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建築業界で役に立つ資格21選! 資格の内容・メリット・取得倍率を解説

建築業界で役に立つ資格21選! 資格の内容・メリット・取得倍率を解説

建築業界にはさまざまな専門分野があり、数多くの資格が存在しています。資格の取得は、一定以上の知識やスキルを保有していることの客観的な証明となります。

資格が必須の業務も多いため、取得しておけば自身のキャリアを拡大できる武器となるでしょう。今回は建築業界で役立つとされる資格を21種類ピックアップし、それぞれの内容や取得倍率などをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.資格を取得する3つのメリット
    1. 1.1.客観的なスキルの証明になる
    2. 1.2.業務の幅が広がる
    3. 1.3.従業員のモチベーションアップにつながる
  2. 2.建築業界に役に立つ資格21選
    1. 2.1.国家資格15選
    2. 2.2.民間資格6選
  3. 3.資格取得につなげるための勉強方法
    1. 3.1.専門学校に通う場合
    2. 3.2.通信講座で学ぶ場合
    3. 3.3.独学の場合

資格を取得する3つのメリット

まずは、建築業界において資格を取得するメリットを確認しておきましょう。

客観的なスキルの証明になる

まずは、客観的なスキルの証明になるという点にあります。資格を取得するためには、決められた分野に関する知識を学び、認定されるだけの水準に達するまで身につけなければなりません。

また、資格によっては受験要件に一定以上の実務経験や、その他の資格の取得が設定されていることもあります。こうした資格は、知識やスキルだけでなく実務経験の証明にもつながるため、仕事の獲得や就職において大きく有利に働きます。

業務の幅が広がる

建築業界には、資格がなければ携われない業務も数多く存在します。資格が必須とされる業務を担えれば、職場で代えの利かない存在として重宝されたり、取引先から受注できる業務の幅が広がったりと、さまざまなメリットが生まれます。

従業員のモチベーションアップにつながる

資格の取得は、個人の努力が目に見える成果として評価される機会でもあります。企業や組織として、取得を奨励する仕組みを設ければ、従業員のモチベーションアップも期待できるでしょう。

取得に伴って昇給や昇進につなげたり、任せる業務の幅を広げたりすることで、従業員の主体性が引き出されやすくなります。

建築業界に役に立つ資格21選

ここからは、建築業界に役立つ資格について内容や取得のメリット、合格率などを解説します。

なお、合格率については数値がそのまま難易度を示しているわけではないという点に注意が必要です。実務経験が必須とされている資格では、すべての受験者が一定以上のスキル・知識を持っていることが前提とされるため、数値上の合格率は通常よりも高くなります。

そのため、受験要件や試験内容も踏まえてチェックすることが大切です。

国家資格15選

まずは代表的な国家資格についてご紹介します。

■建築士

建築士には1級と2級があり、建築業界では特に重要性の高い資格です。建物の設計と施工、工事監理を行う専門家であり、2級建築士は比較的小規模な建造物、1級建築士はすべての構造・規模・用途の建造物を扱えます。

受験要件

<1級2級ともに実務経験が必要>

  • 1級:四大卒で2年、3年制短大で3年、2年制短大、専門学校で4年、2級建築士は4年
  • 2級:四大卒・短大卒者、高卒は指定科目の修了で3年、学歴なしで7年

試験内容

  • 学科試験:環境や設備、建築法規
  • 設計図面試験:課題に合わせた製

合格率

  • 1級:10%程度
  • 2級:20%程


■木造建築士

木造建築士は小規模かつ2階建てまでの木造建築物を扱える建築士のことです。

受験要件

四大卒・短大卒者、高卒は指定科目の修了で3年、学歴なしで7年

試験内容

  • 学科試験:環境や設備、建築法規
  • 設計図面試験:課題に合わせた製図

合格率

30~40%程度


■建築設備士

建築設備士は、空調や排水、電気といった建築設備にまつわる知識の習得を証明できる資格です。建築士よりも上位にあたる資格であることから、幅広い仕事に役立つとともに、高い専門性を証明できる武器にもなります。

受験要件

所定の教育課程を履修した学卒者、1級建築士等の資格取得者、建築設備の実務経験

試験内容

  • 1次試験(学科):建築一般知識、建築設備、建築法規
  • 2次試験:課題に合わせた製図

合格率

  • 1次:25~30%程度
  • 2次:50%程度


■建設機械施工技士

機械を用いる施工において、施工管理者を担える資格です。1級と2級があり、2級は各機種の運転技術者あるいは一般建設業における現場の主任技術者として施工管理を担当できます。

1級は各種の建設機械を使用する施工において、指導・監督を行える資格です。

受験要件

所定の教育課程を履修した学卒者、1級建築士等の資格取得者、建築設備の実務経験

試験内容

使用機械によって6種類に分類される

合格率

  • 1級:学科試験40%程度、実地試験90%程度
  • 2級:学科試験60%程度、実地試験90%程度


■ボイラー技士

空調や温水ボイラーの操作、点検などの業務を担える資格です。大型商業施設での設備管理やメーカーの工場など、幅広い現場で求められる汎用性の高さがメリットです。

ボイラーの伝熱面積によって特級、1級、2級の3種類の試験があります。

受験要件

  • 2級:要件なし
  • 1級、特級:1つ前の階級の資格取得

試験内容

ボイラーの構造、取扱いに関する知識、燃料および燃料に関する知識、関連する法令の知識

合格率

  • 2級:50%程度
  • 1級:40%程度
  • 特級:25%程度


■技術士

技術分野における高度な技能と実務経験を証明できる資格です。大手ゼネコン、独立建設コンサルタントに加え、公共事業でも求められることから国の機関などでも重宝されるのが特徴です。

受験要件

  • 1次試験:要件なし
  • 2次試験:修得技術者(1次試験合格者あるいは大学等での指定教育課程履修者)が一定の実務経験を得ること

試験内容

  • 1次試験:

  1. 基礎科目:設計・計画、情報・論理、解析、材料・化学・バイオ、

       環境・エネルギー・技術など
  2. 適性科目:技術士法の規定の遵守に関する適性
  3. 専門科目:20技術部門から1部門を選択

  • 2次試験:

  21の技術部門にわたる必須科目および選択科目

合格率

  • 1次試験:30~50%程度
  • 2次試験:10~15%程度


■測量士

測量士には、現場において土地の面積・角度などを測量する「外業」と、測量計画や測量データ分析などを行う「内業」の2つの働き方があり、需要が高いのが特徴です。測量は測量士・測量士補のみが行える独占業務である点も、資格を取得する大きなメリットといえます。

測量士になるには、「測量士補の登録申請を行ったうえで所定の実務経験を積む」「測量士補の登録申請を行ったうえで、登録養成施設で知識・技術を修得する」「測量士試験に合格する」という3パターンのルートを経て、登録申請を行う必要があります。ここでは、測量士試験の内容について見ていきましょう。

受験要件

要件なし

試験内容

  • 試験形式:択一式(午前)、記述式(午後)の2部
  • 試験範囲:水準測量・地形測量・地図編集・地理情報システムなどの計9科目

合格率

10%程度


■施工管理技士

建設業許可を受けた事務所で必要とされる「専任技術者」や「管理技術者」になれる資格です。主な役割は工事計画の作成や安全管理、進行調整などであり、現場における責任者として幅広い活躍が見込めます。

施工管理技士は「建築」「電気工事」「電気通信工事」「土木」「管工事」「造園」などに分かれており、それぞれ1級と2級があります。

受験要件

各級において学歴と実務経験年数による要件あり

試験内容


工事に関する技術的な基礎知識、施工管理法、法規、各分野の専門知識


合格率

  • 1級:30~60%程度
  • 2級:50~70%程度


■解体工事施工技士

解体工事業の登録、および解体工事現場の施工管理などに必要とされる「技術管理者」や「主任技術者」になれる資格です。日本では解体工事の増加や解体対象物の大型化・複雑化が起こっていることから、今後も活躍の機会が多い資格とされています。

受験要件

  • 一定以上の実務経験
  • 大学、4年制専門学校、高度専門士:1年以上(指定学科以外卒の場合は1年6ヶ月以上)
  • 短期大学、2年制・3年制専門学校、5年制高等専門学校:2年以上(指定学科以外卒の場合は3年以上)
  • 高等学校、1年制専門学校:3年以上(指定学科以外卒の場合は4年6ヶ月以上)
  • 学歴なし:8年以上

試験内容

土木、建築の基礎知識、解体工事施工の計画、解体工法、解体用機器、環境保全、関連法規など

合格率

50~60%程度


■消防設備士

消火器やスプリンクラーなどの消防設備について、整備・点検・工事が行える資格です。資格には大きく分けて甲種と乙種の2種類があり、前者は整備・点検・工事のすべて、乙種は整備・点検が行えます。

また、整備・点検・工事の対象により、甲種は特類から第5類、乙種は第1類から第7類に分類されます。

受験要件

  • 乙種:要件なし
  • 甲種:国家資格によるものと学歴によるものの2種類

試験内容


  • 学科試験:法令・基礎的知識、設備の構造・機能・整備
  • 実地試験:記述問題、製図問題、写真を用いた出題


合格率

  • 乙種1類:20%台後半
  • 甲種1類:20%台前半


■電気工事士

住宅からオフィスビル、商業施設などの幅広い電気設備工事を行う際に必要な資格です。第1種と第2種の2種類があり、第2種は一般住宅や600V以下で受電する小規模な店舗・事業所などの工事が対象範囲です。
 
第1種は第2種の範囲に加えて最大電力500KW未満の工場・ビルの施工も行えます。

受験要件

  • 第2種:要件なし
  • 第1種:一定以上の実務経験

試験内容

  • 第2種

  学科試験:電気関係の基礎理論、施工方法、検査方法など全7科目
  技能試験:持参した作業用工具を用いた課題の実施

  • 第1種

  学科試験:電気関係の基礎理論、施工方法、検査方法など全9科目
  技能試験:持参した作業用工具を用いた課題の実施

合格率

  • 第2種:筆記50~60%程度、技能60~70%程度
  • 第1種:筆記40~50%程度、技能60~70%程度


■造園施工管理技士

道路沿いの街路樹の植樹や緑化工事における現場管理、都市公園・緑地公園などの造園や整地工事における現場管理を行える資格です。1級と2級があり、2級は一般建設業における「主任技術者」として、1級は一般建設業に加えて特定建設業における「監理技術者」として働くことができます。

受験要件

各級において学歴と実務経験年数による要件あり

試験内容

工事に関する技術的な基礎知識、施工管理法、法規、各分野の専門知識

合格率

  • 1級:30~40%程度
  • 2級:40~60%程度


■土地家屋調査士

不動産登記のうち、表題部の登記手続きを行える専門家です。表題部の登記手続きは土地家屋調査士にしか認められていない独占業務であり、民間事業だけでなく公共事業の依頼もあるため、安定した活躍が見込めます。

受験要件

要件なし

試験内容

  • 午前:平面測量、作図
  • 午後:不動産登記法、民法、土地・建物に関する知識
  • 口述:15分程度の面接方式による試験

合格率

10%程度


■宅地建物取引士

不動産業界におけるもっともメジャーな資格であり、契約や重要事項説明において複数の独占業務があります。また、不動産会社には5人に1人の割合で宅地建物取引主任者を置かなければならないとされているため、重宝されやすい資格です。

受験要件

要件なし

試験内容

土地の形状、面積、区分、宅建業法、民法など

合格率

10~20%程度


■不動産鑑定士

不動産の正確な価値を算定し、評価する専門職です。相続や売買、企業における会計処理など、さまざまな場面で必要とされる資格でもあります。

受験要件

要件なし

試験内容

  • 短答式:不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論
  • 論文式:民法、経済学、会計学、不動産の鑑定評価に関する理論

合格率

  • 短答式:30%程度
  • 論文式:10~20%程度


民間資格6選

続いて、建設業界で役立つ民間資格をご紹介します。

■建築積算士

設計図書や仕様書に基づいて建築工事に必要な材料や人数を割り出し、具体的な工事費を算出するのが主な業務です。

受験要件

要件なし(満17歳以上)

試験内容

  • ​​​​​​​1次試験:建築に関する基礎知識
  • 2次試験:実務知識に関する問題
    ・短文記述式
    ・実技試験

合格率

  • 1次試験:50~70%程度
  • 2次試験:50~70%程


■福祉住環境コーディネーター

ケアマネジャーなどの専門家と連携を図り、介助・介護の必要に応じて必要な生活環境の提案を行うのが主な役割です。難易度に応じて1級から3級までの等級があります。

受験要件

  • 2級、3級:要件なし
  • 1級:2級の証書番号の提

試験内容

  • 2級、3級:学科試験
  • 1級:学科試験、記述試験

合格率

  • 3級:30~80%程度
  • 2級:30~80%程度
  • 1級:10%程度


■インテリアコーディネーター

快適な住空間をつくるための提案・助言を行う資格であり、内装や家具、照明器具、住宅設備などに関する広範囲な知識を身につけられます。

受験要件
要件なし
試験内容
  • 1次試験:学科・筆記
  • 2次試験:プレゼンテーション・論文
合格率
  • 1次試験:30%程度
  • 2次試験:60%程度


■インテリアプランナー

インテリアに関するお客さまの要望を理解し、トータルコーディネートを行う職業です。資格を取得すれば、建築士と共通する部分を備えつつ、専門的かつ高度な知識・技能を有する者として証明されます。

試験には学科試験と設計製図試験があり、学科試験のみの合格者には「アソシエイト・インテリアプランナー」が、両方の合格者には「インテリアプランナー」の称号が与えられます。

受験要件
  • 学科試験:要件なし
  • 設計製図試験:学科試験合格者、アソシエイト・インテリアプランナー、建築士
試験内容
  • 学科試験:インテリア計画、インテリア装備、インテリア施工、建築一般
  • 設計製図試験:展開図、仕上げ表、家具表など
合格率

20~30%程度


■CAD利用技術者

CADシステムに関する一定の知識や技能があることを証明するための資格です。扱うCADの種類によって3次元CAD、2次元CADの2つに分かれており、それぞれ1級・準1級・2級、1級・2級・基礎の3等級が設けられています。

受験要件
  • 2級、基礎:要件なし
  • 1級、準1級:2級合格
試験内容

CADに関する基礎知識と実務知識、パーツモデリング・組み立てなど

合格率

年度によってバラつきあり


■コンクリート診断士

コンクリートの点検・診断などを行える資格です。工場や建設現場など、コンクリートが用いられるさまざまな現場で活用される機会があります。

受験要件

コンクリート診断士講習会の受講に加えて以下のいずれか

  • 該当資格の保有
  • 学歴に応じた実務経験
試験内容

コンクリートの性質、調査方法、補修・補強、技術及び基準の変遷などに関する択一式問題と記述式問題

合格率

10~20%程度


資格取得につなげるための勉強方法

資格取得のための勉強方法には、「専門学校に通う」「通信講座で学ぶ」「独学」の3つの選択肢があります。それぞれの勉強方法を解説します。


専門学校に通う場合

専門学校の場合は、合理的なカリキュラムに沿って学習できるため、知識の習得がスムーズです。分からない点もすぐに質問でき学びの効率性が高い半面、授業料や入学金、交通費、移動時間などのコストがかかる点はデメリットです。


通信講座で学ぶ場合

通信講座のメリットは、場所や時間に制限されず、どこででも自分のペースで学習できる点にあります。効率的に学習できるテキストや動画教材が用意されているのも魅力といえるでしょう。

一方、授業料などの費用がかかる点と、教室に通うことで得られる強制力が働かない点はデメリットです。


独学の場合

独学の場合は、コストを抑えられるのがもっとも大きなメリットであり、自分に合ったペースで学習できるのも利点です。

ただし、テキストを自分で選定し、勉強の習慣も自力で身につけなければならないため、その他の方法以上に自己管理能力が問われます。資格の難易度によっては、遠回りになってしまう可能性もあるので、試験の内容やレベルに応じて最適な方法を見極めましょう。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:建築業界で役に立つ国家資格は?
A:
代表的なものとしては、建築士、木造建築士、建築設備士、建設機械施工技士、ボイラー技士、技術士、測量士、施工管理技士、解体工事施工技士、消防設備士、電気工事士、造園施工管理技士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、不動産鑑定士などが挙げられます。

Q:建築業界で役に立つ民間資格は?
A:
代表的なものとしては、建築積算士、福祉住環境コーディネーター、インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、CAD利用技術者、コンクリート診断士などが挙げられます。


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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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