住宅トレンド

新築価格上昇を背景に盛り上がる中古住宅市場、中古億ションも需要拡大?

catch-img

住宅市場では、住宅価格や金利の上昇、実質賃金の停滞などさまざまな要因が重なり、新築住宅を検討中のユーザーが購入を決断しにくい状況が続いています。

その中で、50年という超長期住宅ローンやペアローンの利用など、購入方法の選択肢も増えてきていますが、近年の新設住宅着工戸数の状況を見てみると減少が続いています。このような市況下において、中古住宅を購入の選択肢に入れるユーザーも出てきています。

実際に中古住宅の需要は徐々に拡大しています。築古の建物でもリフォームで理想の空間を実現できることは、テレビや雑誌、SNSなどを通して広まっています。また、時に不安視される中古住宅ですが、耐震性能、断熱性能いずれにおいても、リフォーム工事を通して揺れに強い構造躯体、高い快適性を新築に近い水準までアップできるなど、技術面においても向上してます。

中古住宅を選ぶ人が増えている今、住宅会社としても新築、中古にかかわらず提案できるノウハウを蓄積していきたいところです。

新築住宅減少の裏で…、市場で流通する住宅の4割が既存住宅

一戸建てにおいても、マンションにおいても、新築住宅の価格は今後も上昇する可能性が高いです。その中で、価格優位性のある既存住宅の需要は徐々に高くなっています。

この裏付けとなるのが、国交省が示すデータ「既存住宅の流通シェアの推移」です。新築が減る一方で既存流通は緩やかな増加が続き、2023年の流通シェアは40.4%と、10年前から約10ポイント上昇しました。

そして、既存住宅の中でも、建築年代ということでは2000年以降に建築された住宅の流通が特に増えており、この年代の流通量の約半数に上ります。

この2000年というのは建築基準法改正(いわゆる「2000年基準」)があった年で、木造住宅の耐震安全性に関わる構造が大幅に強化されました。現在は当たり前となった筋交い金物や基礎と土台を結合するホールダウン金物、構造用合板などの活用は、この頃から本格的に進みました。さらにこの年から地盤調査も必須事項となっています。

これにより、エンドユーザーからも2000年以降築の建物は「安心できる耐震性能の目安」として見られるようになってきています。

既存住宅は見える化によって検討しやすい商品へ

既存住宅が選ばれにくかった大きな理由の一つは「分かりにくさ」でしたが、政府はこれまでこの解消に注力してきました。代表的なのが「インスペクション(既存住宅状況調査)」と「既存住宅売買瑕疵保険」です。

国が定めた基準に基づき有資格者が劣化や不具合をチェックする「インスペクション」によって、物件の現状の「見える化」につながります。加えて、「瑕疵保険」は、引き渡し後に雨漏りや構造の不具合といった隠れた欠陥が見つかった場合でも、補修費用がカバーされるため、購入者の心理的ハードルの低減に寄与しています。

こうした制度によって安心して中古住宅を購入できるようになり、これらが昨今の中古住宅流通拡大の要因の一つでもあります。

中古マンションは都心部で億ション増加…、価格が下がる見込みも薄い?

マンション価格の上昇を受け、都心部で当たり前になりつつあるのが中古億ションです。かつては富裕層のためといえるような物件でしたが、東京23区内でファミリー向けのマンションを買おうとするのであれば、中古億ションを視野に入れなくてはいけなくなっています。

都心部中古マンションの価格は、下がりにくい市況が今後も続くでしょう。理由は2つあり、1つ目は日本の不動産の割安性が海外富裕層に知れ渡ったことが挙げられます。

為替の影響はあるものの、今後も一定程度、外国人が買い支える可能性が高いです。比較的注目度の高いエリアは大阪市内です。特に、タワマン上層階に人気が集中しています。

このエリアの中古マンションを取り扱っている事業者によると、梅田・中之島などのエリアでリバービューの物件は特に反響が強く、そして、購入者の半数近くが中華系富裕層を中心とするインバウンドだということです。

今のところ大阪のタワマンは東京の物件よりも割安感があり、かつ利回りの高さから投資目的の顧客からの引き合いも一定数あります。距離の関係もあり、「アジア系の海外旅行客から人気」といわれる大阪ですが、不動産においても類似の潮流が見られます。

そして、マンション価格が下がりにくい理由の2つ目は、新築マンションの動向です。今や開発用地が限られているうえ、建設費も高くなっています。つまり、都心のマーケットは、中古物件が今後もフォーカスされ続けます。需要が見込める分、引き続き都心部中古億ションの価格が下がりにくいとみられます。

●関連コラムはこちら

株式会社住宅産業研究所(JSK)
株式会社住宅産業研究所(JSK)
1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

関連する最新コラム