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新築住宅インフレ下で中古戸建の需要さらに拡大?買取再販業者のホンネ

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この数年、新設住宅着工戸数は減少が続いています。単純に人口、若者が減っているから、ということでなく、複数の要因があります。1つ目は住宅価格の上昇。世界的なインフレを背景に建築資材の価格はもちろん、職人の発注コスト、自社の人件費なども上昇傾向にあります。高い住宅性能が求められているようになった今、建物の仕様変更で価格を下げるのも困難です。加えて、エンドユーザーについては実質賃金の停滞、住宅ローン金利の上昇なども影響しています。新築住宅の購入を検討し始めたユーザーが、資金計画の段階で諦めるというケースも少なくありません。新築を諦めたユーザーにとって、次の選択肢になりやすいのが中古住宅です。

1.新「住生活基本計画」発表、中古住宅の利用促進へ

不動産流通機構(レインズ)が公表しているデータによると、中古住宅の流通が増えていることが分かります。2025年度の全国の成約件数は、中古戸建が66,934件で、前年比20.6%プラス、中古マンションが90,951件で同比16.9%プラス。この数値は経年で見ても伸び続けていましたが、2025年度はさらに大きく跳ね上がりました。新築嗜好と言われてきた日本ですが、中古住宅は既にユーザーにとっての選択肢の一つとなっています。

政府は、中古住宅の利用促進の方向性を明確に打ち出しています。2026年3月に閣議決定された新たな住生活基本計画(2026〜2035年度)では、「既存住宅」がキーワードの一つに掲げられ、リフォームや買取再販、賃貸住宅化などを通じた流通促進が明記されました。空き家なども含めて、若年、子育て世帯向けに活用する方針が示されています。さらに、リフォームによる価値向上を市場で適切に評価する仕組みの構築も今後検討が進むものと見られ、このような政策も中古住宅市場の拡大を後押しする要因となりそうです。

最近では「アフォーダブル住宅」という言葉を目にする機会が増えました。「アフォーダブル」とは「値ごろ感」とも訳されますが、東京都などが安価な家賃で住むことができる住宅の整備を進めています。この多くは中古住宅をリフォームした物件が中心です。

2.中古買取は「仕入れ」が成功のカギ、「空き家」も選択肢

中古買取再販の市場は近年、着実に拡大しています。この事業で最も重要なことの1つは「仕入れ」です。利用可能な物件をいかに安く取得できるかがカギとなります。仕入れ対象としては「空き家」も選択肢となります。全国に約900万戸あるとされる空き家の中には、再活用できる物件も一定数あります。価格を抑えて取得できる可能性が高く、買取再販事業との相性は良いです。

空き家がメインの買取業者の中には、仕入れという観点で今後の空き家の増加をビジネスチャンスと捉えるところもあります。空き家オーナーになるきっかけの多くは、親の自宅を相続です。そして、誰も住んでいない住宅を受け継いだものの、対応に苦慮するオーナーが増えています。そうした人々にとっての相談窓口になることで、物件情報も自然と集まりやすくなります。このような取り組みが仕入れにつながっていきます。

物件を買い取った後のリフォームですが、このプランニング内容は慎重に検討したいです。例えば、リフォームにこだわり過ぎると、販売価格が高くなって需要とミスマッチを起こすことがあります。もちろんエリア特性を見極めて大胆なリノベーションで付加価値を付けるのも戦略の1つです。ただ、これは抜群な好立地といったような条件付きの戦略です。買取再販のセオリーは華美なリフォームをしないまでも清潔感のある内装、外装に遣り替え、新築住宅よりも圧倒的に安く販売することです。中古住宅を検討中のユーザーの多くは、価格を最優先事項に置いているケースが多いです。

また、買取再販を含め、中古住宅を扱うビジネスは強みもあります。今年の中東情勢でその一端が垣間見えましたが、建築資材の調達が滞ったとしても新築事業ほど影響が大きくありません。当たり前ですが、すでに建物として存在しているため、最小限のリフォームに留めてそのまま販売するという選択肢も取れるため、不測の事態が生じても対応しやすい。家全体がリフォームされていなくても問題ない、というユーザーが一定数いるのも事実です。

新築事業を手がける住宅会社にとって、買取再販はこれまで培ってきた提案力や施工力を活かせる事業の1つです。また、中古住宅を求める顧客属性は子育て世帯や子育てが終わった夫婦、シングルなど幅広く、顧客層のすそ野を広げることにもつながります。買取再販など中古住宅を扱うビジネス領域は今後ますます重要な戦略テーマになっていくはずです。

株式会社住宅産業研究所(JSK)
株式会社住宅産業研究所(JSK)
1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

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