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<新着>建設業界で新たに注目を集めているBIM/CIM管理技士資格とは? 概要と取得方法、今後の展望を解説

建設業界で新たに注目を集めているBIM/CIM管理技士資格とは? 概要と取得方法、今後の展望を解説

「BIM/CIM管理技士資格」は、BIM/CIM に関する専門資格です。2015年には国土交通省登録資格に認定されるなど、建設DX時代において特に重要性や注目度が高まっている資格の一つです。

今回は、BIM/CIMの概要を確認したうえで、BIM/CIM管理技士資格を取得するメリットや、資格の取得方法、将来性について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.BIM/CIM管理技士資格とは
    1. 1.1.BIM/CIMが導入された背景
    2. 1.2.BIM/CIMに期待される効果
    3. 1.3.BIM/CIM管理技士資格が国土交通省登録資格へ
  2. 2.BIMとCIMの違い
  3. 3.BIM/CIM管理技士資格を取得するメリット
    1. 3.1.公共工事の受注で優位に立てる
    2. 3.2.人材市場での価値が高まる
    3. 3.3.建設DX推進の舵を取れる
  4. 4.【2025年版】BIM/CIM管理技士資格の取得方法
  5. 5.BIM/CIM管理技士資格の今後の展望

BIM/CIM管理技士資格とは

「BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)」とは、計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入し、建設の工程をスムーズ化する仕組みのことです。

ここでは、BIM/CIMの基本的な意味も含めながら、BIM/CIM管理技士資格の概要について見ていきましょう。

BIM/CIMが導入された背景

BIM/CIMの役割は、端的に言えば「建設生産・管理システムの効率化・高度化」を図ることにあります。従来の建設生産システムでは、主に計画・設計段階において、紙による2次元の図面を用いた情報共有が行われていました。

その結果、「専門外のメンバーが理解するのに時間がかかる」「問題の発見に時間がかかる」「そもそも会議や打ち合わせに足を運べないメンバーには情報共有できない」といった課題が生じていました。一方で、自動車産業などの製造業では、3次元モデルを活用して生産性の向上を成功させてきた事例が数多く存在します。

こうしたなかで、建設業でも3次元モデルを取り入れ、生産性を向上させるべきであるという動きが生まれ、BIM/CIMの導入につながりました。

BIM/CIMに期待される効果

BIM/CIMを取り入れることで、具体的には次のような効果が期待できます。

■BIM/CIMの効果

  • ミスや手戻りの大幅な減少
  • 単純作業の軽減
  • 工程短縮
  • 現場の安全性向上
  • スムーズな情報共有


初期段階から3次元モデルを取り入れれば、誰でも効率的に現状を把握できるため、後工程でのミスが減ります。その結果、手戻りによる損失が軽減され、工程の大幅な短縮につながるのがメリットです。

また、紙媒体を使うことによって生じる単純作業も軽減され、スムーズかつリアルタイムでの情報共有が可能になります。3次元モデルでの立体的なシミュレーションや仮想体験を利用すれば、異なる専門性を持ったメンバー同士も意思疎通が図れるので、チーム間での協力体制も築きやすくなるでしょう。

BIM/CIM管理技士資格が国土交通省登録資格へ

BIM/CIM管理技士資格とは、「BIM/CIM 活用業務の適正な執行を監理する者、業務に関する技術上の事項を処理する者、または業務成果の照査に当たる者に与えられる資格」のことです。BIM/CIMを適切に実行するには、建設に関する知識だけでなく、ITやDXに関する深い知識や、生産性向上・働き方改革への適切な理解が求められます。

また、業務のあり方を抜本的に変えることになるため、建設業における技術者倫理も必要です。これらの横断的な知識と倫理を持った責任者として、位置づけられているのがBIM/CIM管理技士というポジションです。

BIM/CIM管理技士は民間資格ではありますが、2014年度からは「国土交通省登録資格」となっています。国土交通省の登録資格とは、民間資格のなかでも一定水準を超えた技術力を持つと認められた資格のことです。

登録された資格の保有者がいれば、国や地方公共団体の業務を請け負うときにも高く評価されるため、活躍の機会が大きく広がります。

(出典:国土交通省大臣官房 技術調査課『初めてのBIM/CIM』)

BIMとCIMの違い

BIMとCIMは、どちらも構造物を3次元モデル化し、属性情報を加えるという点は共通しています。しかし、取り扱うプロジェクトの種類はそれぞれ異なります。

BIMは主に「建築物」を対象としているのに対し、CIMは道路やダムなどの「社会インフラ」を対象としているのが特徴です。また、BIMは建物自体に着目するのに対し、CIMは地形や地質なども含めたより幅広い情報を対象とするのも違いです。

日本を支える建設インフラの多くは、高度経済成長期前後に整備されており、現在では老朽化が大きな課題となっています。そのため、特にCIMへの重要度は今後ますます高まっていくと考えられています。

BIM/CIM管理技士資格を取得するメリット

ここからは、個人がBIM/CIM管理技士資格を取得するメリットについて、3つのポイントに分けて整理しましょう。

公共工事の受注で優位に立てる

前述のように、BIM/CIM管理技士は国土交通省登録資格の一つです。国土交通省では、国土交通省登録資格の保有者について、公共工事の総合評価落札方式において加点評価するなどの措置を通じて活用を進めています。

そのため、BIM/CIM管理技士を取得すれば、公共工事の落札において優位に立てるのが大きなメリットです。

(出典:国土交通省『新たに13の民間資格を登録します!~「令和6年度 公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」の登録~』)

人材市場での価値が高まる

現在の建設業界では、人手不足や人件費の高騰などにより、生産性の向上が重要課題となっています。BIM/CIMは業務効率化に直結するため、BIM/CIM管理技士の市場価値も大きく高まっているといえるでしょう。

実際のところ、BIM/CIM管理技士の資格保有者は、一般の施工管理技士と比べて給与が高く設定されているケースが見られます。また、BIM/CIM管理技士は、建設コンサルタントやゼネコン、施工管理会社、メーカーといった多様な業種で重宝されます。

そのため、キャリアアップにつながるのも大きな魅力です。

建設DX推進の舵を取れる

BIM/CIM管理技士は、建設DXにおいて、現場と技術をつなぐ重要な推進役となります。たとえば、豊富な実務知識を持つベテラン技術者の経験を、デジタルデータとして吸収し、効果的な活用方法を提案できるポジションです。

企業全体の価値を向上させる役割を担えるため、大きなやりがいや手応えを実感できるのも魅力といえるでしょう。

【2025年版】BIM/CIM管理技士資格の取得方法

BIM/CIM管理技士を名乗るには、公益財団法人日本建設情報技術センターが扱う「BIM/CIM管理技士資格認定試験」に合格し、BIM/CIM管理技士として登録をする必要があります。ここでは、2025年における情報を基に、試験の概要をご紹介します。

■試験の概要

試験方法

CBT方式(試験会場でのコンピュータを利用した試験方式)

試験日

年1回(2025年は7月6日(日))

試験時間

90分

合格基準/問題数

6割以上/全50問

受験料

1万6,500円(税込み)

試験会場

全国約300会場

申込方法

・公式サイトからの手続き
・2025年度は3月24日(月)~5月16日(金)必着

受験資格

以下のいずれか
1.土木技術関係業務の実務経験3年以上
2.指定学科を卒業した学歴+土木技術関係業務の実務経験2年以上
3.一定の専門資格を有すること


2024年までとは仕組みが大きく変更されているので、情報が混同しないように注意しましょう。また、BIM/CIM管理技士の試験には、以下の公式テキストが用意されているので、その内容を十分に理解することが合格への近道です。

■推奨テキスト

  • テキスト名:2025年版 BIM/CIM概論
  • 購入方法:オンラインショップ 建設物価BookStore
  • 価格:5,995円(税込み)
  • 発売日:2025年4月上旬予定


​​​​​​​テキストの内容だけで理解が難しい場合は、BIM/CIMの基本的な操作を学べる講習会や、オンライン学習コースの活用も検討するとよいでしょう。

(出典:公益財団法人日本建設情報技術センター『BIM/CIM管理技士資格認定試験について』)

BIM/CIM管理技士資格の今後の展望

BIM/CIM管理技士は、従来の建築系資格とは異なり、特定の専門分野に特化しているわけではありません。施工管理技士やCADオペレーターと比べても、建設プロジェクト全体を俯瞰できる視点を持った技術者として注目されています。

また、前述のようにBIM/CIMそのものの重要性が高まっている昨今では、BIM/CIM管理技士資格の需要も上昇していくと考えられています。構造物の設計・施工はもちろん、プロジェクトマネジャーや技術営業、発注者支援業務など、幅広い活躍の場が用意されているといえるでしょう。

さらに、近い将来にはより上位の「BIM/CIMマネジャー」という国家資格が創設される予定です。建設DX時代において、BIM/CIMに関する知識と実務経験は、今後ますます必要とされていくでしょう。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:建設業の平均年収はどのくらい?
A:
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、建設業(総合工事業・職別工事業・設備工事業)の平均年収は「548万円」とされています。全産業の平均年収は「460万円」とされているため、産業別で見れば比較的に高い水準にあるといえるでしょう。

Q:建設業界で収入アップを目指すなら何が必要?
A:
まずは地道に実績を積み重ね、企業・個人としての信頼性を構築していく必要があります。そのうえで、適切な資格を取得したり、転職によるキャリアアップを検討したりするのがセオリーです。

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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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