徹底したい新築住宅引き渡ししてからのアフターフォロー
住宅着工縮小時代における市況の変化
近年、新築住宅着工戸数は減少が続いています。2023年度の着工戸数は80万戸で、21世紀を迎えてからは2009年度の77万5,000戸に次いで2番目に少ない着工でした。2024年度も持ち家や建売分譲住宅などの月次着工戸数は、依然として前年を下回って推移しています。
政府からの住宅取得に関わる支援策は出ていますが、それでも需要喚起に至るほどではないようです。今年に入ってからはマイナス金利の撤廃、そして利上げなど、住宅購入に消極的にならざるを得ない要素も増えています。人口減少や少子高齢化などで住宅購入検討層の減少が確実視されている中で、住宅会社には市況変化に応じた経営の舵取りが求められています。
新築着工縮小時代においては、多くの住宅会社が営業効率の向上を推進しています。もちろん営業効率と言っても考え方は様々ありますが、ここでは時に「打率」とも言われる、「集客数」に対する「契約数」の割合に焦点を当てていきます。
WEBでお問合せいただいたお客様や、ご来場いただいたお客様から確実に契約をいただく。近年は集客数自体が減っているという住宅会社が多いこともあり、この契約率を上げていく施策を現時点から構築していきたいところです。
契約数を増やす施策としての顧客紹介の重要性
確率高く契約を取っていくための施策の一つには、「既存顧客からの知人紹介」が挙げられます。成績優秀な営業担当者の多くも、この紹介をきっかけとする案件を中心に契約数を伸ばしているはずです。商談段階からお客様と信頼関係を築き、引き渡した後も継続的にコミュニケーションを取っていく。
ここで注意したいのは、紹介を獲得できるタイミングの多くが引き渡した後であることです。そこでアフターを徹底することでお客様満足度をさらに向上できれば、紹介案件の獲得の可能性が自ずと高まっていきます。
当たり前のことですが、お客様は数千万円という人生に幾度とない買い物で失敗したくありません。そこで多くの方が参考にしたい情報の一つが、実際に住宅を建てた友人・知人の経験談です。
よかった点や気になった点など様々な情報が手に入り、「この会社、この営業担当者であれば自分も」と感化される方もいるでしょう。営業担当者としてもこのような紹介からコネクションが生まれたお客様とは信頼関係がより構築しやすく、高い契約率も期待できます。
「アフターフォロー」から生まれるビジネスチャンスとは
この新築着工減少時代で、改めて注力したいのが先述のアフターフォローです。新規紹介を獲得する上でも重要な取り組みである上、新しいビジネスチャンスを生み出すきっかけにもなり得ます。
業界に先駆けてアフターフォローに注力してきた住宅会社は、現在の大手ハウスメーカーです。引き渡してからアフター・リフォームの専任スタッフが巡回し、5年毎に定期診断を行っています。品確法では引き渡し後10年間としている診断を、独自制度で最長60年にわたって無料で行うという企業も出てきました。
この末長い付き合いの中で、リフォーム担当者はオーナー宅に修繕等の提案ができ、オーナーが抱えている悩みや不満をリフォームで解決することもできます。新築事業と比較すると1件1件の金額は小さいですが、ターゲットがオーナーである事業の特性上、広告宣伝費などのコストを抑えられるなど、利益を創出しやすいというメリットもあります。
直近の各社決算においても、国内の新築戸建事業が伸び悩みを見せている中、リフォーム事業は堅調というところが多いです。さらに最近ではオーナー宅の仲介や中古買取再販など、新たなビジネスも誕生しています。アフターフォローから始まるストックビジネスがいよいよ事業の柱として確立されつつあります。
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