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【工務店の新人営業担当者必見】主な仕事内容、営業のコツやクレーム対応を徹底解説

【工務店の新人営業担当者必見】主な仕事内容、営業のコツやクレーム対応を徹底解説

初めて工務店の新人営業として働く人にとっては、そもそもどのような業務を任されるのかイメージがつかめず、不安に感じてしまうこともあるでしょう。配属されたばかりのころは、営業担当者としての働き方に加えて建設業界特有のルールも覚える必要があるため、何かと負担を感じやすい時期でもあります。

今回は工務店営業の主な仕事内容や、新入社員がまず覚えなければならないこと、営業のコツと注意点、クレーム対応のポイントなどをまとめてご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.工務店営業の主な仕事内容
    1. 1.1.集客
    2. 1.2.商談・提案・契約
    3. 1.3.施工
    4. 1.4.引き渡し・アフターケア
  2. 2.工務店の新入社員がまず覚えるべきこと
    1. 2.1.社会人としてのマナー・礼儀
    2. 2.2.自社が関連する建築用語
    3. 2.3.自社の特徴や強み・業界内での立ち位置
    4. 2.4.工事の工程・スケジュール
    5. 2.5.寸法・材質に関する知識
  3. 3.工務店の営業を成功させるコツ
    1. 3.1.ヒアリングの精度を高める
    2. 3.2.建築に関する見識を広げる
    3. 3.3.メリット・デメリットの両面をきちんと説明する
    4. 3.4.無理に売り込んで契約を急かさない
    5. 3.5.成約後のフォローを欠かさない
  4. 4.工務店でよくあるクレームの原因と対策
    1. 4.1.原因:支払いの仕組みに対する誤解
    2. 4.2.対策:お金に関する事柄は早い段階で説明する
    3. 4.3.原因:住宅性能に関する誤解
    4. 4.4.対策:わかりやすく丁寧なコミュニケーションを心がける
    5. 4.5.原因:お客さまとの熱意やペースのすれ違い
    6. 4.6.対策:お手本となる上司や先輩を見つける
  5. 5.クレーム対応の手順

工務店営業の主な仕事内容

一口に営業担当といっても、中小の工務店では営業の専任者を置かないケースも多いです。1人でさまざまな業務を兼任することも少なくないため、関連する仕事内容についても把握しておく必要があります。

ここでは、工務店の営業が担う主な仕事内容について見ていきましょう。

集客

集客は営業担当者の重要な業務です。近年はインターネットを経由した集客が主流のため、ホームページの管理や施工事例のピックアップ、SNSの運用なども担うケースがあるでしょう。

商談・提案・契約

工務店の営業では、自社の特徴を活かして、地域に根差したきめ細やかな提案が行えるのが強みです。まずは、来店されたお客さまがどのような住宅を希望しているのかを丁寧にヒアリングし、最適なプランを一緒に検討していきます。

じっくりと打ち合わせを重ねて、予算や土地などの条件も具体化しながら、最終的に施工の契約を結ぶまでが一連の流れです。どのような形で自社の信頼を勝ち取り、契約まで後押しを行えるかが、営業担当者の腕の見せ所ともいえるでしょう。

施工

実際の施工は大工や職人が担いますが、地鎮祭や上棟式の手配、設備の細かな打ち合わせなどには営業担当者も参加することが多くあります。また、一定のスキルや経験を積んだら、資格を取得して現場の施工管理を担当する場合もあるでしょう。

引き渡し・アフターケア

住宅は新築から10年間は保証が義務付けられており、それ以外も工務店独自の保証や点検サービスなどを実施しているケースもあります。引き渡しが終わってからのアフターケアは、営業担当者が行うことが多く、引き渡し後もお客さまとの接点は継続します。

丁寧に関係づくりを行うことで、紹介受注やリピート依頼などの可能性にもつながるので、アフターケアも重要な業務です。

工務店の新入社員がまず覚えるべきこと

新たな環境で働く際には、覚えなければならないことが多岐にわたります。まずは優先順位の高いものから少しずつ学び、着実に身につけていきましょう。

社会人としてのマナー・礼儀

営業担当者はお客さまと直接的にコミュニケーションを図るため、社会人としてのマナー・礼儀をきちんと身につける必要があります。挨拶や会話のマナー、お客さまとの連絡の取り方などは、実務を意識しながら身につけていくとよいでしょう。

自社が関連する建築用語

お客さまとの商談を想定すると、建築に関連する用語はできるだけ理解しておきたいところです。まずは、自社が関連している分野の建築用語を中心に、正しい意味や使い方をおさえておくとよいでしょう。

木造の在来工法を得意とする工務店であれば、在来工法の特徴だけでなく、2×4工法などのその他の工法、木造以外の構造の特徴などにも視野を広げて学んでいくことが大切です。

自社の特徴や強み・業界内での立ち位置

営業担当としてお客さまや取引先を話すうえでは、自社の客観的な特徴や強みを把握しておくことも大切です。他社と比べてどのような点を得意としているのかを学ぶことで、集客や商談を行う際の引き出しが増えます。

また、業界や地域内での自社の立ち位置を知っておくと、集客時のターゲット選定などを効果的に行えるようになります。

工事の工程・スケジュール

商談においては、具体的な工事の工程やスケジュールも重要な情報となります。お客さまとしても、希望のプランを実現するのにどれくらいの期間がかかるのか、どのような流れで家づくりが進められていくのかは大切な判断材料となるでしょう。

わかりやすく説明するためには、営業担当者自身も家づくりの流れや目安のスケジュールを把握しておく必要があります。

寸法・材質に関する知識

実際に施工にあたる職人や設計、施工管理者などと比べると、営業担当者にはそこまで深い専門知識は求められません。しかし、実務をこなすうえでは、寸法に関する知識や建材の種類などは最低限おさえておく方がお客さまからの信頼も得られやすいでしょう。

工務店の営業を成功させるコツ

営業は比較的に属人化しやすい業務であり、実務を通じて学んでいく部分が多いのも確かです。そのうえで、スムーズに上達するためには、あらかじめコツを意識して取り組んでいくことも大切です。

ヒアリングの精度を高める

営業を成功させるためにまず必要なのは、「お客さまが何を求めているのか」を的確に把握することです。そのために重要となるのが、徹底したヒアリングです。

お客さまの話を丁寧に聴き、場合によっては話しやすくなるような質問も行いながら、どのような悩みやニーズを持っているのかを探っていく必要があります。特に住宅の場合は、効率性や合理性だけでなく、「想い」や「価値観」「ライフスタイル」も重要な要素です。

ヒアリングの力量によって、お客さまからの信頼性も大きく変化するため、しっかりとコツを学んでいくことが大切です。

建築に関する見識を広げる

お客さまの信頼を得るためには、質問や疑問に対して的確に回答することが重要です。そのためには、建築に関する知識を身につけて、自信を持って話せる状態に整えておく必要があります。

また、工務店は地域密着型で営業を行うため、その地域特有のニーズや事情にも明るくなっておくことも大事です。土地の情報や相場、居住者の傾向などは事前にリサーチしておくとよいでしょう。

メリット・デメリットの両面をきちんと説明する

商談においては、メリットとデメリットの両面を丁寧に伝えるのが理想的です。お客さまからすれば、一つひとつの工法やデザイン、建材などは詳しく知らないものも多いといえます。

メリットだけでなくデメリットもきちんと伝えることで、担当者のアドバイスがお客さまにとって有益な情報となり、信頼を得やすくなるでしょう。

無理に売り込んで契約を急かさない

営業担当者の心理としては、どうしても成約を求めたくなり、焦って売り込みをしてしまいがちです。しかし、少しでもお客さまが「契約を急がされている」と感じてしまうと、そこから信頼を得るのは難しくなってしまうでしょう。

そうなれば、こちらの努力が逆効果になり、せっかくのチャンスを逃すことにもつながりかねません。焦らずに落ち着いた態度で、あくまでもお客さまにじっくりと検討していただくというスタンスを崩さないほうが、成約に結びつきやすくなります。

成約後のフォローを欠かさない

お客さまに安心して施工に臨んでもらうためには、成約後にもきちんとフォローを行うことが大切です。お客さまから見れば、「契約を取って終わり」という営業担当者よりも、「最後まで丁寧に寄り添ってもらえる」担当者の方が当然ながら好印象となります。

その姿勢を通じて会社そのものにも信頼を寄せてもらえれば、知人や友人を新たなお客さまとして紹介してもらえるなどの効果も期待できるでしょう。

工務店でよくあるクレームの原因と対策

新人営業担当者にとって、クレームの発生は大きな不安の種になります。住宅業界はときにクレーム産業と言われるほど、クレームが発生しやすい側面があるのも確かです。

ここでは、よくあるクレームの原因と対策について見ていきましょう。

原因:支払いの仕組みに対する誤解

住宅の施工にかかる費用はやや複雑な仕組みをしているため、お客さまに誤解を与えてしまう可能性も低くありません。特にトラブルにつながりやすいのが、見積もりと実際のコストとの違いです。

打ち合わせの段階では、お客さまのおおまかな要望をもとに「概算見積もり」を出し、そこからプランを煮詰めていきます。細かな間取りや設備、仕様などを固めていくなかで、どうしても「詳細見積もり」(実際の仕様を反映させた見積もり)の方が高くなってしまうこともあるでしょう。このとき、事前に費用の変動がある可能性をお伝えしていなければ、お客さまに不信感を与えてしまうおそれが生じます。

もう一つ、トラブルにつながりやすい要因とされるのが「手付金」です。工事契約を結ぶ前には、前金として「手付金」を受け取って仮契約を結ぶ必要があります。手付金を支払う段階では、まだ住宅ローンの融資が下りていないため、基本的にはお客さまに現金で用意してもらう必要があります。

手付金はあくまで預り金であるため、最終的に工事代金に組み込まれるのが一般的ですが、金額そのものは決して低額ではありません。そのため、事前に説明していなければ、お客さまの信用を損なってしまう可能性があります。

対策:お金に関する事柄は早い段階で説明する

見積もり額の変動の可能性については、やはりできるだけ早い段階でお伝えすることが大切です。たとえば、概算見積もりの段階で「○○の要因によって価格が変動する可能性がございます」や「標準仕様をセレクトした場合の目安予算です」のように明確に説明し、プランが固まったら改めて詳細見積もりを取る旨を伝えておくとよいでしょう。

また、手付金についても費用の目的や仕組みをわかりやすく伝え、誤解を与えないように注意することが大切です。

原因:住宅性能に関する誤解

工務店側とお客さまの間には、どうしても建築に関する知識の差が生じます。そのため、建設業界では常識の範疇として受け入れられている差異が、お客さまには許容できないトラブルとして映ってしまう可能性もあるでしょう。

たとえば、「湿気や乾燥の影響できしみが生じる」「前面道路を車両が通行する際に振動が生じる」といった理由から、欠陥があるのではないかと不安になってしまうケースもあります。また、完成後の住宅と思い描いていたイメージとのギャップによって、クレームにつながってしまうことも起こりうるでしょう。

対策:わかりやすく丁寧なコミュニケーションを心がける

住宅性能については誤解を避けるためにも、なるべく専門用語を使わずにコミュニケーションを図ると伝わりやすくなります。また、トラブルを避けるためには、よくあるクレームの事例を知り、先回りして原因と対策を伝えておくのも一つの方法です。

自社で発生したクレーム事例とその対応については、きちんとデータとして蓄積しておき、再発防止に活用しましょう。

原因:お客さまとの熱意やペースのすれ違い

営業に不慣れなうちは、どうしてもお客さまに対して押し売りのような印象を与えてしまうこともあります。じっくり検討したいお客さまに、契約を急がせることで不快感を与え、クレームにつながってしまうケースもめずらしくありません。

このように、お客さまとの熱意やペースのすれ違いが生じると、契約につながらないばかりか会社そのもののイメージも低下させてしまうおそれがあります。

対策:お手本となる上司や先輩を見つける

日々、多くの商談に臨むなかでは、次第に目の前のお客さまも数ある顧客のうちの1人にすぎないと感じられてしまうこともあります。しかし、お客さまからすれば、家づくりは一生に一度ともいえる重要なライフイベントです。

まずは、この当たり前のように思える違いを改めて見直し、お客さま目線での提案・対応を忘れないようにしましょう。そのためには、社内にお手本となるような上司、先輩を見つけるのが近道といえます。

優れた営業結果を残している先輩や、高い顧客満足度を達成している先輩がいれば、積極的にアドバイスを受けたり、営業に同行させてもらったりするのがおすすめです。身近なお手本に触れるなかで、成長へのきっかけが見つかるでしょう。

クレーム対応の手順

クレームを未然に防ぐことはもちろん大切ですが、二次的なリスクを避けるためには、実際に発生してからの対応にもきちんと目を向けておく必要があります。クレーム対応の基本的な流れは以下のとおりです。

■クレーム対応の基本的な流れ

誠実な挨拶と謝罪

丁寧なヒアリング

事実関係の調査

対応策の検討

改めての謝罪と対応策の提示

結びの言葉を伝える

社内共有、マニュアルへの反映                                               


クレーム対応では、まず誠実な挨拶と謝罪を心がけ、相手の話に真摯に耳を傾けることが第一です。クレームの内容や理由が明確にならないうちは、むやみに口を挟まず、丁寧に内容把握を行いましょう。

内容を把握したら、会社に持ち帰って事実確認を行い、原因や責任の所在・範囲を明確にします。そして、事実を踏まえて対応策を検討し、改めてお客さまへ連絡を入れます。再度謝罪を行ったうえで、自社に責任があった場合はその旨を対応策とともに伝えましょう。その後は結びの言葉を伝えて、信頼の回復に努めます。

クレームの再発を防ぐために、対応完了後に改めて会社に持ち帰り、社内へ共有することが重要です。原因とその内容、対応などをデータとしてまとめたり、マニュアルなどに反映させたりして、同様の事例が再発しないように努めましょう。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:工務店営業はどんな仕事をする?
A:
基本的には契約を受注するための集客や商談がメイン業務です。また、施工や引き渡しのスケジュール調整や引き渡し後のアフターケアなども幅広く担当するケースも多くあります。

Q:工務店の新入社員がまず覚えるべきことは?
A:
まずは社会人としてのマナーや礼儀を身につけるとともに、建設業界特有の用語を覚えていく必要があります。また、「工事の工程・スケジュール」「寸法や工法」「自社の強み・業界内での立ち位置」など、商談で求められることが多い知識も一通り身につけておきましょう。


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 ≫ 【工務店向け】クレーム4つのパターンと対処方法、対策を解説


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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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