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第7回【工務店のカタログ・パンフレット×ウェブ】ホームページとの連動は「デザインの統一」と「情報の役割分担」で考える

さて、今回はホームページと「施工事例集」や「会社案内」などのカタログ・パンフレットとの連動について考えてみたいと思います。

工務店探しの検討段階のお施主様にとって、気になる工務店があったらありとあらゆる情報を取得したいと思うのが普通ですよね。となると、ホームページもカタログ・パンフレットも、どちらも必ず見られる媒体です。

そこで本稿では、お施主様が両方の媒体を見比べられた時に、どんな印象を持たれるのか、また、どのように情報が整理されていたら見やすく、記憶に留まるのか、といった視点で考察を進めていきたいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.【デザインの統一】ホームページとカタログ・パンフレットを見比べた時に「違和感」を与えない
  2. 2.【デザインの統一】簡単なポイントは「カラー」「フォント」「写真」の3つ
  3. 3.【情報の役割分担】ホームページとカタログ・パンフレットに載せる情報は同じでOK?
  4. 4.【情報の役割分担】紙媒体ならではの特性を活かした「写真集」や「読み物」もあり

【デザインの統一】ホームページとカタログ・パンフレットを見比べた時に「違和感」を与えない

はじめに、お施主様が工務店様のことを知ったきっかけは、ポータルサイトや情報誌などの連合広告媒体であるとしましょう。

この場合、「全く知らなかった工務店だったけど記事を見て気になった」という段階ですから、さらに情報を得たいと思いますよね。とすると、まずは下記のような動線をたどると考えられます。

1.ポータルサイトや情報誌を見て「イイナ」と思った
2.カタログ資料請求をした
3.ホームページを見た
4.カタログ・パンフレットが届いたので見比べた

この中で今回注目するのは、

3.ホームページを見た
4.カタログ・パンフレットが届いたので見比べた

の動線です。
ここはお施主様によっては逆になるかもしれませんが、今回はそれも含めて両方同時に考えます。

第一にお伝えしたいのは、ホームページとカタログ・パンフレットのデザインに統一感があることがたいせつ、ということ。双方のデザインがバラバラだった場合、お施主様にとってはどちらがその工務店のテイストなのかがわからず迷ってしまいます。自分たちの好みとの照合もしづらいですし、下記のような「違和感」を持ってしまうかもしれません。
 
A「ホームページはかっこいいな。でもこのカタログ、なんか古い感じが…?」
B「ちょっとごちゃついたホームページだな…。カタログは素敵なのに…?」

 
このようにいったん「あれ?なんか違う?」と思ってしまうと次のステップには進みにくいもの。工務店様はこの段階ではまだお施主様と直接コンタクトをとれていませんので、トークでフォローすることもできません。

この「違和感」というのは検討離脱の結構大きな要因で、実際の取材現場で聞く話でも、競合工務店に問合せをやめた理由にあがることがあります。見えないところでそうならないために、統一感のあるデザインにすることを、まずは意識してみてはいかがでしょうか。

【デザインの統一】簡単なポイントは「カラー」「フォント」「写真」の3つ

デザインの統一といわれても具体的にどうすれば、と悩まれる方もいらっしゃると思います。そこで、どなたでも簡単にできるポイントを3つだけ紹介したいと思います。

とりあえずこれだけでも一定の統一感を出すことができるのでおすすめです。あまり多くのデザイン要素を入れず、ホームページとカタログ・パンフレットの見た目を「揃える」ということを、まずは意識していただければと思います。


カラー
まずは背景カラー。ホームページの背景が白ならカタログ・パンフレットも白、塗り壁のテクスチャなら塗り壁など、同色にするのが基本です。特に施工事例の写真を見せたい場合は白系の背景のほうが写真に目がいくのでおすすめです。

ロゴなどにコーポレートカラーを設定している工務店様なら、その色をタイトル周りの帯や罫線、見出し文字などにキーカラーとして使うと、収まりがよく落ち着きます。また、あまり色を多く入れてしまうとごちゃごちゃした印象になってしまい、見ているほうの目が泳いでしまうので気を付けましょう。

フォント
基本となるゴシック体・明朝体の括りも統一したほうがいいでしょう。特にキャッチコピーや見出しは同じフォントを使って受け手のイメージを定着させましょう。複数のフォントを使いたい場合でも、一覧できる範囲に2種類までなど限定すると見やすいと思います。

飾り文字はともするとチラシのような印象になりがちですので注意しましょう。また、デザインテイストの異なる商品紹介などの場合は、その商品に合わせてフォントを変えるとそれぞれに個性が出ていいのですが、それは商品名だけにとどめ、本文などの読ませるフォントは他のページと揃えたほうが、読むほうは内容に集中できます。

写真
施工事例の写真のたいせつさはこれまでのコラムでも述べてきましたが、今回はトーンという視点から、色味の統一に気遣ってみてはいかがでしょうか。

例えば自然素材の家なら温かみのある色味、シンプルモダンの家なら発色を抑えた色味、メインは夕景の写真にするなど、いろいろな施工事例を見る中でも一邸ごとの色味が統一されていると、見ているほうはその魅力にすんなりと浸ることができます。

また、メイン写真をすべて正面カットにする、などアングルの統一感も世界観を出す意味では有効です。補足ですが、写真も文字も何も置かない「余白」にも統一感を持たせるとすっきりと美しく見えます。

空き幅や左揃え・中央揃えなどのラインも意識してみてください。余白が空いていると、他のデザイン要素を盛り込みたくなりがちですが、あまり盛り込みすぎると全体が窮屈な印象になってしまい、例えばメイン写真に広々リビングをレイアウトしていても、その印象が薄れたりしますので注意してください。

イラストや図版も多用するとそちらにイメージを持っていかれます。そのページでは何を見せたいのかをよく考えて、挿入するデザイン要素を決めましょう。余白も一つのデザイン要素として捉えていただければと思います。

【情報の役割分担】ホームページとカタログ・パンフレットに載せる情報は同じでOK?

タイトルのような疑問を持たれる工務店さまもいらっしゃるのではないでしょうか。基本は同じで問題ありません。ですが、カタログ・パンフレットに載せる情報は、ホームページと「全く同じ」ではなく、「編集された情報」にする点が違います。

まずはホームページに全情報を網羅しておくことを前提として、その中から「お施主様が知りたい情報」を選りすぐって冊子化するイメージです。まずは、それぞれの役割を考えてみましょう。
 
ホームページの役割
 その工務店のすべての情報が掲載されている本隊、まさに「ホーム」です。家づくりの想いやコンセプト、施工事例、工法や仕様、対応可能サービス、スタッフ、イベント情報、会社概要、ブログやSNSリンクなどなど。ホームページを見れば、工務店さまのことを余すことなく知ることができる媒体です。そのため情報の充実度や鮮度がたいせつになります。
 
カタログ・パンフレットの役割
 資料請求があった際に送るという用途が第一ですので、工務店さまのことを初めて知ったお施主様の「知りたいこと」に応えることが第一義。

そのうえで、工務店様が「見ていただきたいこと」や「知っていただきたいこと」をわかりやすくお伝えする先遣隊、いわば入口の媒体です。そのため深い情報ではなく、端的に抜粋した情報に編集することがたいせつになります。
 
いったんまとめますとこんな感じです。

・ホームページ
工務店のことを深く知っていただくために、情報はたっぷり詳細に載せる
 
・カタログ・パンフレット

初めて見てさらに興味を持っていただくために、情報は見やすく端的に載せる

■施工事例の紹介で載せる情報の例

ホームページ「施工事例ページ」

・写真 15点MAX

・文章 1000文字まで

・スタッフ 写真と役職、コメント付き

・物件データ 延床面積、敷地面積、本体価格、竣工年月

・間取り図

・工法・設備・仕様(メーカーや性能などの数値も入れる)


カタログ・パンフレット「施工事例集」

・写真 5点厳選 メイン写真を大きくレイアウト 
・文章 250文字まで キャッチコピー含めて再編集 
・間取り図 工法、延床面積、本体価格を含めて簡潔に 


このように編集することで、カタログ・パンフレットを見た人が再度ホームページに訪れて同じ施工事例を見つけた時、より詳しい情報にふれて再度読み込む、というアクションが期待できます。そうなると「他の情報もたくさん載っているのかな」と他のページにアクセスしてもらえる可能性が高まります。

お施主様は忙しい日々の合間を縫って、数ある工務店を検討されています。そのため初めの段階からホームページをつぶさに見る方はまれです。だからこそ、「抜粋された情報がきれいにまとまっているカタログ・パンフレット」と連動することが、たいせつなのです。


【情報の役割分担】紙媒体ならではの特性を活かした「写真集」や「読み物」もあり

紙媒体ならではの特性といえば、一覧性。ページの写真や見出しが見渡せるため、どんな情報が載っているのかがパッと見てわかりやすく、自分のペースで好きな所から見ることができます。

その特性を活かし、「施工事例の写真集」や「読み物」を資料請求限定版として送るというのもありだと思います。ホームページに掲載してきた情報があれば、それらをまとめて編集するだけでできるので実はそれほど手間いらず。ホームページでは各ページに分かれていて一覧できない情報を、冊子にまとめることによって一覧できる情報に編集するというイメージです。

特に読み物の冊子は、けっこう読んでくれるお施主様が多いという話を現場でも聞きますのでおすすめ。お施主様と工務店様の距離を縮めるツールになりえます。それにそんな編集冊子が送付されてくる、というのはお施主様にとっては特別感がありますよね。
 
施工事例の写真集のアイデア
 ・平屋でまとめる
・外観バリエーションをまとめる
・リビング、キッチンなど、部位を分けてまとめる
・モダン、ナチュラルなど、デザインテイストで分けてまとめる
 
読み物のアイデア
 ・お施主様インタビュー Vol.1
・ブログ記事をまとめる
 └施工事例の完成レポート 全10邸
 └家づくりの過程を追ったレポート T邸編
 └現場レポート 2023・夏
 └家づくりの必須ノウハウ 7選
 
さて、というわけで、今回のタイトルは、
【工務店のカタログ・パンフレット×ウェブ】ホームページとの連動は「デザインの統一」と「情報の役割分担」で考える
でした。
 
現場で感じてきたことをベースに考察してきましたが、少しでも工務店のみなさまのお役に立てば幸いでございます。
 
それではまた次回、お会いしましょう。

次回のテーマ(予定)
第8回【ターゲットを意識した工務店のカタログ・パンフレット制作】既存のお施主様のことをベースに考えれば、打ち出し方が見えてくる

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株式会社アドクロ 鶴田 二郎
株式会社アドクロ 鶴田 二郎
工務店とリフォーム会社に特化して活動するクリエイティブディレクター。カタログ・パンフレットをはじめ、雑誌の記事や純広など、広報・広告ツール制作の全工程に携わる。“GENBA-NIN”(※)を自称し、現場目線をたいせつにしたものづくりにこだわる。※GENBA-NIN は株式会社アドクロによる造語です

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