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【木造建築士の資格取得】勉強時間の目安と学習のポイントを解説

【木造建築士の資格取得】勉強時間の目安と学習のポイントを解説

建築業界における代表的な資格に建築士があります。建築士には大きく分けて3つの種類があり、それぞれ携われる工事の種類が異なるため、求めるキャリアに合ったものを取得することが大切です。

今回は建築士の一種である「木造建築士」について、資格を取得するメリットやおもな仕事内容、試験の難易度などをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.木造建築士とは?資格を取得するメリット
  2. 2.木造建築士の仕事内容
    1. 2.1.小規模な木造建築物の設計・図面作成
    2. 2.2.お客さまとの打ち合わせ
    3. 2.3.建築確認申請などの行政手続き
    4. 2.4.工事監理
  3. 3.木造建築士の難易度(合格率)は?
    1. 3.1.試験概要
    2. 3.2.合格率は約30~40%程度
    3. 3.3.資格要件
  4. 4.木造建築士試験を受けるための勉強時間の目安
  5. 5.効率的な学習のポイント
    1. 5.1.基礎の習得に力を入れる
    2. 5.2.将来のキャリアパスを踏まえて計画を立てる

木造建築士とは?資格を取得するメリット

木造建築士とは、国家資格である建築士の一種です。名称のとおり、一定範囲の木造建築物の設計や工事監理が行える資格であり、これらは建築士の独占業務とされています。

鉄骨や鉄筋の建築物の設計、工事監理は行えませんが、木造建築物に特化した専門知識や技術を身につけられるのが大きなメリットです。また、神社仏閣などの歴史的建築物の知識なども身につくため、独自性の確立にもつながります。

なお、一級建築士はすべての構造・規模・用途の建築物について設計・工事監理が行えるため、業務範囲から見れば木造建築士は下位互換にあたる資格です。一方、受験要件は一級建築士よりも易しいため、取得のハードルが低い点はメリットです。

木造建築士の仕事内容

木造建築士として働くうえでは、「建物の設計」「打ち合わせ」「行政手続き」「工事監理」がおもな業務となります。ここではそれぞれの具体的な内容について見ていきましょう。

小規模な木造建築物の設計・図面作成

木造建築士の代表的な業務は、小規模な木造建築物の設計・図面作成です。小規模な木造建築物とは、具体的に「2階建てまでの木造建築物で、かつ延べ面積が100平方メートル超300平方メートル以内の建築物」のことを指します。

建築士法によれば、2階建て以下で100平方メートル以下の建築物の設計は、特に資格がなくても行えるとされています。しかし、それ以上の広さの木造建築物を建てる場合は、木造建築士あるいは二級建築士、一級建築士の資格が必要となります。

また、3階建て以上あるいは300平方メートル超の木造建築物を建てるには、二級建築士か一級建築士の資格が必要です。そのため、木造建築士としては300平方メートル以下の小規模木造建築物の設計・図面作成がおもな業務といえるでしょう。

お客さまとの打ち合わせ

お客さまとの打ち合わせは、建築士としての重要な業務の一つです。クライアントがどのような悩み、要望を抱えているのかを丁寧に把握し、専門家の視点からプランに落とし込んでいくという役割が求められます。

建築確認申請などの行政手続き

工事にあたって必要となる書類の作成や行政手続きなども、建築士の大事な業務となります。事務作業の種類は多く、建築確認申請や道路使用許可申請、契約書の監修、建築物に関する調査や鑑定などの多岐にわたります。

工事監理

工事監理とは、設計図や仕様書に沿って適切に工事が行われているかどうかをチェックする業務です。現場で実際に立会い、配置や数量、接合部、各種工事の実施に問題がないかを目視でチェックします。そのうえで、施工担当者が設計図どおりに工事を行っていなければ、監理者が指摘をして、正しく施工を行うように求めなければなりません。

木造建築士の難易度(合格率)は?

木造建築士を取得するためには、木造建築士の国家試験に合格する必要があります。ここでは、建築士の試験を実施する「公益財団法人建築技術教育普及センター」のデータをもとに、試験の難易度や概要について見ていきましょう。

試験概要

木造建築士の試験は、学科と製図の2つに分かれています。学科については建築計画、建築法規、建築構造、建築施工に関する知識が問われ、各学科25点満点中13点以上、合計100点満点中60点以上が合格基準です。

製図は与えられた課題に基づいて製図を行う試験であり、建築計画や構造に対する理解、架構計画、断面に関する知識などが総合的に問われます。

合格率は約30~40%程度

木造建築士の合格率については、学科・製図ともに50~60%の合格率となっているものの、全体では30~40%程度となっています。数字だけで見れば、さまざまな資格のなかでもそれほど合格率は低くないといえます。

ただし、後述する資格要件の関係で、すべての受験者が建築の経験や学歴を持っていると考えられるため、難易度は決して低くありません。合格するためにはきちんと学習時間をとり、十分な知識を身につけておく必要があります。

資格要件

木造建築士の試験を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

受験資格要件

建築に関する学歴または資格

実務経験

大学・短期大学・高等専門学校

なし

高等学校・中等教育学校等

2年以上

建築設備士

なし

その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等)

所定の年数以上

学歴・資格等なし

7年以上


建築に関する所定の学歴や資格に応じて、必要とされる実務経験の長さは異なります。なお、受験資格については二級建築士も同様です。

一級建築士とは異なり、学歴や資格等がなくても、7年以上の実務経験があれば受験できるのが木造建築士の大きな特徴といえるでしょう。

木造建築士試験を受けるための勉強時間の目安

受験者の学歴や経験にもよりますが、木造建築士試験に合格するためには、「約300~400時間」の勉強時間が必要とされています。建築系の大学・専門学校に通っている方であれば、必要な科目を履修することで試験対策と受験資格の獲得を同時に狙えるため、まずは履修科目の修了を目指しましょう。

それ以外の方は、独学か試験対策を行うスクールなどの講座を利用して学習を進めることとなります。しかし、木造建築士の参考書はそれほど種類がなく、独学では設計製図問題への対応も難しい面があるため、専門の試験対策講座を受けるほうが効率的ではあります。

効率的な学習のポイント

最後に、木造建築士の試験合格を目指すうえで、押さえておきたい学習のポイントをご紹介します。

基礎の習得に力を入れる

木造建築士は、建築士の試験のなかでは難易度が低く、基本をしっかりと身につけていれば合格は決して難しくはありません。まずは基本書や過去問集を繰り返し解いて、基礎の習得に力を入れましょう。

そのうえで、独学では対策が難しいとされる製図試験対策は、専門家に見てもらったり、模試を活用したりして行うのがスムーズです。製図試験対策に不安がある場合は資格試験を専門に扱うスクールなどで講座をとり、集中的に取り組むのも一つの方法です。

木造建築士試験の合格には300~400時間の勉強時間が必要とされているため、仕事をしながら資格の取得を目指すのであれば、無理のない学習計画を立てる必要があります。試験日程から逆算をして、一日あるいは一週間でどのくらいの勉強時間を確保する必要があるのかを明確にしましょう。

将来のキャリアパスを踏まえて計画を立てる

受験計画を立てる際には、将来のキャリアパスを踏まえて挑戦すべきかどうかを検討することが大切です。特に、最終的に一級建築士を目指す場合は、木造建築士よりも二級建築士の資格取得を目指すほうが、効率的に希望のキャリアを実現できるでしょう。

なぜなら、一級建築士の受験資格には、建築系の所定の学歴か建築設備士、二級建築士という要件が定められているためです。このように、木造建築士は一級建築士の受験資格に該当していない点に注意が必要です。

二級建築士と木造建築士の受験資格の要件は同一であるため、建築系の学歴がない方は、初めから二級建築士に狙いを定めて合格を目指すほうがよいでしょう。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:木造建築士とは?
A:
一定範囲の木造建築物の設計や工事監理が行える国家資格であり、木造建築の専門家といえます。また、神社仏閣などの歴史的建築物への知識なども身につくため、独自性も確立しやすい資格です。

Q:木造建築士の仕事内容は?
A:
木造建築士の代表的な業務は、小規模な木造建築物の設計・図面作成、工事監理です。また、建築に必要な書類作成や行政手続き、クライアントとの打ち合わせなども主要な業務となっています。

Q:木造建築士と一級建築士の違いは?
A:
木造建築士は「2階建てまでの木造建築物で、かつ延べ面積が100平方メートル超300平方メートル以内の建築物」を扱える資格です。それに対して、一級建築士はすべての建物の設計・工事監理が行えるため、木造建築士の上位にあたる資格といえます。


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編集部
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