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第5回【工務店の会社案内デザイン】「施工事例集」から「会社案内」へ。次なるステップでファンをつくる

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これまで4回にわたって「資料請求のカタログは施工事例集がおすすめ」ということを長々と書いてまいりました。今回は、「会社案内」について考察してきたいと思います。

まずは、お施主様の脳内プロセスを想像しましょう。

「この施工事例いいな、素敵だな」
       ↓
「どんな会社がつくっているんだろう?」

この段階でお施主様が知りたいのはどんなことでしょうか。「工務店側が伝えたいこと」ではなく「お施主様が知りたいこと」に応えることを優先したらいいのでは、という視点で考えてみます。

目次[非表示]

  1. 1.どんな家づくりをしているのか知りたい!「思い」「コンセプト」
  2. 2.どんな人がいるのか知りたい!「スタッフ」
  3. 3.どこまで手伝ってくれるのか知りたい!「対応可能サービス」
  4. 4.次になにをすればいいのか知りたい!「アクション動線」
  5. 5.詳細はホームページで。カタログは一覧性重視で情報を厳選
  6. 6.その他に掲載すべき情報は?
  7. 7.ちょっとしたまとめ

どんな家づくりをしているのか知りたい!
「思い」「コンセプト」

お施主様はまず、工務店の家づくりに対しての「思い」に共感できるかを確認します。そこが合わないようなら縁がないだけ。ここは相性ですから、無理にどうこうできることではありませんので、誰におもねることなく正直にお伝えしましょう。

その際、どんな家づくりをしているのか、ということを「コンセプト」として端的に盛り込むと、家づくりの方向性がつかみやすく、お施主様にとってわかりやすいと思います。

■「思い」「コンセプト」の例

A:住宅性能の高さをダイレクトに訴求
20年・30年先も変わらない「安心」を届けたい

ご家族にとって住まいは、末永くずっと暮らしてゆく器。
だからこそ、強く長持ちする構造がたいせつだと考えます。
木造軸組に構造パネルを加えて実現した高耐震性能。
外張り断熱+樹脂サッシで叶えた高断熱性能。
構造計算や気密測定で性能を数値で証明し、
20年・30年先も変わらない「安心」を届けてまいります。

B:家族向きのプランをわかりやすく訴求
家族が集まるリビング中心の家

間仕切りをできるだけつくらない大きなリビングなら、
家族みんなが集合してても、思い思いに寛げます。
階段もスタディカウンターもワークスペースも、
リビングの中にあれば一緒の時間が楽しいものに。
リビングを中心に、家族の間取りを考えてみませんか?

C:自然素材の家をシンプルに訴求
木の香りに包まれる、自然素材の住まい

玄関を入るとふわっと漂ってくる木の香り。
一年中、裸足でいられる無垢のフローリング。
体に害のない自然素材の塗り壁やクロス。
ご家族がいつもナチュラルにいられる。
そんなぬくもりの住まいを提案しています。

D:ライフスタイル重視を施主目線で訴求
毎日が私のペース。いつも自然体いられる幸せ

夜、帰ったら、玄関でコートも鞄も置いて
部屋着に着替えたらリビングでリラックス
今日はコーヒー?ビールにしようか
手に入れたのは、無理をしないライフスタイル
明日の朝、窓辺のグリーンに水をあげなきゃ

どんな人がいるのか知りたい!「スタッフ」

スタッフとの相性はやはり、依頼の決め手で常に上位にくる重要ポイントです。写真はできればプロカメラマンに撮ってもらいたいところです。表情は必ず笑顔で。力まずにリラックスした雰囲気で撮れるといいですね。

写真に加えて、役割と名前、コメントも添えましょう。コメントは短くてもいいのですが、その人ならでは言えることをいれたいですね。そのほうが雰囲気が伝わりますし、複数のスタッフを掲載したときにコメントがかぶらないのもメリット。読んでいるほうは人柄が想像できておもしろいですし、共感ポイントになるかもしれません。

■ざっくりしたコメント例

  • 「何でもご相談ください!」
  • 「女性ならではの提案を心掛けています!」
  • 「初めての家づくりはわからないことだらけだと思います。お客様に寄り添いながら進めていきますので、ご安心ください」

■その人ならではのコメント例

  • 「住宅ローンや税金のことは私におまかせください!」
  • 「専業主婦から復帰した二児の母ですので、家事ラク提案が得意です!」
  • 「大工出身の現場監督です。現場見学歓迎。施工でわからないことは何でも聞いてください。全部その場でお答えします」

職人気質の工務店さまなら「職歴」を載せてもよさそうです。確かな施工をしてくれそうだなと感じられます。ガレージハウスやアウトドアなどの趣味系の家づくりを推している工務店さまなら、スタッフの「趣味(休日の過ごし方)」などを載せてもいいかもしれません。お施主様が同じ趣味なら、お会いしたときに話が盛り上がるでしょう。

■職歴の例

  • 大工歴25年のベテラン棟梁
  • 住設ひとすじ15年の水道屋

■趣味の例

  • アメ車(休日はドライブかガレージに籠ってメンテナンス)
  • 庭の芝刈り(休日はガーデニング。パンジー好き)
  • サーフィン(ほぼ毎朝と毎休日やってます)

どこまで手伝ってくれるのか知りたい!「対応可能サービス」

家づくりは建物を建築すれば終わり、ではありませんよね。お施主様にとっては、考えなければいけないこと、やらねばならぬことがいっぱい。土地がない方なら、不動産会社ともやりとりしなければならないですし、住宅ローンを組むなら銀行とのやり取りもしなくてはいけません。

さらに、外構工事はどうするのか、地域の補助金に該当するのかなど、もうてんやわんやです。そのためお施主様にとっては、建築以外のことにどこまで対応してくれるのか、ということは知りたい情報です。

■対応可能サービスの例

  • 土地探し
  • 資金計画
  • 外構工事
  • 施主支給
  • 各種申請代行

次になにをすればいいのか知りたい!「アクション動線」

施工事例が気に入って、会社の思いやサービスにも納得。ここまで来て、「いい感じの工務店だなぁ」って思ってもらえたら、問合せ一歩手前ですね。それでは、次はどうしたらいいのか、お施主様にお知らせして差し上げましょう。

こういう場合、家づくりの流れを順を追って掲載する方法がありますね。問合せ~ご相談~プランニング~見積もり...、などといった具合の。たいせつな情報といえますが、これは問合せ後、相談した後の話。ちょっとまだ早いかもしれません。お施主様が資料請求のカタログを見ている段階は、問合せの前。

したがって、そこまで詳しくその後の流れを網羅せずに、今このすぐ後、次になにをすればいいのか、のみに絞ってお知らせしてはいかがでしょうか。次なる行動を指し示すインフォメーションサイン。

すなわち、アクション動線をつくるわけです。ここはそんなに悩む必要はありません。相談会や見学会などのイベント情報をわかりやすく掲載しましょう。もし、こうしたイベントを行っていない場合は、今すぐぜひ行ってください。

お施主様はお題目が無いと行く理由付けができないので「電話するのもなんだし、ま、いいか」と腰が重くなってしまいます。お題目がないなかでいきなり問合せて相談に行く、というのはハードルが高いのです。

■アクション動線(イベント)の例

無料相談会
└プランのこと、性能のこと、お金のこと、まとめて相談!
完成見学会
└完成したばかりの住まいを隅から隅まで見学できる!
オーナー宅見学会
└オーナー在住のお宅に訪問してリアルな話が聞ける!
モデルハウス
└プランのアイデアづくりに、建材や設備の参考に最適!


直近の日程が決まっている場合は、そのチラシを同封しましょう。そうすれば「ちょうど来月やるんだ。それなら」とさらに理由付けになります。また、相談会の場合は特に日程を区切ってというより、随時予約制で対応している工務店さまも多いと思います。

それでももちろんいいのですが、ここはお施主様が行ってみようかなと思ってもらう理由付けのために、あえて日程を決めるのがおすすめです。工務店さまのほうでやることはいつもと同じ相談会の内容です。ですが、日程とタイトルを付けるだけで、見ているほうからは特別感や限定感が出て、いってみたくなる気持ちが高まります。

■例

<いつもの訴求>
無料相談会 随時受付(9:00~17:00)

予約制で一組ずつ対応いたします


​​​​​​​これを↓
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<日程とタイトルを付けた訴求>
3/1(土)2(日)開催
自由設計の“間取りってどこまで自由なの?”無料相談会
一日4組限定
9:00 / 10:30 / 13:00 / 14:30
※一回に付き一組ずつ対応いたします
※一回の所要時間は約1時間です


詳細はホームページで。カタログは一覧性重視で情報を厳選

資料請求のカタログは、開いて見た時の一覧性がたいせつです。紙幅は限られていますので、情報を厳選して見やすく整理しましょう。その時にたいせつなのが「全部載せようとしない」ということ。情報を整理していると「この説明じゃ足りないのではないか」「これも載せておいたほうがいいのではないか」など、あれもこれもと増えていくことがよくあります。

ですが、全部載せたらごちゃごちゃした紙面になってしまい、文字文字して見る気がなくなってしまうかもしれません。それでは本末転倒です。なので、そういったことはすべてホームページに掲載しましょう。

ホームページなら紙幅の制限がありませんので、長い文章もたくさんの写真も問題ありません。言うなれば、ホームページが本隊で、会社案内は先遣隊。分担して考えることで、それぞれの役割が明確になります。資料請求をしたということはホームページも見るでしょうから、ホームページのほうに細かい情報を満載にしておけば補填できます。

会社案内は、夫婦間や親子間で一緒に回覧することもあるでしょう。そういうシーンも想像して、情報を絞って整理し、各ページの見開きで見やすい資料となるようにするのがおすすめです。

その他に掲載すべき情報は?

その他に、会社案内に掲載すべき情報はどのようなものがあるでしょうか。少しだけピックアップして考えてみます。

■会社概要
ホームページに詳しく掲載されているなら、会社案内には最低限の情報でいいと思います。例えば、会社名、住所、問合せ電話番号、HPのQRコードまたは検索ワード。

■沿革
歴史のある工務店さまなら、創業から何に携わってきてどのような歩みで現在にいたるのかを掲載してもよさそうです。地元で長くやってきたということは、地元から信頼されてきた、という証ですから。

■住宅以外の実績
店舗やオフィスなど、時代のニーズが強く求められる設計・デザインに携わってきたのであれば、訴求することでデザイン力がアピールできそうです。

■社長インタビュー記事
社長がすべてのお施主様に対応する工務店さまの場合、さらに社長のカラーこそが集客の要となっている工務店さまの場合、社長を前面に押し出してアピールするのは、超おすすめです。お施主様にとっては、どんな人が対応してくれるのかが事前にわかって安心ですし、あらかじめ相性の判断ができるので安心です。

ちょっとしたまとめ

さて、今回は「会社案内」について考察していきましたが、ポイントは「お施主様の知りたいこと」に応えるということ。工務店側の言いたいことをまとめる資料ではない、ということを一つ、頭の片隅に置いていただければ幸いです。

お施主様にとって、自分が知りたいことに応えてくれた工務店なら、まずは検討のテーブルに乗せるのではないでしょうか。そして、「施工事例集」で見たデザインや住宅性能、会社の思いやスタッフ、対応可能サービスなどなど、様々な要素を総合的に判断して、次のアクションを考えることでしょう。

と、ここでちょっと立ち戻って、考えてみてください。そもそも初めは、お施主様にとって知らない工務店でした。

知らない工務店だけどなんか気になる

  

資料請求をしてみるか

  

へぇ、けっこういい感じの会社じゃん

  

HP見てみるか

  

なるほど、一度相談してみるか
実際の家は見られないのかな?

それが、「相談しようか」「見学会に行こうか」を迷われるまでになってる!これこそが、資料請求カタログの役割です。

お施主様にとっては、多くの工務店の中から検討すべき工務店を選抜するツール。工務店さまにとっては、最終選考に残るかどうかが決する資料。だからこそ、ちゃんとお施主様のことを考えて作らなければ、つながらないのです。

資料請求カタログは、工務店さまの実力を形にし、印象や姿勢を表す、はじめの一歩。未来のファン(将来ご契約のお施主様!)に向けた、はじまりのレターです。地域の工務店さまであればこそ、家づくりと同じように、カタログづくりにも熱意を注いでほしいと思っています。

さて、というわけで、今回のタイトルは、【工務店の会社案内デザイン】「施工事例集」から「会社案内」へ。次なるステップでファンをつくる

でした。

現場で感じてきたことをベースに考察してきましたが、少しでも工務店のみなさまのお役に立てば幸いでございます。

それではまた次回、お会いしましょう。

次回のテーマ(予定)
第6回​​​​​​​【工務店のイベントとお知らせのアイデア】相談会・見学会・モデルハウスなどのイベントは「シンプルに継続」がカギ


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株式会社アドクロ 鶴田 二郎
株式会社アドクロ 鶴田 二郎
工務店とリフォーム会社に特化して活動するクリエイティブディレクター。カタログ・パンフレットをはじめ、雑誌の記事や純広など、広報・広告ツール制作の全工程に携わる。“GENBA-NIN”(※)を自称し、現場目線をたいせつにしたものづくりにこだわる。※GENBA-NIN は株式会社アドクロによる造語です

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