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鬼門って何?家づくりにおけるポイントを解説

鬼門って何?家づくりにおけるポイントを解説

「鬼門(きもん)」とは風水や家相などで扱われる方位の一つです。家づくりにおいては、家相を気にかけるお客さまも決して少なくはなく、「実用性を損なわない範囲で家相も大事にしたい」というニーズは一定以上あると考えられます。

今回は鬼門や裏鬼門の意味や家づくりにおける影響、風水・家相を取り入れた家づくりのポイントなどをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.鬼門・裏鬼門とは
  2. 2.家づくりにおける鬼門・裏鬼門の扱い
  3. 3.「鬼門と裏鬼門に三備を設けず」には実用的な意味も
  4. 4.風水・家相を取り入れた家づくりのポイント
    1. 4.1.玄関の配置
    2. 4.2.リビングの配置
    3. 4.3.水回りの配置
  5. 5.<工務店・住宅会社向け>風水・家相との適切な向き合い方
    1. 5.1.適切な知識を基にお客さまのニーズをくみ取る
    2. 5.2.予算や土地・生活動線を踏まえてプランニングする

鬼門・裏鬼門とは

「鬼門」とは、北東の方角のことです。もともとは古代中国で生まれた考え方とされており、鬼門はその名のとおり「鬼や邪気の出入りする方角」を指しています。

国内でも陰陽道や神道などを中心に、古くから鬼門が不吉な方角として扱われてきました。また、鬼門には表と裏があり、表鬼門は北東の方角を、裏鬼門は反対に当たる南西の方角を指しています。

裏鬼門は鬼や邪気が最後に出ていく方角といわれており、鬼門と合わせて避けるべき不吉な方角とされています。

家づくりにおける鬼門・裏鬼門の扱い

風水や家相において、鬼門・裏鬼門は不吉な方角とされます。家づくりにおいては、特にこの方角に玄関やキッチン、トイレ、浴室などの水回りがあると運気が下がるとされており、「鬼門と裏鬼門に三備(キッチン・トイレ・浴室)を設けず」という言葉も古くから使われています。

また、家相学では鬼門・裏鬼門上に建物の「張り」(建物の出っ張っている部分)や「欠け」(建物の凹んでいる部分)があると家族とのトラブルが起きやすいとされるなど、建物の形状にも影響が出るという考え方もあります。一方で、書斎や寝室といった居室は特に影響がないとされるため、家相を取り入れた間取りでは、鬼門に配置するケースも多いです。

「鬼門と裏鬼門に三備を設けず」には実用的な意味も

先にも述べた「鬼門と裏鬼門に三備を設けず」という言葉には、家づくりに関する古くからの知恵が込められているという見方もあります。たとえば、もともと北東の方角にある鬼門は、冬季の寒さや湿気などの問題から、浴室の配置にはあまり向かないといえます。

特に、暖房設備や断熱技術が発展していなかった昔の住宅では、どこに浴室を配置するかで暮らしやすさが大きく変わってしまいます。この考え方は現代でも大きく変わらず、浴室の室温を保つことは、冬場におけるヒートショックのリスクを軽減させるために重要なポイントです。

また、南西の方角にある裏鬼門は、夏場には太陽光で室温が高くなるため、食材を扱ったり保管したりするキッチンには適していないとされています。鬼門や裏鬼門に水回り設備を配置しないという考え方には、このように暮らしの知恵や経験則も大きく関係しているといえるでしょう。

風水・家相を取り入れた家づくりのポイント

風水・家相を取り入れた家づくりでは、鬼門や裏鬼門以外にもいくつか押さえておきたいポイントがあります。住宅設計を行う際には、家相を気にするお客さまのニーズも想定して、主なポイントを意識しておくといいでしょう。

ここでは、間取りにおける代表的なポイントをご紹介します。

玄関の配置

玄関はさまざまな気を呼び込む場所であることから、鬼門や裏鬼門を避けて配置するのが望ましいとされています。住まいの入り口であることを踏まえ、家相では吉方位である東・東南の方角に設けるのが吉とされます。

リビングの配置

リビングは家族団らんのための大切な場所であることから、吉方位は玄関と同じく東、東南、南です。南の方角は日当たりがよく、十分な採光を確保できることから、リビングを南側に配置する間取りは多くの住宅で取り入れられています。

水回りの配置

水回りの配置については、先ほども述べたように鬼門・裏鬼門は避けるのが望ましいとされます。そのうえで、キッチンやバス・トイレについては、「正中線」や「四隅線」も避けるべきと考えられています。

正中線とは家の中心を通って東西・南北に引いた直線のことであり、四隅線は家の中心からそれぞれ南東・北西に延ばした直線のことです。正中線や四隅線の上には、三備や火気が発生するものは避けるべきとされているため、キッチンやバス・トイレは少しずらして配置するのが理想といえます。

また、トイレはけがれを流す場所とされることから、神棚やお仏壇などの隣や上も避けるべきとされているので注意が必要です。

<工務店・住宅会社向け>風水・家相との適切な向き合い方

風水や家相にはさまざまな言い伝えや考え方があり、一概にどのような捉え方が正しいは言い切れません。風水・家相を大事にされるお客さまも少なくはありませんが、意識しすぎるあまり、利便性や快適性まで犠牲にしてしまうのも本末転倒といえます。

ここでは、家づくりや住宅設計において、工務店や住宅会社側が意識しておきたい考え方について確認しておきましょう。

適切な知識を基にお客さまのニーズをくみ取る

まずは、お客さまのニーズを丁寧にヒアリングし、どのようなポイントを重視されているのかを適切に把握することが大切です。そのためには、担当者側にも一定の知識が求められます。

たとえば、風水・家相の観点から理想の間取りを求めるお客さまに対して、単に利便性や効率性だけを考えてプランを提案してもなかなか意見のすり合わせは図れません。どのようなポイントを重視しているのかを探るためには、担当者も風水や家相についての一般的な知識は持ち合わせておく必要があるのです。

また、プランニングの際には、専門家としての知見を生かして適切にアドバイスすることも大切です。家相を取り入れた間取りづくりを希望しても、土地選びの段階で実現性が変わってくる面もあるため、どの程度までかなえられるのかを丁寧に説明することが重要といえます。

予算や土地・生活動線を踏まえてプランニングする

家相を踏まえた設計を実現するうえでは、予算や土地との兼ね合いもよく考えてプランニングすることが大切です。たとえば、前面道路が西側にある土地の場合、家相上は東側や東南側に玄関を設けるのが理想とされていても、実際の生活面ではやはり西側に配置するほうが便利です。

この場合は、暮らしやすさを考慮して西側に玄関を配置し、その他のポイントを取り入れて家全体のバランスをとるといった考え方を採用するのも一つです。また、無理に家相を取り入れることで、予算がかさんだり生活動線の効率が低下したりするようであれば、いくつかの選択肢を提示してメリット・デメリットを丁寧に説明するのが親切といえるでしょう。

たとえば、土地の形状や配管などの関係で、北東の方角に浴室を設置するのが望ましいとされる場合は、高断熱・高気密・浴室暖房の設置などで冬季の室温低下を解消するプランを検討するのも一つの方法です。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:鬼門とは?
A:
鬼門とは北東の方角のことであり、風水や家相では鬼や邪気が出入りする不吉な方角とされています。一方、反対に当たる南西の方角は裏鬼門と呼ばれており、鬼や邪気が出ていくことから同じく凶の方角とされます。

Q:鬼門と家づくりの関係性は?
A:
「鬼門・裏鬼門に三備を設けず」という言葉が古くからあり、キッチン・バス・トイレはこれらの方角を避けて配置するのが望ましいとされています。また、玄関や建物の「張り(出っ張った部分)」「欠け(凹んだ部分)」も避けるべきと判断されます。

Q:正中線・四隅線とは?
A:
正中線とは家の中心を通って東西・南北に真っすぐ引いた線のことであり、四隅線は家の中心からそれぞれ南東・北西に延ばした直線のことです。正中線や四隅線の上には、三備や火気が発生するものの配置を避けるべきとされています。


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編集部
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