金の優遇制度などをまとめる
季節のレター
工務店周辺のスポットやショップなどお得情報をまとめる

【イベントのお知らせ】営業色はNG。「お知らせ」オンリーで心をつかむ

イベントのお知らせはあくまでも「お知らせのみ」というスタンスがたいせつです。ここで営業色が見えてしまうと「なんだ結局営業か」と思われてしまう可能性があり、かつ「行ったらめっちゃ営業されるのでは?」などと引かれてしまうかもしれません。

力を注ぐのは「お知らせ」を継続すること。「お施主様との接点」を増やすことです。そうすればお施主様はやがて工務店の名前を覚え、知らぬ間に知った感覚になってきて、なんだか無視できない親近感みたいなものが湧いてきて、一度だけでも相談してみるか、という気持ちになります。

本当か?と思われるかもしれませんが、取材現場でお施主様からそういう話をまま聞きます。工務店様自身にそんな経験はないでしょうか?「よく顔を出すけど全然営業っぽさがなくて情報提供はしてくれる営業マンに結局電話して仕事を依頼した」のような経験。

お施主様は一般的に数社を比較検討していますから、営業のされかたも他社と比較しています。だからこそ、しつこい営業はNGです。お知らせに営業色は出してはいけません。ですが最初の資料請求カタログ・パンフレットを送っただけで放っておくのもNGです。

そこでイベントのお知らせを活用するというわけです。いつ相談するのか、いつ見学に行くのか、全てはお施主様の都合次第。だからこそ、そのタイミングに思い出していただくために、営業色のない「お知らせ」を継続して送付しておくのです。まるでお施主様の傍らにずっと寄り添って待っていてくれたかのような工務店。そんな工務店を忘れられるはずがありません。


さて、というわけで、今回のタイトルは、
【工務店のイベントとお知らせのアイデア】相談会・見学会・モデルハウスなどのイベントは「シンプルに継続」がカギでした。

現場で感じてきたことをベースに考察してきましたが、少しでも工務店のみなさまのお役に立てば幸いでございます。

それではまた次回、お会いしましょう。

次回のテーマ(予定)
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株式会社アドクロ 鶴田 二郎
株式会社アドクロ 鶴田 二郎
工務店とリフォーム会社に特化して活動するクリエイティブディレクター。カタログ・パンフレットをはじめ、雑誌の記事や純広など、広報・広告ツール制作の全工程に携わる。“GENBA-NIN”(※)を自称し、現場目線をたいせつにしたものづくりにこだわる。※GENBA-NIN は株式会社アドクロによる造語です

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