住宅営業ノウハウ

来場率や成約率に課題を感じている方へ。目指すべき指標とチェックポイントについて解説

営業成果を向上させるためには、住宅展示場やイベントなどへの「来場率」「成約率」に目を向けることが大切です。インターネットを用いた非対面型の営業スタイルも普及しているとはいえ、実際に対面してコミュニケーションを図れる機会は依然として重要性を持っています。

今回は来場率や成約率の向上を目指すうえで、住宅建築会社がどのような点を意識すればよいのか、具体的なポイントをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.まずは自社の現状を知ることが重要!
    1. 1.1.顧客データの収集状況をチェックする
    2. 1.2.情報共有のシステムを整える
  2. 2.目指すべき指標とは?
    1. 2.1.住宅業界における指標の目安
    2. 2.2.具体的な考え方
  3. 3.自社の追客体制を見直す
  4. 4.今後の住宅業界は「育客」がカギ!
    1. 4.1.育客の体制を整える
    2. 4.2.ITツールや外注による効率化を図る
  5. 5.現状と課題を把握して改善につなげよう
  6. 6.この記事を監修した人
    1. 6.1.三輪 歩己

まずは自社の現状を知ることが重要!

住宅業界に限らず、集客率の向上を考えるうえでは、まず自社が置かれている現状を正確に把握することが大切です。ここでは、来場率の改善に向けて、マーケティングの観点から優先的に確認すべきポイントについて見ていきましょう。

顧客データの収集状況をチェックする

まずは、集客につながる基本的なデータの収集が行えているかを確認しましょう。具体的な項目としては、問合せ数、接触数、接触率、アポ率、来場率、成約率などが挙げられます。

マーケティングにおいては、顧客の状況を正しく理解することが第一歩であり、効率的な施策を生み出す土台となります。たとえば、問合せ数が多いにもかかわらず来場率が思わしくない場合は、その間のプロセスに改善の余地があると判断できるでしょう。

このケースでは、問合せ数の増加ばかりに注力するのではなく、接触率やアポ率の向上に力を入れるほうが効率的です。

情報共有のシステムを整える

住宅営業においては、顧客と担当者が直接関わる機会が多いため、顧客データなどを一部の営業担当者だけが把握しているといったケースも少なくありません。この状態が続けば、業務が属人化してしまい、「欠員が出たときに対応できない」「データを有効活用できない」といった状態に陥ります。

そこで、必要に応じて顧客管理システムなどの導入も検討し、情報管理の一元化とスムーズな情報共有の仕組みを実現することが大切です。たとえば、顧客への対応履歴がスタッフ間できちんと共有されていれば、全体としてのサービスの質を改善することにつながります。

接客の成功パターンと失敗パターンが自然に蓄積されていくため、1人ひとりの顧客に合わせた対応が可能となり、トラブルがあったときにも慌てずに対処できるようになるのです。

目指すべき指標とは?

来場率や成約率の向上を考えるうえでは、具体的にどのような指標を目指すべきなのでしょうか。ここでは、考え方の例も含めてご紹介します。

住宅業界における指標の目安

住宅業界においては、長らく成約率の目安は10%前後とされてきました。10組の新規顧客を獲得したら、そのうち1組が具体的な契約につながるという計算です。

しかし、新規顧客数が減少している現在では、13~15%程度の成約率を達成しなければ、従来と同じような利益を維持するのが難しいともいえるでしょう。そのうえで、流入経路によっても成約率は大きく変化します。

家を建てたOB顧客などからの紹介であれば、個人の信頼関係に基づくルートであるため、成約率は通常よりも上がることが期待できるでしょう。紹介による顧客獲得数が増えるのが理想ではありますが、この方法では施策が効果に反映されにくく、母数を広げることも難しいといえます。そこで企業としては、「資料請求からの母数」を増加させることに注力するのが効率的と判断できるでしょう。

具体的な考え方

前述のように、来場率をアップさせるには、まず資料請求の母数を増加させたうえで、接触率、アポ率を高めていくことが大切となります。こうした考えに基づいて目標設定を行うと、具体的には次のようなモデルケースを構築することができます。

例)毎月約3件の来場数を目指す場合

  • 問合せ数:100件
  • 接触率:60%
  • アポ率:10%
  • 来場率:50%


そして、設定目標に対して、問合せ数が十分である場合は、接触率とアポ率をアップさせる施策を講じるなど、現状に合わせた達成目標を決めることが大切です。

自社の追客体制を見直す

来場率を改善するためには、新規顧客の母数を広げるとともに、追客体制を整えることも大切です。追客とは、自社に問合せなどのアクションを起こした顧客に対してアプローチを行い、成約へとつなげるプロセスのことです。

追客においては、「タイミング」が重要なポイントとなります。単に接触回数を増やそうとするのではなく、顧客が情報を求めているタイミングを逃さずにアプローチをすることで、スムーズに魅力を訴求できるのです。

そのためには、機を逃さないために組織の体制を整えておく必要があります。具体的には次のようなポイントに目を向けるとよいでしょう。

  • 問合せに対してすぐに接触できる体制になっているか
  • 人員振り分けの効率が悪くないか
  • 資料をすぐに送付できているか
  • 分厚いだけで見づらい資料になっていないか
  • 初回対応3日後以降、定期的な接触ができているか
  • メール・SMS・電話などで情報提供し続けることができているか


また、単に見直しを行うだけでなく、どれくらい改善されているかもチェックすることが大切です。そのためには、前述のように顧客管理システムの導入なども検討して、データの収集・分析を効率化するのが効果的です。

今後の住宅業界は「育客」がカギ!

来場率が高い会社は、新規顧客の獲得だけでなく、「育客」にも注力しているのが特徴です。育客とは、見込み客(リード)を購入・契約へと導くための取組みです。

マーケティング業界では「リードナーチャリング」とも呼ばれており、見込み客と良質な関係を築いて、自社の商品・サービスについて適切に理解してもらうためのプロセスを指します。

ここでは、育客のために取り組むべき施策について見ていきましょう。

育客の体制を整える

見込み客を育てていくためには、できるだけ個別化した対応を実現することが大切です。一斉メールのようなアプローチよりも、一人ひとりの顧客に適したアプローチを行うほうが、当然ながら興味や関心は引きつけやすくなります。

そのためには、効率的に育客が行える体制を整える必要があります。たとえば初回対応は事務によるアプローチ、定期追客はインサイドセールス、トスアップ後は営業担当が手厚くフォローするなどのように、階層別にアプローチのレベルを調整すると効率的に質を向上させられます。

ITツールや外注による効率化を図る

個別化した育客を実現するには、多くの労力が必要となります。既存の顧客対応なども踏まえると、営業担当だけできめ細かな育客を行うのはあまり現実的ではないでしょう。

そこで重要となるのが、ITツールや外注による営業活動の効率化です。自社に合ったMAツールを導入することで、顧客データの収集管理や施策の打ち出し、部門を超えた情報共有が可能となります。

また、育客を専門に行う外部の企業に委託すれば、自社の従業員をその他の業務に注力させることもできます。顧客を相手にする営業活動では、どうしても効率化できない部分があるのも確かです。

特に住宅の購入という大きな決断を促すには、最後は豊富な経験を積んだ営業担当者による熱意や後押しが必要な場面も多いでしょう。こうした業務に人材を注力するうえでも、ITツールや外部サービスの活用は有効な手段となり得ます。

現状と課題を把握して改善につなげよう

来場率や成約率に課題を感じている場合は、何となく場当たり的に問題点を探るよりも、データを通して現状を把握するほうが近道です。まずは、現状の顧客データと参考となる指標とを比較して、改善すべき部分を整理してみましょう。

そのうえで、社内体制の見直しを行い、必要に応じて新たなツールやサービスを導入
することで改善を目指すのが効果的です。


●記事のおさらい

最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:住宅会社が目指すべき成約率はどのくらい?
A:
かつては成約率10%程度が目安とされていましたが、新規顧客数が減少している現代では、13~15%程度の数値はクリアすることが望ましいといえます。そのためには、資料請求を通じた来場客数の向上がカギと考えられます。

Q:住宅業界の集客で大事なポイントは?
A:
今後の住宅業界においては、見込み客を育てる「育客」の考え方が重要となります。見込み客一人ひとりに合わせて、きめ細かな育客を行える社内体制を構築することで、来場率や成約率の改善が期待できます。


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この記事を監修した人

三輪 歩己

不動産鑑定士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、 相続診断士、J-REC公認不動産コンサルタント

名古屋市立大学薬学部卒。 大学在学中に不動産鑑定士2次試験合格。日本土地建物株式会社にて、 不動産鑑定や不動産証券化業務に従事。その後外資系不動産ファンド等にて 物件購入・管理・経営企画等業務に従事。約20年間の鑑定・宅地建物取引業の 経験を活かし、2020年に不動産パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。 同社では、不動産鑑定業・宅地建物取引業に加え、不動産専門の相続診断士として 活動を行う。

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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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