【現場監督】施工写真を上手に撮影するコツと整理方法を徹底解説!
工事現場の作業においては、状況や品質を記録する施工写真の撮影も重要な業務となります。現場が多くなればそれだけ写真の数も増えるため、必要なポイントを押さえて効率的に撮影を済ませることが大切です。
今回は施工写真の役割と上手に撮影するためのポイント、適切なデータ管理を行うための注意点などをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.施工写真とは
- 2.施工写真を撮影する目的
- 2.1.工程の記録
- 2.2.使用した材料の記録
- 2.3.目視できない部分の記録
- 2.4.適切な工事が行われているかの確認
- 3.施工写真を撮影するコツ
- 3.1.撮影計画を明確にする
- 3.2.5W1Hが伝わる構図にする
- 3.3.黒板の情報が見えるように撮影する
- 3.4.不要なものは写さない
- 4.施工写真を撮影する際の注意点
- 4.1.公共工事の施工写真は画像編集をしない
- 4.2.なるべく定点で撮影できるように計画を立てる
- 4.3.写真の保管・整理方法を考えておく
- 5.施工写真の整理方法
- 5.1.紙面でのファイリング
- 5.2.Excelでの管理
- 5.3.写真整理アプリの活用
- 5.4.スマートフォンやタブレットの活用
- 6.施工写真を整理するときの注意点
施工写真とは
施工写真(工事写真)とは、工事を行っている過程で撮影する写真のことです。施工写真は工事の全期間にわたって撮影され、それぞれの段階における進捗状況や経過、施工状態などを記録する役割があります。
また、工事が進んでいくにつれて構造部などの目視では確認できない箇所が出てくるため、後から確認が必要になったときに備えて撮影するのも目的の一つです。関係者向けに残す記録としての意味合いが強いため、通常は施工担当者や現場監理者が確認業務などと並行して撮影を行います。
施工写真を撮影する目的
施工写真を撮影する目的は大きく分けて4つあります。単に対象物を写すのではなく、一枚ごとの目的を踏まえたうえで撮影することが大切です。
工程の記録
施工写真の主な目的は工程の記録です。各工事段階において具体的にどのような施工が行われたのか、視覚的に情報を残すことで後から誰でも確認できるようになります。
写真はチーム内での情報共有や、従業員の教育などに活用することが可能です。また、万が一施工後にトラブルが発生したときには、施工写真を資料としてチェックすることで、原因の究明と対策の検討が行えます。
使用した材料の記録
施工写真はどの工程にどの材料をどのくらい使用したのかも明確に記録できます。資料として残しておけば、再び類似した工事を請け負う際にも必要な材料の想定が簡単に行えるようになります。
目視できない部分の記録
各段階での施工写真が残っていれば、後から目視が難しい部分でも振り返ってチェックすることができます。特に初期段階で施工した部分は、完成間近になるとほとんど見えないため、記録として残しておくことに重要な意味があります。
適切な工事が行われているかの確認
施工写真は客観的な記録であるため、発注者から工事内容の確認を求められたときでもスムーズに対応することが可能です。写真を提示すれば、工事が適切に行われていた証明が行えるので、依頼主に安心感を与えられるでしょう。
また、行政からの案件を受注した際には、工事内容によって完了報告を行わなければならないケースもあります。施工写真をきちんと残しておけば、工事の状態を正確に伝えられるため、信頼関係の構築につながります。
施工写真を撮影するコツ
施工写真は通常の写真とは違った目的を持っているため、撮り方のポイントも異なります。ここでは、施工写真を撮影する際のコツについて見ていきましょう。
撮影計画を明確にする
施工写真を撮る際には、事前に撮影計画を立て、目的やタイミング、構図などを固めておく必要があります。表面から目視できない部分の写真が必要になっても、施工が進んでしまってからでは後戻りすることはできません。
また、施工写真は日々の業務と並行して撮影するものであるため、あまり多くの時間をかけることはできません。あらかじめ撮影計画を用意しておき、スムーズに抜け漏れなく撮れる状態を整えることが大切です。
5W1Hが伝わる構図にする
施工写真の目的は記録にあるため、単に美しいとされる構図を目指すよりも、必要な情報が漏れなく把握できる構図を意識することが大切です。具体的には、以下の5W1Hの観点を意識し、誰が見ても分かるように記録する必要があります。
When |
施工時期、作業工程 |
Where |
工事場所 |
Who |
施工担当者や監理者、立会者 |
What |
工事内容、工事種目 |
Why |
工事目的 |
How |
施工方法、使用材料 |
黒板の情報が見えるように撮影する
工事用黒板には、工事における基本的な情報がまとめて記載されています。5W1Hのポイントを把握するためにも、施工写真では黒板の内容が分かるように撮影しておくのもコツです。
撮影する時間帯によっては黒板の文字が見えにくくなってしまうため、撮影時には角度や光量に注意しましょう。
不要なものは写さない
写真から速やかに必要な情報を読み取れるようにするには、不要なものを写さないという意識も重要です。ゴミや障害物などはあらかじめ取り除き、すっきりした状態で撮影できるようにしましょう。
施工写真を撮影する際の注意点
続いて、施工写真を撮影する際に押さえておくべき注意点について解説します。
公共工事の施工写真は画像編集をしない
公共工事は税金が投入されているため、施工写真の撮影項目が「公共建築工事標準仕様書」で明確に決められています。また、撮影後の写真は、「明るさの補正」「トリミング」「加工」「黒板の誤字の訂正」といった画像編集はNGです。
工事の過程や品質を正確に記録するための資料ですので基本的に編集は想定せず、必要があれば撮り直すことを心がけましょう。
なるべく定点で撮影できるように計画を立てる
工事の進捗や変化を記録するために、全景の施工写真はできるだけ同じ場所・構図で撮影していくことが大切です。全景の定点写真では建物が大きくなるにつれて当初の構図からはみ出してしまう可能性もあるため、工事が完成したときのイメージを想定しておきましょう。
写真の保管・整理方法を考えておく
施工写真は工事が進むにつれて量が増えていくため、適切な管理も大切です。データの紛失を避け、スムーズに必要な記録を取り出せる状態を保つために、写真の保管・整理方法もあらかじめ考えておきましょう。
施工写真の整理方法
施工写真の管理方法にはいくつかの選択肢があります。ここでは、主な方法とそれぞれの特徴についてご紹介します。
紙面でのファイリング
紙に印刷した写真を台紙に貼り付けてファイリングする方法です。写真をプリントアウトして貼り付けるだけで簡単に整理できる一方、枚数が多くなると広い管理スペースが必要になり、負担が大きくなってしまうので注意が必要です。
Excelでの管理
Excelで台帳ファイルを作成し写真を貼り付けて管理する方法であり、紙面でのファイリングと比べて保管スペースの必要がないのがメリットです。しかし、普段から扱いなれていない方にとっては、台帳の作成や写真の添付に手間がかかると感じる可能性があります。
写真整理アプリの活用
データ管理システムやアプリのなかには、建築業界に特化したサービスもあります。写真整理アプリを活用すれば自動保存・台帳の作成・データ管理、電子黒板機能といったさまざまな機能が使えるため、管理の手間を大幅に削減できます。
スマートフォンやタブレットの活用
写真をデータで管理する場合は枚数とともに容量も大きくなっていくため、多くのデータを管理できる仕組みを導入する必要があります。オンラインストレージは、インターネット環境があればどこでも管理画面にアクセスできるため、ファイルの共有がしやすくなります。
また、出先からでもスマートフォンなどを通じてアクセスできるため、突然データを確認する必要性が生まれたときでもスムーズに対応可能です。
施工写真を整理するときの注意点
施工写真を管理するうえでは、データの確認が必要なときにいつでも閲覧できる状態にしておくことが重要です。写真アプリやオンラインストレージであれば日付などから簡単にデータを検索できるので、それほど意識しなくてもデータの整理は行いやすいでしょう。
しかし紙に印刷してファイリングする場合は、すぐに必要なデータを取り出せるように保管・整理に関する明確なルールを設けることが大切です。また、アプリやストレージを活用する場合でも、データの消失や流出を防ぐためには運用の基本的なルールを定める必要があります。
初めてこれらのツールを用いる際には、セキュリティについても注意を払い、安全に運用できるサービスであるかどうかを見極めましょう。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:施工写真とは?
A:工事の各段階における進捗状況や経過、施工状態などを記録するために撮影する写真です。基本的には現場監督などの責任者が、日常的な監理業務の一環として撮影を行います。
Q:施工写真の目的は?
A:施工写真は施工が問題なく行われていることを示す記録であり、後から目視できなくなってしまう部分もチェックできるようにする役割があります。また、工事に使用した材料の確認や、依頼者への説明などに用いることもあります。
Q:施工写真を撮影するコツは?
A:不要なものが写り込まないように注意するとともに、5W1Hが伝わるような構図を心がけましょう。また、工事用黒板もきちんと撮影し、客観的な情報が分かるように記録することが大切です。
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