<新着>「新築」「中古」にこだわらないユーザーが増加中?中古住宅流通は拡大へ
昨今、中古住宅(既存住宅)の需要が拡大傾向にあります。新築住宅にこだわらずとも、中古住宅を購入してユーザー好みのリフォームを実施すれば、理想の住まいを手に入れることができます。
近年はこのような住宅取得方法がスタンダードの1つになりつつあります。新築事業で業績を伸ばしてきた住宅会社としても、新築市場縮小が進む中では中古住宅やリフォームの事業の確立を検討すべき時期が到来しています。
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「新築」派減少進む!「中古」、「こだわらない」エンドユーザーが増加へ
かつての日本人の新築志向は、着実に薄らいでいます。このニーズの変化は、国土交通省が5年ごとに実施している「住生活総合調査」で明らかになっています。
この調査では全国12万世帯を対象にアンケートを実施しており、その中で持家、または借家に居住する世帯に対して、持家への住み替え意向を調べています。住み替えをするなら、新築にするか、中古にするか、そもそも新築と中古にこだわらないかを回答してもらっていますが、この回答状況を経年で見てみると、「中古住宅」の割合が増加傾向にあります。
具体的には、持家の世帯が住み替え先として「中古住宅」を回答したのは2003年時点で2.7%のみでしたが、2013年に13.6%、直近の調査結果である2023年には23.7%まで上昇しています。
一方、「新築住宅」と回答した割合は2003年で75.1%でしたが、2013年には過半数割れ、2023年は43.2%まで減少しています。
そして、「こだわらない」の回答率は2003年で22.2%、20年後の2023年は33.1%でした。借家に居住する世帯についても、持家世帯の回答状況と同様に新築派が減少、中古派が増加という傾向があります。
中古戸建は2025年1月まで21ヶ月連続で成約件数前年超え!中古住宅の流通拡大
レインズでは中古戸建や中古マンションの成約状況を全国ベースで毎月発表していますが、2023年以降これらの件数が増え続けています。
月次ベースでの中古成約件数は、戸建については、2023年5月から直近2025年1月にかけて21ヶ月連続で前年同期を上回って推移しています。マンションについても2023年6月以降、概ねプラス圏を維持しています。
一方、新築住宅は住宅着工統計にて発表されている通り、減少が進んでいます。持家は2024年9月まで30ヶ月以上連続で前年比マイナスが続き、建売住宅についても落ち込んでいます。中古の成約件数と新築住宅着工とでは対照的な状況です。
住宅の取得方法は新築を購入する、リフォーム済みの物件を購入する、もしくは中古を購入して自分好みのリフォームをするなど多様化しています。この市況下では住宅会社にも顧客の予算やニーズに応じて、新築と中古を分け隔てなく提案できる商談スタイルが求められつつあります。一人ひとりに合致するソリューションを提供できるからこそ、顧客としても安心して住まいの相談ができます。
新築と中古、リフォームあらゆるニーズに対応するワンストップサービスを掲げる住宅会社は全国に多々ありますが、それでも顧客から明確な要望が無い限り、多くが新築を前提に商談を進めているはずです。新築、中古にこだわらない顧客が増えている今、住宅会社にも新築志向からの脱却が求められています。
インフレ、金利だけじゃない!中古住宅が選ばれる要因とは
中古住宅が選ばれる要因は複数ありますが、第一になんといっても「価格」です。新築住宅の価格は資材価格や協力業者への外注費などの上昇を受けて、この数年で1割から2割上昇しました。
さらに実質賃金の停滞、住宅ローン金利も上昇局面にあり、高額な住宅ローンを組むことを敬遠するユーザーも増えてきています。この市況下で、経済的負担を軽くしたいエンドユーザーが増えるのは当然で、そのような住宅購入検討者にとっては中古住宅が選択肢に挙がりやすいです。
そして、中古住宅といってもリフォームやリノベーションで素敵な空間を実現できることの認知度も高まってきています。商業分野においても古民家カフェなどは代表的ですが、築古の建物からは新築にない魅力を引き出せます。
また、中古住宅といってもリフォームで断熱性能や耐震性能を向上させることができ、快適性という観点でも新築並みに高めることができます。このような観点からも中古需要は底堅いです。
人の価値観は十人十色!だからこそ中古住宅からビジネスチャンスが生まれる
新築住宅を購入できる年収帯のユーザーにおいても、中古住宅を選択する場合はよくあります。重要なのは、価値基準は人それぞれということです。苦労して稼いだお金を住宅に費やすか、家族のイベントや趣味に費やすか、はたまた投資にまわすか、何を選ぶかは十人十色です。
実際に中古住宅を扱い始めた住宅会社の一部からは、地場の不動産業者との関係性が深まったという声も出てきています。買取件数や仲介件数と比例して業者とコミュニケーションを取る機会も増え、徐々に中古物件だけでなく、土地などの不動産情報が入るようになったとのことです。
中古住宅を切り口にそこから広がるビジネスチャンスもあり、これまで新築事業で培った家づくりのノウハウも活きてくるはずです。
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