住宅ビルダー・工務店も利用拡大「WEB広告」で来場予約・カタログ請求を増やすには
注文住宅業界におけるWEB集客の重要性が高まったことにより、大手住宅メーカーだけではなくビルダー・工務店でも、WEB広告を活用する企業が増えてきました。特に近年は、紙広告・テレビCMなどの予算を置き換えることで、WEB広告の予算を増額している企業も目立っています。
WEB広告は、投資費用が自社ホームページのアクセス増に直結する一方で、活用方法を誤ると、思うように来場予約・カタログ請求などの反響を獲得できない可能性があります。また、各社の予算増額によって競合が激化しているため、効率的に反響を獲得するためには、これまで以上に運用の工夫が必要です。
今回は、WEB広告の基礎知識と、効果を高めるためのポイントを解説します。多くの企業では実際の広告運用を代理店に委託していると思いますので「代理店と上手に付き合いながら広告効果を高める」方法をお伝えします。
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WEB広告の2大スタイル「検索エンジン広告」「ディスプレイ広告」
まずは、WEB広告の基本的な仕組みについて、改めて確認しておきましょう。WEB広告は、大きく「検索エンジン広告」と「ディスプレイ広告」の2種類に分けることができます。それぞれメリット・デメリットがあるため、できれば両方の広告を活用するのがいいでしょう。
ここでは、2種類の広告の特徴や、活用のポイントをご説明します。
検索エンジン広告:「キーワード」選定が重要
検索エンジン広告は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果に表示する広告です。費用は一般的にクリック課金(広告がクリックされ、自社ホームページへ誘導されるたびに費用が発生)が採用されています。
最大のメリットは「情報を検索している≒積極的に情報を探している」お客さまに対して自社の広告を表示できる点です。ただし、このメリットは見方を変えれば「積極的に情報を探しているお客さまにしかアプローチできない」というデメリットでもあり、潜在層のお客さまなど、より広範囲へのPRにはディスプレイ広告を併用する必要があります。
検索エンジン広告の成果向上には、広告文の良しあしに加えて「キーワード」の良しあしが非常に重要です。どのようなキーワードで検索しているお客さまに対して広告を表示するのかを広告主・代理店側で自由に登録できるため、この登録内容が広告の成果を大きく左右します。また、キーワード登録していない語句で検索しているお客さまに対しても、検索エンジン側が「登録キーワードに近い」と判断した場合に広告が表示される可能性がある点にも注意が必要です。
一般的な代理店のレポートには「登録キーワード別のクリック・反響獲得実績」「実際に広告が表示された語句別のクリック・反響獲得実績」が掲載されています。この実績を定期的に確認し、クリックされているものの反響につながっていないキーワードや検索語句に対して除外設定(広告を表示させない設定)を行うことで、無駄なクリック(=無駄なコスト)を減らし、費用対効果を向上させることが可能です。
ディスプレイ広告:「ターゲット」の良しあしで大きく成果が変わる
ディスプレイ広告は、さまざまなホームページやアプリ内の広告枠に、自社の画像(バナー)・動画・広告文などを表示する広告です。SNS広告や動画広告も、ディスプレイ広告の一種とお考えください。費用は検索エンジン広告と同じクリック課金のほか、インプレッション課金(広告が表示されるたびに費用が発生)が採用されることもあります。
ディスプレイ広告のメリットは、検索エンジン広告よりも広範囲のお客さまにPRできる点です。無差別に広告を表示するのではなく「ターゲット設定」によって配信先を細かく設定することができます。
ターゲット設定は地域・世代・性別のほか「住宅関連の情報に興味が高い」「土地に関する情報を探している」といった、興味関心に基づくターゲティングも可能です。過去に自社ホームページを訪問したお客さまへ広告を配信する「リターゲティング」も、ターゲット設定の一種です。
この「ターゲット設定」が、ディスプレイ広告における成果向上の重要なポイントです。もちろん広告内容そのものも重要ですが、ターゲット設定が適切ではない場合、広告そのものは悪くないのに全く反響につながらない…というケースも決して珍しくありません。ディスプレイ広告の成果が思うように上がっていないとお考えの場合は、代理店に対して現状のターゲット設定を開示してもらい、必要に応じて見直しを依頼しましょう。
代理店からのレポート、最低限チェックしておきたいデータ
WEB広告を委託している代理店からは、毎月、レポートの提供を受けているかと思います。広告の運用状況や成果が詳細に書かれているのですが、広告主である皆さんの側から見れば、なじみの薄い言葉や数字が並んでいてよく分からない…という方も多いようです。
レポートで最低限チェックしておきたいのは、WEB広告の費用対効果をダイレクトに示す「反響単価」です。レポート期間内の広告費を、広告経由で発生した反響数で割り算したもので、「CPA(Cost Per Action)」と呼ばれることもあります。
WEB広告の成果を図る指標は「反響単価(CPA)」のほかに「クリック単価(CPC(Cost per Clicl):ホームページ送客1件当たりの単価)」や「インプレッション単価(CPM(Cost per Mille):広告表示1,000回当たりの単価)」もあります。広告の目的によってはクリック単価やインプレッション単価を重視することもありますが、一般的な住宅会社の広告出稿の主目的は「反響獲得」なので、反響単価を重視すべきでしょう。毎月の反響単価を確認し、悪化が続くようであれば、代理店に改善を依頼する必要があります。
反響単価はWEB広告全体の実績だけでなく、広告の種類ごとに実績を確認することも重要です。一般的なレポートであれば「キャンペーン別」「広告グループ別」といったレポートで確認することができます。
例えば、キャンペーンAの反響単価は安価に抑えられているがキャンペーンBの反響単価は高騰している…という場合、「キャンペーンBに割り当てている予算をキャンペーンAに置き換える」「キャンペーンBを優先的に改善して反響増を図る」などの改善策を実行することが可能です。
また、先ほどご説明した検索エンジン広告の「キーワード別・検索語句別実績」やディスプレイ広告の「ターゲット別実績」も、反響単価を軸にデータを見れば、改善のヒントが多数見つかるでしょう。改善の実施後も、継続的にレポートを確認し反響単価の変化を見ることで、改善の効果測定が可能です。
「よく分からないから」という理由でWEB広告を代理店へ丸投げにしている住宅ビルダー・工務店は意外と多いようですが、最低限のポイントを押さえ、代理店と適切なコミュニケーションを取りながら、費用対効果の改善を図っていきましょう。
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