住宅営業ノウハウ

【道路幅員の調査方法】正しい測り方を5つのケース別に解説

工務店・ビルダーが住宅を建てるときは、道路幅員を正しく計測することが必要です。

建築基準法では、道路幅員に規定が設けられているほか、容積率の算定にも必要となるため、住宅設計・建築において道路幅員の情報は欠かせません。

しかし、道路の形状が平面でない場合や、道路脇に溝がある場合などがあります。「どのように距離を測ればよいか分からない」「どこを基準に測ればよいか知りたい」というケースもあるのではないでしょうか。

この記事では、道路幅員の概要をはじめ、正しい測り方について5つのケース別に解説します。

目次[非表示]

  1. 1.道路幅員とは
  2. 2.【ケース別】道路幅員の正しい測り方
    1. 2.1.①歩道がある道路
    2. 2.2.②側溝がある道路
    3. 2.3.③水路がある道路
    4. 2.4.④法面・法敷の道路
    5. 2.5.⑤道路幅が一定でない道路
  3. 3.まとめ

道路幅員とは

道路幅員とは、道路の幅の広さのことです。車道・歩道・中央帯・植樹帯・路肩なども道路幅員に含まれます。

建築基準法』第43条では、接道義務といって、建物の敷地は4m以上の幅の道路に2m以上接することが定められています。

▼建築基準法 第43条

第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

一 自動車のみの交通の用に供する道路

二 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第十二条の十一の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内の道路

引用元:e-Gov法令検索『建築基準法』第43

▼接道義務

画像引用元:国土交通省『建築基準法制度概要集

4mは、日射・採光・通風などの建築物の環境を確保したり、救急車や消防車などの緊急車両が通ったりするために必要な幅です。

道路の幅員が4m未満の場合は、道路の中心線から2mになるラインまで敷地を後退させて、4mになるように幅員を確保する必要があります。これをセットバックと呼びます。

工務店・ビルダーにおいては、住宅を建築できる敷地の範囲を把握して、容積率を計算するために、道路幅員を正しく計測することが重要です。ただし、接道義務を満たしていても、敷地前の道路幅員が12m未満の場合、指定容積率よりもさらに容積率制限が厳しくなることもあるため注意が必要です。

なお、同法第42条において、一部の特定行政庁が指定する区域では、道路幅員が6m以上に定められているケースもあります。

▼建築基準法 第42条

第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。

引用元:e-Gov法令検索『建築基準法』第42条

接道義務や接道長さについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

 ≫ 【建築基準法の接道義務】接道長さや測り方について解説

(出典:国土交通省『建築基準法制度概要集』/e-Gov法令検索『建築基準法』)

【ケース別】道路幅員の正しい測り方

敷地に面している道路幅員が一定・平面になっている場合は、道路との境界線から水平距離で幅員を計測します。しかし、道路幅員が一定・平面になっていないケースも存在します。

工務店・ビルダーの担当者は、さまざまな道路の状況に応じた正しい計測方法を知っておくことが重要です。


①歩道がある道路

道路に歩道がある場合は、歩道を含めて道路幅員を計測します。

道路幅員には、歩道も含まれており、植樹帯や路肩なども同様です。敷地と歩道の境界線を基準として、水平距離を計測します。


②側溝がある道路

道路の端に側溝がある道路では、側溝も道路幅員に含めて計測する必要があります。

敷地と側溝の境界線と、道路反対側の敷地と側溝の境界線を基準として、水平距離を測定します。蓋がされている側溝の場合も同様です。


③水路がある道路

敷地前の道路に水路がある場合、水路と道路の接続点を基準として、反対側道路の境界線との水平距離を測ります。

ただし、水路幅が1m未満の場合は、道路幅員に含めて計測するケースもあります。また、地下水路で道路とともに管理されているケースでは、道路幅員とすることがあります。

地域によって水路の取扱いに関するルールが異なるため、詳細は各自治体にご確認ください。


④法面・法敷の道路

法面になっている道路や、法敷がある道路では、法面・法敷の部分は道路幅員に含めずに計測します。

法面とは、自然の地形や宅地造成(切土・盛土)などで宅地として使用できない傾斜部分のことを指します。法敷とは、道路を支えている斜面部分のことです。

法面・法敷によって道路に高低差があり、傾斜になっている場合は、傾斜部分を除いた水平距離で道路幅員を測る必要があります。


⑤道路幅が一定でない道路

道路幅が一定でない道路では、接道義務となる2m以上接した位置を基準として、道路中心線に対して垂直になる角度の距離を計測します。敷地に面する道路の幅員が2つある場合は、広いほうを採用します。

ただし、道路幅が一定でない道路といっても、前面道路の太さが均一でなかったり、2本の道路が並走していたり、さまざまなケースがあります。判断が難しい場合は、各自治体に確認することが必要です。

まとめ

この記事では、道路幅員について以下の内容を解説しました。

  • 道路幅員とは
  • 道路幅員の正しい測り方

建築基準法では、建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接することと定められています。

住宅を建築できる敷地の範囲を把握して、設計上の制限やセットバックの要否を確認したり、容積率を計算したりするために、道路幅員を計測することが必要です。

ただし、道路にはいろいろな形状があり、幅が一定かつ平面になっていないケースもあります。判断が難しい場合は、自治体や役所にご確認ください。

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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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